(9) 水と火の関係性
辺りが静かになり、戦闘が終了したのだろうと、フェリシアとフレミーは感じていた。
しかし、二人の警戒レベルは一向に下がらなかった。
いや、この場合は下げることが出来ないというべきだろう。
彼女たちの近くに、昊斗たちが戦っていた方向から光の玉が飛来し、地面に激突した。落下による衝撃は、冬華の置いていった結界によって完璧に防がれたので、誰も怪我を負うことはなかった。
最初は、流れてきた攻撃だと二人は考えたが、フェリシアはすぐさまその考えを捨てた。
衝撃で出来た穴から、彼女が知る気配によく似た気配が、今もひしひしと伝わってくるからだ。
フェリシアの膝を枕にし、冬華のカードを使って、だいぶ落ち着きを取り戻したルールー。その、本来あるべき姿である水の神ルドラに匹敵する、恐怖すら抱く霊力の塊がそこにいる、とフェリシアは無意識にルールーの手を強く握る。
フレミーも、正体が分からずも、規格外すぎる霊力を持った危険な存在がそこにいる、とフェリシアたちの前に移動し、結界を維持する為、さらに霊力を込める。
土煙の中で、何かが動く。
その気配は、フェリシアたちにも伝わり、緊張が走る。
「心配、するでない。フェリシア」
すると、目を覚ましたルールーが、フェリシアの肩に掴まり、立ち上がった。
そして、そのまま結界の外・・・穴の方へと歩き出した。その足取りは、とてもルールーらしくない弱々しいものだ。
「ルーちゃん?!駄目です!!まだ動いちゃ!」
「大丈夫じゃ。フェリシアのお陰で、だいぶマシになった。二人は、結界の中に居るのじゃぞ?」
フェリシアの制止を振り切り、結界の外へ出て行こうとするルールー。
しかし、フェリシアは立ち上がって、ルールーの腕を捉まえる。
「そんなフラフラで・・・何処が大丈夫なんですか!?それに、あそこには・・・・」
あそこにいるのは、水の神に匹敵する存在、つまり火の神が居る。フェリシアは、全部を言い切ることが出来ず、言葉を詰まらせる。
表面上、元通りになったルールーではあるが、それはあくまで表面上のことであり、体内には無理をすれば危険になるほどのダメージが残っていた。
もし、戦闘にでもなれば、一瞬でルールーは火の神に殺されてしまう、とフェリシアは気が気でなかった。
「だからじゃ。妾が行かねば、いけないのじゃ。あそこに居るのは、昔の馴染みなのだからの」
だがルールーは、自分の腕を掴むフェリシアの手を優しく撫で、「あ奴に、逢いに行かせてくれ。フェリシア」と語りかける。
フェリシアは、ルールーの決意を変えることが出来ないと悟り、泣きそうになりながら彼女の腕を離した。
「ありがとう」
堪えられず、泣き崩れるフェリシアの頭を優しく撫でるルールーは、それだけを言い残し結界の外へと出る。
「ルドラ様・・・」
「フレミー、フェリシアを頼むのじゃ」
フレミーに呼び止められるも、ルールーは振り向くことなく前を向き歩いていく。
土煙の中に、ゆらりと人影が写る。
「・・・・・・久しいの。主と会うのはいつ振りじゃろうな?」
口元に笑みを浮かべ、ルールーは煙の向こうに居る馴染みに声を掛ける。
その声に反応したのか、煙の中から覚束ない足取りで、”彼”は現れた。
「のう、火の神よ」
ルールーの前に現れたのは、”男”だった。
文字通り、燃える髪をたなびかせ、服装もルドラ同様、炎をモチーフにしたものを身に着けている。
昊斗と同じぐらいの身長だが、彼よりも細身の為か若干頼りなさげに見える。が、それを補って余りあるほどの神気を纏い、耐性のない人間なら発狂しているかもしれないほどの、存在となっている。
一言も発することなく、俯いたまま棒立ちの火の神カグツチに、ルールーはため息を漏らす。
「何じゃ?久方ぶりに妾に会うから、緊張でもしておるのか?それとも長い年月、誰とも言葉を交わさなかったせいで、言葉を忘れたか?」
軽口を叩くルールーに、カグツチはゆっくりと顔を上げる。
髪と同じく、燃えるような緋色の瞳がルールーの姿を視認し、すぐに地面へと向かう。
「どうして・・・・・・・・・・」
蚊が鳴くような声で、カグツチが呟く。
「ん?何じゃ?」
聞こえんぞ、と言わんばかりにルールーは聞き耳を立てるように、カグツチへ、耳を向ける。
「っ!」
ギリッと、奥歯をかんだカグツチが、突然右腕に炎を纏い、ルールーへと飛び掛る。
「ルドラ様!!」
「ルーちゃん、逃げて!!」
結界の中から、フェリシアたちが叫ぶが、ルールーは一歩たりとも動かなかった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうして、攻撃しないんだ?」
カグツチの攻撃が、ルールーの胸の前数十センチで止まっている。まるで、最初から攻撃を当てるつもりがなかったように、炎にも熱を感じなかった。
「・・・見てくれはまともでも、”中”はボロボロでな。反撃どころか、逃げることさえ難しい・・・・というより、立っておるのも辛いぐらいじゃ」
ルールーの額には、尋常ではないほどの脂汗が滲んでおり、顔色も悪かった。
「あなた方もです。後ろから、僕を討てたはずだ」
空から白い人影が降り立つ。
それは、玉露たちパートナーとの融合状態を保ったままの、昊斗と冬華だった。
「攻撃に殺気も闘気もなく、自分を殺してくれ、と言わんばかりに悲痛な顔をする奴を、後ろから討つ趣味はない。もっとも、どっちかが少しでも感じられたら、躊躇なく消滅していたが」
「なら!」
カグツチが再び、右腕を振り上げる。
「やめなよ・・・・・そんな顔をする神が、神を消滅せるはずないでしょ?」
冬華に指摘されたカグツチは、涙を流し苦悶に満ちた表情をしている。
「どうして・・・・どうして僕を消滅してくれないんですか?!僕は・・・人を殺し、それにルドラまで」
「?!主は、先ほどのことを!?」
「・・・・炎却の衣の中でずっと見ていた・・・っ!何度も叫んで、何度も必死に止めようとした。でも僕には、見ていることしか出来なかった!!衣によって人々が殺されたときも、ルドラを握りつぶそうとしたときも!僕は・・・・・ただ、見ていることしか出来なかったんだ・・・・・」
「じゃが、それは主の意思では・・」
「例えそうでも、あれは僕の力であり、僕の一部。あれの罪は僕の罪だ・・・・・・・僕は罪を償わないといけない・・・だから!」
声を嗄らさんがごとく、叫ぶカグツチ。しかし、その言葉に、昊斗がため息を漏らした。
「立派な考えだが・・・だから、死んで償う、か?随分、甘ったれたことを言う神だな」
「悪いけど、そんな事したって誰も喜ばないよ。安易に死を選ぶのはね、誰の為でもない、自分の為でしかないの。そんなものは償いでもなんでもない、ただの逃避だよ。考えても見て、ルーちゃんは君のために、自分の身を犠牲にして助けようとしてたんだよ?もし、君が死んでいたら、残されたあの子の気持ちはどうするの?君を助けられなかった、と癒えない心の傷を彼女に負わせるの?」
辛辣など生ぬるい、刃物と化した言葉が、カグツチを突き刺していく。
「なら・・・・僕はどうしたら!!」
「生きろ」
「え?」
簡潔な答えにカグツチは、勢いを失う。
「「どうしたら」なんて答え、生きて自分自身で見つけるしかない。人間を殺したことも、ルールーを傷つけたことも背負って生き続けろ。そうしたら、見えるかもしれないな、償う方法って奴が」
「!・・・・ルドラ、君は!君は・・・それで許せるのか?君を攻撃し、傷つけた僕がのうのうと生きるなんて・・・」
「攻撃されるのを覚悟で、主の前に出たのじゃ。この怪我は妾のせいであって、主の責任ではない。そして今回の件も本当の意味では、主のせいではないのじゃ。元を正せば、妾たちが・・・・・いや、妾が悪いのじゃ」
ルールーは、何かを思い出すかのように天を見上げる。
「あの日・・・あの方から力を盗んだ日。あの方は、主に炎却の衣を制御する為の力を準備し、渡そうとしていたそうじゃ。じゃが、妾が主を巻き込んでしまったせいで、あの方は力を渡すことが出来なかった・・・・妾が主を唆さなければ、こんなことにはならなかったのじゃ・・・・・・」
そう言って、ルールーの掌に、ビー玉大の大きさの宝石が現れる。
「それは?」
「これは、炎却の衣を制御する為の力じゃ」
「は?」
全員の目が点になる。
「ルーちゃん、どうしてそんなモノを?」
「あの方に力を返した際、預かったのじゃ。「もし、カグツチに出会うことがあれば、渡して欲しい」とな」
「どうして、そんな大事なことを」
冬華の言葉に、ルールーは自嘲気味に笑みを浮かべる。
「妾は何処かで、これは自身の力で如何にかすべき事と思っておった。それが、カグツチへの罪滅ぼしになるのではないか?とな。じゃから、フェリシアはもちろん、ソラトやトウカたちにも相談せずにいた。じゃが、今となっては、やはり主らには話しておくべきじゃったな・・・・・」
「そうだったのか」
ルールーが、カグツチに会うのを急いでいた本当の理由を知り、昊斗は何度も肯く。
一呼吸おき、ルールーはカグツチの方へ向きなおり、深々と頭を下げた。
「ごめんなさい」
いつもの口調とは違う、フェリシアたちと生活し、その言葉の大切さを知ったルールーの謝罪。
その言葉に込められた思いがカグツチに伝わったのか、彼は目を見開いた。
「ル、ルドラ・・・・」
「ずっと謝りたかった。自分の浅はかな考えで、主に道を踏み外させてしまったことを。妾のことを、恨んでくれて構わぬ。じゃが、最後にひとつだけ、勝手だとは思うが妾の願いを聞いて欲しい・・・・・・お願いじゃ、もう二度と消滅してくれなどと言わんでくれ・・・・。妾は、主に生きてもらいたいのじゃ」
制御の力を差し出すルールーの言葉に、カグツチはどう返したらいいか分からず、視線が泳ぐ。
「ルドラ・・・・いいのかな?こんな僕が、生きていても」
「例え、創造主であるあの方が、主に死ねと言ったとしても、妾は主に生きていてもらいたい・・・・一緒に生きて欲しい」
「・・・・・ありがとう」
そう言って、制御の玉を受け取ったカグツチは、フラフラとしていたルールーの身体を、優しく抱きしめた。
「?!な、何をするのじゃ!!」
カグツチのまさかの行動に、ルールーは度肝を抜かれ、アタフタと彼の腕の中で暴れている。
「少し、少しの間でいいから・・・・こうさせてくれないかな?」
「っっっ!・・・好きにせい!」
耳元で囁かれた声に、ルールーは観念し、彼女も何処か嬉しそうに、カグツチの身体を抱きしめていた。
「これで、一件落着でしょうか?」
危険はないと判断したフェリシアとフレミーが、結界を解いて昊斗たちの横に並ぶ。
「ん~、ちょっと早いかな?」
「え?」
「感動的なところすまないが、まだこちらの用件が残っているんだけどな」
「!」「!?」
昊斗に声を掛けられ、ルールーとカグツチが慌てて離れる。
その際、ふらついて倒れそうになるルールーをカグツチが抱き寄せ、恥ずかしくなったルールーが突き飛ばしてしまう。
「主は、こんな恥ずかしいことを平気でやるような奴じゃったのか?!」
「ご、ごめん・・・・そんなつもりは」
「微笑ましいね」
「そんな事言ってる場合じゃないだろ?さて、火の神カグツチよ。真面目な話をしたいんだが?」
「は、はい!」
邪魔になると思い、ルールーはカグツチの手を離し、フェリシアたちの元へと歩いていく。
「改めて、グラン・バースの創造神の依頼でやってきた傭兵チーム。リーダーの奥苑昊斗だ。こっちは、仲間の棗冬華」
「よろしくね」
「どうも」
先ほどまで人間とは思えない戦いぶりを見せ付けた二人に、少々恐怖を抱くカグツチ。
「あと二人仲間が居るが、今は顔を出せないんで後で紹介する。さて、今回の件も含めて、君にはいくつか聞かなければならないが、その前に、二つ質問に答えてくれ。ただし、ここで虚偽の言葉を吐けば、ルールーには悪いが君を処分することとなるので、そのつもりで居てくれ」
昊斗の言葉に、ルールーが身を乗り出すが、昊斗にも仕事に対し信念があるため、そこを曲げるつもりはなく、ルールーの方へは視線を向けなかった。
「・・・・・・・・はい。僕が答えられることなら」
ことの重大さをきちんと認識したのか、カグツチは居住まいを正し、昊斗を見つめる。
「まず一つ。君は、この世界に対し、何かしらの害を及ぼそうと考えてはいるか?」
質問の意図が瞬時に理解できなかったのか、少し間が開くカグツチだったが、質問の意味が頭に入ってきた瞬間、驚いて飛び上がった。
「え?!そ、そんなつもりは微塵もありません!僕は、この世界が好きで、そこに住む人や動物、植物全ての生き物が好きなんです。だから、世界を滅ぼすとか考えたことなんて一度も・・・・」
返答を聞き、昊斗は冬華へ視線を送る。
彼女は、昊斗を見つめ、肯く。
「そうか。次に、俺たちの目的は、君たち代理神が盗んで行った創造神の力を返してもらうことなんだが、君は創造神に力を返す気はあるか?」
「あの方の力を・・・・・返すことが出来るのですか?」
「あぁ。その代わり、君にも創造神の元へ来てもらわなければいけないがな」
実のところ、カグツチが創造神の元に行く必要はなく、昊斗たちが力だけを受け取り、彼の元に送れば済む話なのだが、この質問の目的は、カグツチも行かなければいけないと、伝えた時の彼の反応を見るためだ。
「はい!ぜひ、お願いします!!僕も出来ることなら、盗んでしまった力をあの方に会って直接お返しして、謝罪したいと思っていましたので!!」
その言葉を聞き、昊斗と冬華はキョトンとし、破顔した。
「分かった・・・・傭兵、奥苑昊斗の名において指定していた、火の神カグツチの指定危険神の認定を、撤回する!!」
昊斗が何を言っているのか、分からなかったフェリシアやルールーたちが首をかしげる。
「えっとね。簡単に言うと、昊斗君はね、自分の判断で、危険な代理神に対して指定危険神ていう認定を出して、討伐出来る権限を持ってるの。で、今の今まで、カグツチ君にはその認定がなされてたんだけど、撤回しておかないと、傭兵の”組合”から精鋭の討伐部隊がやってきちゃうからね。必要な手続きみたいなものだよ」
明るい口調で説明する冬華だが、内容があまりに怖すぎる為、全員が引いてしまう。
ルールーなどは、「一歩間違えば・・・・・」と、自分のときのことを思い出しているのか、怪我の後遺症と相まって、今にも倒れそうになる。
「それじゃ、とっとと仕事を済ませるか」
「その前に、フェリちゃんたちを旅館に送らないと。このまま、ここに置いていくわけには行かないよ」
さすがに、騒ぎを聞きつけて麓から様子を見に来る人たちがいるかも知れず、その時にフェリシアたちがいると、厄介なことにしかならないので、ひとまずフェリシアたちだけでも、旅館に退避させようと冬華が提案する。
「それもそうだな。ルールー、お前はどうする?」
「・・・・すまぬが、妾は宿で休ませてもらおう。少々、無理をしすぎたようじゃ」
「ルーちゃん!顔が真っ白ですよ!?」
相当無理をしたせいで、顔色が青から白へと変わっていたルールーを、フェリシアとフレミーが支える。
「フェリちゃん、フレミーさん。ルーちゃんをしっかり支えててね。とりあえず、先にフェリちゃんたちを送ってくるね」
「分かった」
冬華の足元に、紋章が浮かび四人の姿が消えた。
「ルドラは、大丈夫でしょうか?」
紋章の消失と共に、光の消えた場所を見つめるカグツチ。
「心配するな。冬華なら、ルールーをあのままにするはずが無いからな」
「ごめん、お待たせ!」
「早!?」
行って戻ってくるまで、数秒足らずだった冬華に、カグツチは驚愕して声を上げる。
「ルールーは?」
対照的に、冬華なら当然の速度、と報告を促す昊斗。
「大丈夫!とびっきり強い回復術式かけて来たから!」
親指を立てて、自信たっぷりに言い切る冬華。
「よし、それじゃ行くか」
自分は、何てとんでもない人間と戦っていた――主に炎却の衣が、だが――のかと、カグツチは改めて身震いし、冬華の展開した空間転移術式の紋章に足を踏み入れるのだった。
**************
転移した先には、ただ真っ白な空間が広がっていた。
「ここは・・・・・・・」
懐かしさがこみ上げたのか、カグツチが目を細める。
「久しぶりじゃな、我が息子よ」
「?!・・・・・・・・まだ、僕をそう呼んでくださるのですか?」
振り向いた先には、彼を生み出した存在。グラン・バースの創造神が立っていた。
「お主は、わしが生み出しのだぞ?何をしようとも、わしの可愛い息子に変わりはない」
「・・・・・父さん」
堪えきれず、カグツチは下を向き嗚咽を漏らす。
「これこれ、男がそう泣くものではないぞ。相変わらずじゃの、お主は」
カグツチが下を向いたことで、自分より背の高い息子の頭を撫でる創造神。
その姿は、まさしく親子そのものだった。
ほんの少し言葉を交わした後、無事、力の受け渡しが終わり、カグツチも創造神も安心したように一息つく。
そんな中、創造神に二つの影が忍び寄る。
「ところで爺さん。聞きたいことがあるんだが?」
なぜか、融合状態を解いていない昊斗と冬華。
そのことで、二人を訝しげに見つめる創造神は、あることに思い至った。
「ん?なんじゃ、急に?おぉ、報酬についてか!それに関しては先方と話がついたぞ!実はの・・・」
「ううん、そうじゃないんだ。炎却の衣の制御に関して、誰から指摘されたの?」
創造神の言葉を遮り、笑顔の冬華が質問をぶつける。
サーっと創造神の顔から血の気が引く。
「な、何の話かの・・・・・あれに関しては、わし自ら気がついたんじゃが・・・」
「はい、ダウト!今の今まで、大ポカやらかしてばかりのアンタが、その大ポカに比べれば、今回の些細なミスに気が付くはずないだろ?素直に話したほうが、アンタの為だぞ?」
被せられるように言葉を遮られ、問い詰められる創造神。
「・・・・・・・・あはは。実は、別の世界の創造神に代理神たちの自慢話していたら、「お前、それじゃ暴走したとき誰が止めるんだ?」と指摘されてしまっての。慌てて作ったのじゃよ」
観念しました、とばかりにおどける創造神に、冬華は笑みを顔に貼り付けたまま、周囲の温度を急降下させる。
「うん、そこに座ろうか」
「え?」
殺気を感じた創造神は、表情を凍らせる。
「そこに座ろうか?正座で」
「・・・・・はい」
笑顔のままの冬華に恐怖した創造神が、小さくなって正座する。
「そんなことだろうと思ってたの。貴方のせいで、ルーちゃんもここにいるカグツチ君も、どれだけ傷ついたと思ってるの?そこの所、理解してるかな?」
「あ、あの・・・・・」
さすがに、創造神の居た堪れない姿を見て、カグツチが冬華に声を掛ける
「カグツチ君はそこで待っててね。君にも、後でお話しがあるから」
「あ、はい・・・・・」
しかし、炎却の衣と戦っていた時以上に殺気立つ冬華を見て、カグツチは本能で彼女に逆らってはいけないと察し、言われてもいないのに正座する。
「どうする、冬華。融合解いて、玉露たちにも手伝ってもらおうか?」
「ううん、それは後で。今は、能力全開でこの神を説教した方が、精神的ダメージ大きいだろうし」
冬華の言葉に、昊斗はワザとらしく、思い出したように手を打つ。
「そういや、なんだかんだで創造神たちも怖いらしいからな、この状態の俺たち」
過去に、共鳴結合した状態でいくつかの創造神と会ったことがあるのだが、ほぼ全員から「攻撃されないと解っていても、死の恐怖を感じるからやめて!」と、泣きながら懇願されたので、それ以降気をつけてはいたのだが・・・・
「それじゃ、お説教を始めましょうか!」
今回に関しては、許す気など微塵もない!と昊斗と冬華の”死の恐怖”を纏ったお説教は、創造神の心を何度となく叩き折り、「もう二度とこのような過ちは犯しません!」と創造神の心からの土下座を持って終了となった。
この間、カグツチはまるで親の情けない姿を見て気を使う子供のように、創造神から目を逸らし、このことは決して他言しないようにしよう、と心に誓うのだった。
次回更新は、2月12日PM11:00ごろを予定しています。
変更の場合は、活動報告にてお知らせします。




