「死亡フラグを立てまくろう!」「やめろ!」
ここはとある戦場の前線。
銃声と断末魔が響くこの世の地獄。血を血で洗う日々。
これは、その地獄の中で部隊からはぐれた、ある軍人二人の話である。
「なあ・・・」
背の高い男が、背の低い男に話しかける。
「なんだよ」
背の低い男は、うっとおしそうに返事をする。
「俺さ、思ったんだよ」
「なにをだよ」
「死亡フラグってあるだろ?」
「ああ、あの言うと死ぬとか言う・・・」
「そうそう。それについてなんだけどよ」
背の高い男は一息つき、そして
「死亡フラグを立てまくれば、逆に死なないと思うんだよ」
と、真面目な顔で、はっきりとした声で言った。
「・・・え?」
「ほら、逆に生存フラグにかわるんじゃないか?」
「いや、かわるわけないだろう」
「というわけで、俺は今から死亡フラグを立てまくる!」
「お、おい!立つな立つな!撃たれるぞ!」
勢いよく遮蔽物から頭を出した背の高い男を、背の低い男が急いでしゃがませた。
「よし、それじゃあ張り切っていくぞ!」
「やめておけよ・・・」
「なあ・・・。俺、この戦いが終わったら、結婚するんだ・・・」
そう言い終わった瞬間、二人のいる場所に手榴弾が投げ込まれた。
「うおおおおお!!!お前何してんだ!!!」
背の低い男が急いで手榴弾を投げ返した。その直後、手榴弾は爆発した。
「や・・・やったか?」
「やめろ!またくるぞ!」
手榴弾が投げ込まれた。
背の低い男が投げ返した。
爆発した。
「ふう。こんなもんかな」
「なにがこんなもんだ!二回も立てた直後に危機がきてんじゃねえか!」
「でも死んでない!」
「死にたくないからな!」
「さて、次の死亡フラグだ!」
「もうやめろ!・・・しかし、少し寒いな」
「そうだな・・・ん?窓が開いているな。閉めておこう」
そういって、窓を閉めに行こうとすると、その窓から手榴弾が投げ込まれた。
「う、うおおおおおお!!!!」
背の低い男が投げ返した。そして手榴弾は爆発した。その後、背の高い男は窓を閉めた。
「よし、窓は閉めたぞ!これで寒くない」
「お前、もうやめろ!死ぬぞ!」
「いや、今のはお前が・・・」
「とにかくもうやめろ!」
「えぇー・・・」
「さて・・・。ずっとここに隠れているわけにもいかない。ここからでて、敵兵に見つからないように部隊に合流するぞ」
背の低い男が真剣な顔で言う。
「ま、またあんな危険な場所に行くっていうのか!?お、俺はここから動かないからな!絶対だからな!」
背の高い男が言い終わると、手榴弾が投げ込まれた。
「てめえええええ!!!」
背の低い男が洗練された無駄のない動きで遠くに手榴弾を投げた。手榴弾は遠くで爆発した。
「この野郎・・・!」
「いや、大丈夫かなって思って」
「大丈夫じゃないからもうやめろ!」
「わかったよ・・・」
二人は部隊に合流するため、遮蔽物からでた。
「おい、無線で部隊に連絡してくれ」
「わかった。もしもし、もしもーし!・・・電話線が・・・切られてる・・・!」
二人のいる場所に、手榴弾が投げ込まれた。
「貴様あああああ!!!!」
遠投140メートルくらいいけると豪語する背の低い男がすばやく手榴弾をつかみ、遠くに放り投げる。そして手榴弾は爆発した。
「貴様・・・貴様・・・!」
「じょ、冗談だって!」
「貴様と一緒にいたらろくなことがない・・・!
貴様となんて一緒にいられるか!俺は一人で部隊と合流する!これからは別行動だ!!!」
そう言い放った直後、背の低い男の眉間に銃弾が撃ち込まれ、背の低い男は死んだ。
「え、え~・・・」
その後、背の高い男はがんばって部隊に合流し、無事生還した。
おしまい
トミカの自衛隊 係争甲機動車 SCALE 1/66を見てたら書いてました。
面白いと思ってくれたらうれしいです。