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「つまり……、レオン様は私の幼い頃に面識があったのですね…」


話を聞いて幼い頃は目まぐるしく忙しくあまり記憶がなかった。


勉強をある程度したあと、慈善活動の令嬢やナナリアに礼儀作法などを教えてもらいながら孤児院の手伝いをしたり、シスター見習いとしてシスターの手伝いもしていた。


だからこそ、大変申し訳ない事をしたと感じつつ、話を聞いていて自分が初恋の相手だという衝撃的な事実に顔が熱くなった。


「あ、あの……」

「悪い、今までの発言でお前を困惑させる事ばかり言って嫌われても仕方がないと思ってる……」

「レオン様の人物像が安定していませんでしたものね」


ナージェが口を挟み、うるさいと睨みつける。


変な事を言ったり会話が噛み合わなかったのは、アンジェとどう接すればいいか分からず頭が回らなくなったからだという。


二十七歳にしてこんな恥ずかしい事があってはならないと、どうにか考えたが、挙句の果てにはアンジェを三週間も閉じ込めるように指示するよう命令したのはアーサーだった。


アンジェがユーロに何か訴えかけた日、その命令が出てその指示をする為に部屋へ向かうと、アンジェの部屋にユーロを招き入れている事も気に入らなかったうえ、何かを必死に話している所を見て嫉妬心でどうにかなりそうだった。


こんな自分にも嫌気がさした。念願の彼女と政略結婚ができると思っていたのに、こんなに自分の恋情に振り回されてみっともない所ばかりを晒してしまって自己嫌悪に陥り、アンジェには冷たくアーサーの言われるがまま謹慎を言い渡してしまったのだ。


おそらく、朝日を見た時に少しは仲良くなれたと思っていた矢先に突然冷たく言い放たれて閉じ込められたのは心にくるものがあっただろう。言い渡した自分がそうだったからだ。


しかし、面会をする事も許されず、謝罪や言い訳をする間も与えられず、騎士団の面倒を忙しく見ているうちに三週間が経過していた。


「こんな事を言われて迷惑だろうと思う。だが、婚約者となった今政略結婚の事実は覆らない、だから俺の事は嫌いでも構わない。だが、王太子妃としての役目を果たして欲しい」


なんて言葉をかけるべきか悩んでいると、レオンは一方的に突き放すような言い方をしてアンジェの心を更に苦しめさせた。


「えっと――」

「良い、無理に何か言おうとする必要はない」

「だから――」

「前のように朝に突然行く事もないから安心しろ」

「あの――!」

「食事も無理に一緒にする必要もない」


アンジェの言葉を述べようとする物全てにくるしめさs耳をふさぐように聞き入れず、自分の意見をすべて押し付けるように述べてさっさと出て行ってしまった。


これは流石のアンジェも眉間に深く皺をつけさせた。


考えて発言をするゆえ、口数の少ない自分がこの時は心底恨めしいと思った。


自分の発言を何一つ受け入れてもらえなかった事に初めて苛立ちを覚え、この苛立ちを諌めるにはどうすればいいのか考えながらドレスの裾をぎゅっと強く握り締めた。アンジェにとって初めてのやり場のない怒りだった。


傍から見ていたナージェは、「こういう時はこうするのです」と、感情をあらわにする事の少なかったアンジェへクッションを壁へ投げて見せ、にこりと微笑む、それに倣うようにクッションを壁に投げつけた。


「何もない壁にクッションを投げるくらいであれば私達も掃除が楽なのでこれくらいは大丈夫です。……アンジェ様は溜め込むお方なので、こういう時はもう少しわかりやすく表現しなければいけませんね」

「そうね…、自分の意見をもっと言えるようになりたいです」


少し気が晴れたアンジェはナージェに抱きつき不出来を悔いた。


どこかでタイミングを見てきちんと話さなければいけない、その為の作戦を考えなければならなかった。



◇◇◇

2019/05/12済

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