第32話「対等な関係」
読んでくださる方に、合う作品であることを祈りつつ。
2018/07/08 2時 誤字修正
「お前、いい加減にしろよ」
「何が?」
「いつまで、色着けやってんだよ!」
「何で、知ってんの?」
社長権限で、特別にシリアル機を許可したのだが、渡してからというもの、飛鳥はキャラメイクに夢中で、あれよあれよという間にランクは堕ち、ついにシリアル機を回収しなければならない順位まで堕ちていた。
ラルフは、シリアル機を管理している社員に「まぁ、今は色着けにハマッてるみたいだから、それが終われば、あっという間に戻るだろうし、今は勘弁してやってくれ」と言いはしたが、一度は、釘を刺しておこうと、連絡してきたのである。
「そんなの、ログ見りゃ分かんだよ!」
「だってさー、カッコ良く決まってから、出撃したいじゃん!」
「まぁ、解らんでもないが……終わったら、すぐ順位上げろよ! 解ったな!」
「らじゃ!」
敬礼というよりも、てへぺろ的な表情に不安を感じながら、回線を落とした。
しかし、プレイされないまま、順位は徐々に下がって行き、
「おーい! テメー、832位だぞ! サッサとやって、640以内に戻せ!」
「だって、今、お姉ちゃんの手伝いで、忙しいんだモン」
「手伝い? 雅のオペレーターしてんのか?」
「うん」
「なんでだ?」
「秘密ですぅー!」
「理由ぐらい言えよ! シリアル取り上げられないようにしてやってんだぞ!」
「秘密ですぅー!」
こ、このガキ!
とはいえ、飛鳥の才能を認めてるだけに取り上げ難い、シリアル機の管理社員には「今は、オペレーターも覚えてるらしい。まぁ、一日もあれば、アイツなら取り返せるだろうから」と、守って来たのも束の間、あっという間に1000を超えてしまう。
そして、再び、その許可した社長が直々に、3度目の注意を促す。
「テメー! いい加減にしないと、取りあげんぞ!」
「えぇぇぇぇ~、タイガーさんは白(ランク外)なのに、機械が家に有るんでしょ?」
「おいおいおいおい、副社長と一緒にしてんじゃねーよ!」
「プロって言ったって、インベイドの社員みたいなモンじゃん」
飛鳥の発言は、的を射ており、ゲームの成績によってお金を支払うとなると、日本では風営法で引っ掛かってしまう為、芸能プロダクションがタレントを雇うように、インベイド社の広報活動する者として雇っているという形で、換金の際、給与として支払っているのだ。
「お前、馬鹿なのに鋭いな」
「馬鹿じゃありませんー! ちゃんと高校に、う・か・り・ま・し・たぁー!」
「どこの馬鹿校だよ?」
「馬鹿言うな! 桃李って、立派な名前ですぅー!」
「とうり……どっかで、聞いたよーな……」
深く記憶を探ったが思い出せない、まぁ大した事ではないのだろうと、話を戻す。
「で、なんで、雅のオペレーターしてんだよ!」
「秘密ですぅー!」
「あのさ、お前、この前から気になってんだけど、なんで俺に敬語使わねーんだよ! 俺、歳上だぞ!」
「じゃ、なんでアタシお客様なのに、敬語で話さないのよ!」
「お前、無料でゲームさせてもらっといて、お客様のつもりなのかよ! インベイド社とプレイヤーはな、対等の立場なんだよ!」
「だったら、タメ口でいいじゃん」
キィィィーーーッ!
分が悪くなったラルフは、慌てて違う角度から攻める。
「お前、ひょっとして、俺の事、友達だと思ってんじゃねーだろーな!」
「え? 友達じゃん」
「こ・の・ク・ソ・ガ・キがぁー!」
「クソガキなんて、レディーに失礼よ!」
「はぁ? おめーみてーな、ション便くせーガキを、なんでレディー扱いしなきゃなんねーんだよ!」
「お下品ねー、これだからゲームやる人は!」
「てめぇー、言って良い事と悪い事あるんだぞ! ゲームの所為にすんじゃねー!」
「はいはい」
「で、理由は、なんなんだ! 場合によっては、シリアル機取り上げるの考えてやる」
「仕方ないなぁ~、他の人には秘密だよぉ。ラルさんが、友達だから言うんだからねぇ」
「フを付けろ! 三文字の名前、略してんじゃねー!」
「なんかねー、リベンジしたいヤツが居るんだって」
「リベンジ? お前が仇とってやればいいじゃねーか」
「駄目なんだって」
すると飛鳥は、キリッとした表情になり「ダメ! アタシの獲物なの! 取らないで!」と、雅の真似をしてみせた。
「って、言われちゃったからさー」
「そいつ、誰だ? 強いのか?」
「えーっとねー、スカルドラゴンだったかな? 強さわねー、微妙かなー?」
ラルフは、スカルドラゴンを検索し、そのデータを見る。
「現在、97位。最高位は……」
37位?
それを微妙って言うか、シリアルキラー。
刀真との対決が楽しみだな。
「そうだ、お前、ドライバーネーム変えなくて良いのか?」
「んー、シリアルキラーって名前、カッコいいかなって思っててさ。いつでも、変えれるからさー、他に良いの思いついたら変えよーかなーってね」
「ところで、お前、人見知りって言ってなかったか?」
「うん、そだよ」
「どこがだよ!」
「ラルさんが、話し易いからかなぁ?」
「だぁ~かぁ~らぁ~、フを付けろ!」
読んでくれて、ありがとう。




