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天才に雨を  作者: 有泥
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青春

 高校生の時の宮嶋といえば随分人気者だった。物好きが他所から引っ越してくることが多くなって、そういう家の子は宮嶋家への先入観がないから、医者の子でも異様に怖がったり、一線引いたりせず、お客様でない、普通の扱いになっていた。

 宮嶋はあと三年でこの街とオサラバする気満々だった。音楽大学へ必ずいくものだと信じ込んでいた。そのため、ただのプロローグたちもちょっと名残惜しいような気がして、友人からの圧(期待ともいえる、特に女子に顕著だったように思えるが、男子でもたまにあった)に応えていった。宮嶋は母譲りの敏感さがあったので、そういうのをすぐに察知し、相手の望む通りに、よくよく空気を読んでやった。

 宮嶋は母の美しさを受け継ぎつつも、田舎に馴染んでいったから、母のように浮くことなく、優しい色男として女子からも人気だった。告白されることが多くなったが、人気の女の子から告白されるのを避けて、男子から恨まれにくそうな子から告白を受けて、付き合って、他は体よく断っていた。相手の女の子は、初めは喜んで付き合うが、だんだん他の女の子からいじめられるようになることが多かった。宮嶋はそういうのをよく察するが、気づかないふりをし、向こうから別れるように仕向けた。いじめの早い段階で別れると、いじめもすんなり終わったから、後腐れなく別れることができた。そうやって高校の間で五人と付き合ったが、付き合うたびにいじめられる速度が早くなって、別れるのも早くなっていったので、経験ははじめと次の女子だけだった。高校の間に背がぐんと伸びて、三年生になったときは、運動もそこそこできた。

 だんだん母の儚さが現れたようで、大人にだけバレる色気のようなものが出てきて、綺麗な男だと、先生から陰で讃えられていた。もちろん宮嶋は気づいていたが、全然知らないふりをして、むしろ子供っぽく振る舞った。

 四人目の彼女は特別だった。その子は宮嶋の容姿にだけ惚れたらしかったから、宮嶋もその子の前では無理に優しくしたりせず、ほとんど口をきいたりもしなかった。それが本来の宮嶋である。その子は宮嶋の容姿を本当に好んでいて、特に顔が好きだったらしく、何度も唇をつけられた。その子が特別扱いなのに嫉妬し、一番早くいじめられて、すぐに別れたが、宮嶋にとって、気が楽で、最も良い交際だった。

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