12話
「いやいやいや、僕今殺されかけたよね!?」
いやだ、と言わんばかりにブンブンと首を振る。いや普通はそうだろう。アニメなんかでは敵だったキャラクターが最終的に仲間になる、というのはよくある話だ。しかしこんな直ぐに仲間にしようとするやつがあるか。なんなら人外だぞ、それ。
当の本人、シトラは雨に濡れた子犬みたいにしょんぼりとした顔だ。いや自分の言い方が悪かったのはもちろん認めるが無理無理無理。
フレッドに関しては苦笑いである。こっちに加勢してくれよ。さあっと顔が青ざめる。
「ま、まあまあ、落ち着けって、主従契約の魔法使えば襲ったりしないからさ」
「いやいや自分を殺しかけたやつの顔なんてよっぽどのサイコパスじゃない限り毎日見たくないって!!!」
てかそもそも主従契約の魔法ってなんだよ!と言うと「あーそこからかぁ」とため息を着かれる。いやため息着きたいのはこっちだわ!と言おうと思ったが大事な情報な気もしたので大人しく聞くことにする。
「主従契約の魔法ってか、儀式だな。これはだいぶ簡単に出来るやつだ。ただしアストには出来ないだろうけどな」
「嫌味か?」
「いやいやいや、とんでもない。アストの力はまだまだ未知数だから楽しみにしてるぜ?」
ニカッと太陽のような笑みで笑う。こいつ、これを素で言ってるから憎めないのだ。
「まあ、話の続きだが、儀式のやり方としては、自身の血を魔物の核である紫色の宝石に垂らすことで完成する。
まあ、簡単に言えば、人間である俺らの魔力のパスを繋げることができるってこと、ちなみに飼い主が死ねば魔物も死ぬ」
「し、死ぬのか......」
「そーそ、だから簡単に襲うことはできないって訳。それにパスが繋がれば自由に操ることも可能だ。まぁ、核は魔力持ったものなら何でも持ってるから人間でも可能ってわけ」
ふーん、そうなのか............
「っっって、人間でも!?」
「うん、基本的には心臓の位置にあるけど......もしかしてアストは魔力を所持してないから持ってないかも」
「そ、そうなのか......」
今まで俯いていたシトラがやっと話し出した。よかった。
というか自分に核は無いのか、と少し落胆する。いや、見たかったとかでは決してないんだけど、決して。
「でも、なんでシトラはドラゴンを飼いたがってるんだ?」
と聞くとまた黙り込んでしまう。するとフレッドが横から耳打ちしてきてくれた。
「嬢ちゃん、ああ見えてカッコイイ動物好きなんじゃないのか?それに今までお前のお世話してくれてたんだし、たまにはワガママ聞いてやるのもいいんじゃないか?」
「なるほど、確かに......」
まあ、ロマンではあるわな。それにこれだけ自分の面倒を見てくれたんだ。癒しも欲しくなるだろう。
「よし、飼おう!!!3人で面倒みような!!!」
そう僕が言うとシトラはパッと顔を輝かせてやったー!とはしゃぐ。フレッドは隣でギョッとしながらこちらを睨んできた。巻き込んだ。すまん。
話数訂正しました、すみません......!!!