リビングについて
妹と弟どっちが欲しいですか?
朝、起きて靴下の中を見ると
何も入っていなかった。
去年のクリスマスに
サンタさんに殺意がめばえてしまったから
悪い子とみなされプレゼントを
間違えてすらくれなかったようだ。
プレゼントがないという
事実を受け入れてとぼとぼと
自分の部屋を出て階段を降りた。
二階建てのごく普通の一軒家の
二階の部屋の一つが僕の部屋になっている。
テレビを見ようと思い
リビングに向かった。
リビングにつながる扉を開けたときだった。
「えっ………」
のんびり屋とよく友達から言われるが
さすがの僕も驚いた。
リビングのソファーに知らない少女がいるのだから。
優しくふんわりとした冬の雪景色のような髪に
瞳はサファイアを埋め込んだように綺麗で透き通っている。
だが瞳は半目で、目にはくまができている。
ソファーに座っているのに体育座りをして縮こまっている。
僕を見て少し震えているように見えた。
「悠斗起きたのか」
背後から聞き覚えのある声がし振り返る。
「父さん、あの子は誰?」
「あの子は…その…」
「サンタさんが連れてきたの?」
「あ…、そうそうサンタさんが妹を連れてきたんだよ」
「本当!?」
僕は珍しく気持ちがたかぶった。
一年越しにサンタさんが妹を持ってきてくれた。
「…………」
まだそのときには知らなかったが
妹 高坂 由希は虐待を受けて
両親が預かったことを。
それがたまたまクリスマスの日だったのだ。