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からっぽ少年と白銀少女  作者: 夏乃イロ
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プロローグ

転移少年の前日談

 ガヤガヤと教室から賑やかに生徒たちが出ていく。そんな中、1人の少年は静かにホウキを持ち、ブラブラと教室の掃除を始める。



 元々は担当の人間が何人も居るのだが、部活だ遊びだとかでみんな帰って行ってしまうのだ。



 そんな中僕は「いいよいいよ」と(自分で言うのもなんだが)お人好しを発動させ、いつも1人で掃除をしている。



 クラスの人も段々と僕をお役立ちロボットだかなんだかと勘違いしているのではないか?と思いつつもホコリを掃き、ゴミを捨てるのだ。結局今日もこんな感じで終わってしまった。



 ここまでくると自分の存在している意味を見つけられなくなる。人の為にと動いているのはいいが、それは本当に僕でなければいけないのだろうか。正直誰にだって出来るだろう。



 こんな僕だって欲はあるのだ。少し重いリュックを持ち、螺旋階段を降りる。野球部の生徒が階段で筋トレをしている所を見ると外は雨が降っているのか。

災難だ。放課後になった時点では雨なんて降っていなかったのに。それに周りの視線が痛いのだ。1人で帰っているのがそんなに珍しいか。



 舌打ちを心の中で留め、昇降口へ移動する。外はサラサラと小雨が降っている。この程度なら外で練習しろよと空を睨み、靴箱に置きっぱなしにしている折りたたみ傘を開き、学校を後にした。



 雨は嫌いだ。心が陰欝になるし足取りが重くなる。暗い道は嫌いだ。前が見えないと不安になるのだ。学校から家はすぐの所にあるが家に帰っても親は他の国に行っていて居ないので暗い暗い我が家が待っている。



 言っておこう、自分はとても強欲だ。学校では先生の目を気にしていい子を演じているが所詮人間であることには変わりない。

 電気をつけず、そのままソファーに沈み、目を閉じる。



 明るい部屋の方が好みだが、陰鬱な気分にはこの方がいい。明るさに目がくらんでしまうから。どういうことか、不思議と"死にたい"と思ってしまった。というか今まで死にたいと思ったことがなかったので目を見開いてしまう。


 よくよく考えれば、こんな人生よく生きてきたと驚く。親は自分を置いてイギリスで楽しく暮らし(と言っても自分より優秀な留学した兄について行ったまでだ。僕だったら両親と同じことをするだろう。)、学校ではいい子を演じてきた結果面倒なことは押し付けられる始末だ。



 こんな世界に意味はあるの?と聞かれれば今ならこんな世界に意味などない。と堂々と答えられるだろう。他人にとって意味があっても自分に無かったら意味は無い。




 生きている意味が無いのだ。




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 今まで積み上げてきたものを崩すことは楽になることでもある。まるでジェンガのように、ギリギリを続けるならどう考えても崩してやり直した方がいい。

いや、やり直すなんて無理だろうが、崩れた方が楽なのには変わりない。



 もうすべて辞めよう。インターネットで簡単な自殺の方法を調べる。最後ぐらい痛くない方がいいと首吊りを選んだ。ドアノブでやる方法があるのか。それでいこう、と、どこかウキウキとしながら。



 あっ、最後に欲を言えば、生まれ変わったら可愛い可愛い飼い猫にしてください。出来ればオスで。



 準備が終わるともう夜になっていた。不思議とお腹は空いていない。雨も止み、綺麗な星が空を飾っている。可笑しくなり、ゲラゲラと笑いが込み上げてしまった。今から死ぬのに全く怖くない。おかしなこともあるもんだ、と。



 すぅっと息を吸い込んで吐き出す。




「ざまぁみやがれ!!!」




 首に縄を掛ける。数秒間、苦しいと感じた。





その瞬間、僕の視界は暗転した。

まだまだプロローグですが、ゆっくりと投稿していこうと思います。暫くのお付き合いよろしくお願いいたします

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