愛はお金で買えるのか?
河合律子25歳
入社3年目
彼氏なし
地味でパッとしない
オシャレでもない
資格も特技も趣味もない
けど、真面目にコツコツやってきた
それはいきなり訪れた
会社の倒産
いつものように出社すると
全てがなくなっていた
部屋のものを運ぶ人に聞いてようやく理解した
会社が倒産したと
その後の就職活動
ドジで
おどおどして自分の意見もなかなか言えない
少し突っ込まれると黙ってしまう
就活を初めて3ヶ月すでに50社以上落ちた
やっとのことで最終面接に残った1社への面接に向かう
最終面接に残ったのは初
前日緊張ではなかなか寝れず
起きたらギリギリの時間。
自転車を急いで漕ぐ。
駅目前
ガシャーン
自転車と高級車衝突
顔に擦り傷
電車出発
間に合わず
涙
もう、ホント最悪、ついてない
車の人
サングラスをかけたちょっと強面の40歳ぐらい
大した傷じゃなさそうだけどそんなに痛かったの〜
そう言われた時にいつもは何も言えない律子の何かがキレた
『あなたのせいで…
あなたに何がわかるのよ
やっと就職できるかもしれなかったのに…
もうお金もないのに…
今日最終面接だったんですよ
もう間に合わない…
最悪…』
泣きじゃくる律子を見て
男は言った
『ならうちで雇ってやるよ』
『え?』
キョトンとする律子
『聞こえなかったか?仕事が欲しいんだろ?うちで雇ってやるよ』
就職決まった
神はまだ見放してはいなかった
初出社
佐原相談事務所
どうやらあの高級車に乗ったおじさんは相談事務所の社長だったらしい
相談事務所は大きなビルの6階にあった
小さく相談事務所と表記してあるだけで何処が暗い雰囲気
入ると個室では派手な明らかに金持ちのおばさんが嬉しそうに現金の束を支払ってるのが見えた
200万円以上はあるんじゃないかと思う
従業員は10名ほど
おばさんが調子よく出てくると
みんな満面の笑みで愛想よく見送る
なんだか雰囲気のいいこじんまりとした会社だなぁっとホッとした
だか、おばさんが出て行った瞬間全員の笑顔が一瞬にして消えデスクに座った
『みんな注目。
うちに今日から入社の だ。会計処理など、事務作業をやってもらう。あとはお茶汲みでもやってもらえ。よろしくな。以上。仕事に戻れ。』
みんなへの挨拶も考えていたが全く言う間も無く、そっけなく終わった。
自分のデスクに案内された。
隣には長身でスラッとして、これぞ才色兼備という感じの女性の席のとなり。
何をやったらいいか分からず、とりあえず、自己紹介をしようと話しかけるが
『今忙しいの、話しかけないで。』
と冷たくあしらわれた。
デスクに書いてある名前は
松永瞳とあった
その後社長から言われてきた男性社員に一通り事務作業のやり方を教わった。
入社2日目の会社の帰り道
ガラス越しに今まで仕事ではみたこともないぐらい楽しそうにジムで男性と話す松永さんを発見した
それは明らかに恋人のようであった
なんだ、あんな幸せそうな顔するんだ
っとなんだか親近感が湧いた
次の日またそのジムからでてくる松永さんと男性と遭遇
思わず、松永さーん、と話しかけると
相当びっくりした様子で
『人違いです、行きましょう』
とスタスタと行ってしまった
次の日の出社してすぐ
松永さんにすごい剣幕で話しかけられた
『あなた、何を考えてるの⁈⁈
私たちの仕事分かってる⁈⁈
仕事中なのよ⁈絶対に名前で話しかけないで!!』
勢いに押されるがまま何も言えなかった。
意味が分からなく困惑していると
社長がまあまあ…といってわってきた
松永さんはまだ納得してない様子
社長に でも…と抗議する
『あの、仕事中って、ジムの帰りでしたよね⁈』
やっとの思いで声を出すと
社長
『あっ言ってなかったっけ?うちの仕事…
うち、別れさせ屋だよ⁈』
別れさせ屋⁈⁈
別れさせ屋とは
主に夫婦、恋人と別れさせる
方法は
ある時は
ターゲットの好みを調べ上げ
理想の相手を作り上げ
さも偶然のように近づき
好きにさせる
自分から別れを切り出させ
ミッション完了後速やかに捨て去る
ある時は
信頼させ、親友のように接し
別れるような情報を流し、アドバイスする
ミッション完了後、引っ越しなどを装い連絡を断つ
手段は選ばない
一人で何人もの顔と名前を持つ
冷静 沈着
全ては偶然ではなく必然
人の心を操るスペシャリストが集まった
違法ギリギリの仕事である
これは、別れさせ屋に就職した律子がみた物語である