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創造神たちの傭兵  作者: 仁 尚
聖域の中の母娘 編
80/180

幕間

 今回は2話連続更新です。

 まずは、(10)を読んでください。

 木漏れ日の森から遠く離れた運河の中継地となる、ある都市の中で最高級と言われるホテルの一室。


 強面の男たちを背中に配し、男は客人である青年を迎えていた。


「お久しぶりですね。捕まったという話題を聞かなかったので、死んだかと思っていましたよ」


 明らかに作り笑いを顔に貼り付けました、と言わんばかりの笑みを浮かべる魔法使い然とした格好の青年の言葉に、男の眉頭が震える。


「相変わらず、口が過ぎるな。貴様は」

 幾度と無く、”仕事”を融通してきた男にとって、青年の人となりは理解していたが、余裕のない今は、青年の言葉が鼻に付いた。


「おや、いいのですか?あなたは現在、追われる身なのですよ・・・・どうも、あなたはご自身の立場が解っていないようだ」

 エイレーネと同じ台詞を言われ、男は舌打ちし、押し黙る。


「・・・・・まぁ、先ほどの言葉と舌打ちは聞かなかったことにいたしましょう。で、お話しとは?」

 流れを持っていこうとする青年に、男も負けじと、平静を装い深々とソファーに腰掛ける。

「最近、パーティーを組んだそうだな?そんなお前に、ある仕事を頼みたい」


 男は当初、目の前の青年がパーティーを組んだという情報を、俄かに信じられなかった。


 しかも、青年がリーダーでなく、別の人間がリーダーだというのだ。

 だが、交渉の場には青年を含めて女性が一人――少々扇情的に作り変えられた巫女装束だが、その姿から、アルターレ護国の出身だとわかる――しか現れず、「他のメンバーは?」と青年に質問すると「リーダーを含め、他のメンバーはあまり社交性がないので」と、はぐらかされてしまったので、やはり男は何かの間違いでは?と思った。


 かわって青年の方はと言うと、仕事の話だとは想像が付いていたので、その目に怪しい光が宿る。

「受けるのは構いませんが・・・・・しかし、今の貴方にこちらが満足するだけの報酬が出せるのですか?」

 挑戦的な青年の言葉に、男は”品物”を取り出し、テーブルに並べる。


「お前が欲しがっていた魔法具だ。複製品ではなく、オリジナルのな。これが、手付金。後は、成功報酬にこれだけ出そう」

 男の部下が持ってきた金額に、巫女の女性が息を飲み、青年は一瞬目を見張り、すぐに笑みを貼り付けた。

「なるほど・・・・・腐っても、元管理役というわけですか・・・・・しかし、これほどの金額を出して、失礼ですがこれから先、やって行けるのですか?」

 心配と言うより、単なる興味から出た青年の言葉に、男は自信満々な表情を浮かべる。


「お前たちが、私の依頼を完遂すれば、私はまた返り咲けるのでな。そうなれば、その程度金額、端金なのだよ」

 事実上、男の故郷といえる国は滅び、返り咲ける場所など無いのでは?と青年は思ったが、男の自信に満ちた表情に、何か裏があると勘ぐり、薮を突付く前に本題へと入った。


「そうですか・・・・・・・では、依頼内容をお聞きしましょうか?」

「ルーン王国の王家直轄地、木漏れ日の森の奥にある聖域に、隠れ住んでいるという珍しい種類の亜人を生きたまま私の元へ連れてくるのが、依頼だ」


 内容を聞き、驚いて表情を変える巫女を一瞥し、青年は男を見据える。


「ほぉ、あそこにはそんな者が住んでいるのですか?こちらが得ていた情報には、無かったですね」

「何?」

 青年が無駄な情報収集をしないことを知っている男は、何故青年が木漏れ日の森の聖域について情報を集めていたのか疑問に思い、怪訝な顔をする。


 男の心を見透かしたように、青年は肩をすくませる。

「いえね、うちのリーダーがあの聖域に封印されている物・・・所謂”秘宝”に、豪くご執心で・・・・・・いつかは行こうと準備はしていましたが、丁度よかった。ついでですし受けましょう、その依頼」

 男とは目的のモノが違うと強調し、依頼を受けると言う青年。


 男は訝しげに青年を見つめるが、自分が動かせる実力を持った駒は彼以外に無く、自分の命が掛かっていることも考慮すると、例え青年にどんな思惑があったとしても他に手はないと、青年に手付金である魔法具を手渡す。


「亜人を確保出来たら、これに連絡を入れろ。引渡し場所を追って連絡する」

 特殊加工が施された小型通信球を男の部下から手渡され、青年が懐へと納めていると、あることに気が付いた。

「では、その亜人の特徴を教えていただけますか?」

 そういえば聞いていなかった、と青年が目標である亜人の特徴を聞こうとしたが、男の顔が苦々しく歪む。

「あの辺りには、他の亜人はいない。行けばすぐに分かる」

 棒読みに近い口調に、「知らないで依頼してきたのかよ」と男に聞こえない程の小声で青年が呟く。

 

「・・・・我々はこれで」

「おい」

 部屋を出て行こうとする青年と巫女を、男が呼び止める。


 面倒だな、と思いつつも一応は依頼主の顔は立てておくかと、二人が立ち止まる。


「お前たちのリーダーが求めている、封印されたモノとは何なのだ?」

 男の問いに、青年は舌打ちする。

――藪を突付きたくないと、こちらは何も聞かずにいるのに、この男は・・・・・。


 ソファーにふんぞり返る男が能天気に見え、内心で毒を吐きながら青年は使い慣れた”笑み”を努めて顔に貼り付ける。


「我々のリーダーは”勇者”なのです。昔も今も勇者が追い求める秘宝は、たった一つですよ」


 それだけ言い残し、青年と巫女は部屋を出ていた。




「何、あのおっさん?ずっとウチの事、エロい目で見てたんだけど?巫女に欲情するとかあり得ないし、そこはかとなくムカつく・・・・」

 終始黙っていた巫女が、口悪く言葉を吐き捨てる。

「コラコラ、女性がそんなことを言うものではありませんよ?それに、巫女と言うには貴女は少々刺激的な格好をされていますから、自業自得ですよ。さて、勇者パーティー初のお仕事です。上手くすれば、色々旨みがありそうですから、頑張らないといけませんね」

 フフフ、と笑いをこぼす青年。


「それはいいけど、”あの人”はどうするの?この国から出禁って言われてるんでしょ?」

「それに関しては、手付金としてもらった魔法具が役に立ちますから、大丈夫ですよ」

 もらった魔法具の一つを取り出し、再び笑い出す青年。


「さぁ、これから忙しくなりそうですね」 


 不穏な空気を纏った二人は、ホテルの外へ出ると人ごみの中へと消えていったのだった。


 次回更新は、4月10日(木)PM11:00過ぎを予定しています。


 変更の場合は、活動報告にてご連絡します。

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