助手の余談
オレは以前ウェストミンスターにある、とあるパブリック・スクールに通っていたのだ。
だが両親が亡くなり、訳あってyear10を終えると同時にシックスフォームを提供しているステート・スクールに転校した。
今だから言えるが、パブリック・スクールでは求められるものは成績成績成績。
そうでない奴らもいるが、そいつらは大抵裕福な奴らで、奨学金組は毎日空気が重かった。
両親は会社を経営していた。と言っても、そこまで大きな会社では無かったが。
流石にオレ達2人をパブリック・スクールに入れるのは学費が馬鹿高い、両親の負担も相当になる。
オレ達兄妹は別にステート・スクールでも良かったのだ。同じ学校にいけるなら。
両親もオレ達を同じ学校に入れることには賛同した。しかし、どうせなら2人とも良い学校に行かせてやりたいと言った。
「もし、私達がいなくなっても貴方達2人が困らないようにしたいの。お金のことは私達が頑張ればなんとかなるだろうから。」母がそう言っていたのを覚えている。きっと母なりの親心だったのだろう。
2人とも優しい人だったから。
そしてオレは考えた。自分で言うのも何だが、オレは成績は良い方だ。
だからライザは普通、オレは奨学金で入学した。
その為にオレは死ぬ気で勉強もしたりしたが、まぁ、ライザの笑顔の為なら安いもんだと思う。
ライザにだけは笑っていて欲しかった。
その後両親は実際にいなくなった。亡くなった。
ギルにはその時にお世話になった。
まぁ、その話はいつかまた、機会があればしたいと思う。
さて、そんな環境にいたせいだろう、オレはステート・スクールに来て驚いた。笑顔が多い。
最初はオレも戸惑った。
でも、今はここに来て良かったと思ってる。
だってオレは今、毎日が楽しいと本気で思えているんだ。
それに、心なしかライザの笑顔も増えた。
オレの行動はライザや両親を思っての行動だったと今でも断言できるし、後悔もしていない。
しかし、その行動で心配をかけさせていたのだと思うと、少し複雑な気持ちになった。
だからこそ俺たち兄妹を助けてくれたギルには本当に感謝してるんだよ、これでもな。