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創造神たちの傭兵  作者: 仁 尚
巫女の国 大いなる野望 編
55/180

(10) 私闘の結果 そして姫巫女の正体

 前へ出る冬華とうかの姿に、孫たちから失笑が漏れる。


「あら、あなた1人?何だったら、騎士の子と一緒でもいいわよ?」

「もしかして、異世界人?なら、私たちの偉大さが分からないようね」

「私たちは・・・・」

「ねぇ、さっきから五月蠅いんだけど?」

 冬華とうかの殺気が、一気に膨れ上がる。


 アルターレ護国の関係者が、耐えられずにバタバタと気を失い、倒れていく。

 何とか踏み留まっているのはマーナと、3人の賢人だけだった。


 まるで、冬華とうかが一歩踏み出すごとに、儀式場内が変質していくような感覚に賢人たちは襲われていた。

 彼女たちは思う、”自分たちの孫はここまで、愚かで盲目だったのか”と。

 

 確かに、トリプルシンボルは希少な存在だ。

 だが、それは”人”の枠内での話である。


 孫たちと対峙する女性は、”人”の枠を大きく外れる存在だと、賢人たちの本能が警鐘を鳴らしていた。

  

「・・・ふん!どうやら、少々痛い目にあった方がいいみたいね」

「あんな小手先のやり方で、私たちをやり込めたと思っていたのなら、大間違いよ?」

「まずは、あなたを血祭りに上げて、そのあとゆっくりルーン王国の姫を料理させてもらう!」


 自分たちの圧倒的有利を信じて疑わない孫たちは、冬華とうかの殺気に気付くどころか、彼女の言葉に苛立ちを覚え、好き勝手言っていた。


 すると、冬華とうかはスッと左手を前に出し、孫たちを指さす。


「聞こえなかったの?私は、五月蠅いって言ったんだよ?それから・・・・まさか、用意ドン!で戦いが始まるとでも思ってるのかな?」

 冬華とうかの言葉に、怪訝な顔をする孫たち。

 

 ふと、冬華とうかの指さす先が自分たちの足元に向いているように感じ、足元へ視線を落とした。


 そこには、小さな球体が転がっていた。


「返すよ」

 その言葉と共に球体が弾け飛び、猛烈なエネルギーが孫たちを襲う。

 それは、彼女たちの精霊が放った攻撃を冬華とうかが凝縮し、球体状に固定していたのだ。

 握り潰した様に見せ、彼女たちの足元へ転送させていたのだった。


 悲鳴を上げることなく、爆発の中に消える賢人の孫たち。


「それじゃ、フェリちゃん。行ってくるけど、一つ言っておくよ。”この前”のように止めに入るのは無しだからね?理由は言わなくても・・・」

 その言葉に、フェリシアが渋い顔をする。

「・・・・トーカさんの言いたいことは分かりますが、その・・・・」

「大丈夫!私の気が済んだらやめるから」

 心配をよそに、冬華とうかは軽い足取りで、土煙の上がる爆発の中心に歩いて行く。


「大丈夫でしょうか?」

「まぁ、金糸雀カナリアも付いていますし・・・・相手を殺してしまう事は無いでしょう」

 不安げに見つめるフェリシアに、玉露ぎょくろが淡々と答える。

(ですが、殺すような目には何度も合わせるでしょうね。あの怒り方を見ると)

 そんなことを、考えながら玉露ぎょくろは、昊斗そらとへと連絡を入れ始めるのだった。



「がは・・・・・・・」

「く・・・一体なにが?」

「ふざけた・・・・手を」


 爆発によって生じた煙の中、賢人の孫たちは精霊たちを使ってダメージを軽減したが、普段から運動をしていなかったため、チョットした痛みで動けずにいた。


「なんだ、まだ動けなかったの?精霊が優秀でも、相方が無能じゃ彼らも可哀想ね」


 煙の中から現れた冬華とうかの姿を見て、3人が驚き、ヨロヨロと立ち上がる。


「ひ、卑怯だわ・・・・」

「何勘違いをしてるの?これは決闘じゃなくて私闘・・・つまりケンカだよ?卑怯なんて言われる筋合いはないし、自分たちが今までやってきたことを棚上げしておいて、良くそんなこと言えるね」

 侮蔑の目で睨む冬華とうかを、3人が睨み返す。


「どうしたの?私が一方的にやっちゃったら、只のイジメでしょ?ケンカなんだから、攻撃したら?・・・・・あぁ、ここじゃ狭い?なら、広い場所に行こうか」

 冬華とうかは、右手に持つ杖を高く掲げ、器用に回し始める。

 すると、彼女の足元に方陣が浮かび上がり、回転させた杖を止めて、中心に突き立てた。


 まばゆい光と共に、現れたのは”荒野”だった。


 儀式場は居たはずの冬華とうかと賢人たちの孫3人は、一瞬の内に何もない、岩だらけの荒野の真ん中に立っていた。

「さぁ、ここなら周りに気にせず攻撃できるでしょ?改めて、始めようか」

 一旦距離を置き、冬華とうかは構える。

 その後方には、広域殲滅用の術式が空を埋め尽くさんばかりに、展開されている。


「?!・・・・・あんなのこけおどし!私たちは、世界に・・・神に選ばれた者なんだから!!」

 精霊に命令し、先ほどと変わり映えのしない攻撃を繰り出す3人。


 仕切り直して臨んだ冬華とうかだったが、ため息が漏れ出た。

 飛んできた攻撃は、冬華とうかの防御術式によって無効化されるか、弾かれ明後日の方へと飛んでいく。


 その光景に、3人は躍起になってさらに攻撃を続けるが、徒労だった。


 ほんの少しでも楽しめると思っていた冬華とうかは、イラっとして自分と孫たちの間に、術式の一つを撃ち込む。

 その破壊力に、3人の顔が凍りつく。


「全く・・・・・トリプルシンボルのくせに、”精霊術”が使えないの?さっきから、霊力を垂れ流したような攻撃ばかり・・・・話にならないよ」


 実の所、精霊術は精霊と契約すればすぐに使えるものではなく、幼い頃からの訓練に、きちんとした知識を身に付ける必要があるのだ。


 アルターレ護国は、巫女だけでなく一般人にも、精霊術等を修めることにタブー視している。

 その為、彼女たちは精霊と契約できても、それを使いこなす方法を知らないのだった。


「・・・・・あなたたちに何があったかはさっきので何となく察しはついたけど、それで私は同情するつもりはない。私が一番ムカついているのはね、あなたたちの目論んだ下らない企みで私の親友や、その子がお婆ちゃんと慕う人を傷つけたことだよ」

 冬華とうかは、親しい人間が傷つけられることを極端に嫌う。

 普段は優しい女の子なのだが、今回のようなことが一度起きると、無慈悲な一面が顔を出すのだ。


 冬華とうかが一歩前へ出る。

 それに連動するように、3人が一歩下がった。

 そこに、先ほどの威勢は欠片もない。


「教えてあげるよ、井の中の蛙さんたち・・・・世界の広さ、そして怖さってやつを。金糸雀カナリア、攻撃と同時に”回復”術式を発動できるよう、リピート展開で準備しておいて」

『はい、我が主。準備は出来ています』

 金糸雀カナリアの言葉を合図に、冬華とうかは、展開していた殲滅術式を解放した。



 3人は一瞬、意識がホワイトアウトした。

 気が付いた時、自分たちがどうなっているか理解できなかった。

 地面に倒れている。そう理解できるのに、10数秒程掛かった。

 

 そして、自分たちの状況を理解した。

「あ・・・あああああああああああああああああああ!!!」

 一人が絶叫する。

 横たわる自分の身体が、腰から下が無くなっているのだ。


「いやああああああああああ!!」

「からだ・・・から!!からだ!!!!!」

 ほかの二人も似たような状況で、身体の彼方此方が千切れ跳んでいた。

 

 だが、次の瞬間。

 彼女たちの身体は服もまとめて何事も無かったように、元通りになっていた。


 立ち上がり、まるで悪夢を見ているような状況を前に、3人は”彼女”が立っているであろう方へ視線を動かすが、そこに姿は無かった。


「どこ見てるの?こっちだよ」

 クスクスと笑い声がする方へ・・・上へと視線を動かすと、冬華とうかは何食わぬ顔で空に浮いていた。 

 

「どうして?って顔してるね。教えてあげようか?簡単だよ、一度で終わらせるつもりがないから。一回程度で私の怒りが収まると思ったら、大きな間違いだよ」


 再び、冬華とうかの背後に術式が展開され、発動する。

 彼女たちの身体を、ピンポン玉程度の大きさの”隕石”がまるで雨のように襲いかかる。


 一瞬の内に3人の身体は肉の塊へと変わるが、瞬く間に元の姿へと”再生”させられる。

 隕石に身体を穿たれ、認識できない速さで回復が繰り返される3人は、数秒で発狂した。


 疑似的にでも不死となり、超常的な回復を何度も体験すれば、まともな人間なら当然である。


 だが、冬華とうかはそれすら許さなかった。


 隕石の雨が止む。

 涙や涎を垂らし壊れた様に笑っていた3人の顔が、素へと戻る。

「!?・・・な、な・・・」

 汚れた顔を拭うことなく、3人は言葉に詰まった。

 先ほどまで自分たちは、まともな状態ではなかった。その”記憶”はある。 

 だが、今は何事も無かったように、まともな状態に戻っていた。


「簡単にリタイアさせてあげる訳がないじゃない。言ったでしょ?この程度で私の怒りは収まらないってさ」

 絶対零度ですら温かく感じる、冬華とうかの笑みの冷たさに3人は凍りつく。 

 冬華とうかは、肉体だけでなく発狂した瞬間に、精神を元の状態に回復する術を同時に展開していた。

 しかも、彼女たちがフェリシアたちに悪態をついていた時の”ある意味”で万全な状態にまでだ。

 懇切丁寧に説明する冬華とうかに対し、初めて自分たちがとんでもない相手を敵に回してしまったことに気が付いた3人。

 しかし、時すでに遅し。


 冬華とうかは、三度術式を展開する。

 3人に交渉の余地などない。

 その可能性を自分たちが打ち砕いたのだ。

 足りない頭がそれを察知し、孫たちは一目散に逃げ出した。


「逃げるんだ・・・・私、追いかけっこは得意だよ」


*********


「トーカさん・・・・・」

 玉露ぎょくろのおかげで”中”の状況を映像で見ながら、フェリシアは心配が的中したことに、悲痛な顔をしている。

 冬華とうかの行動がフェリシアの為だと分かってはいたが、彼女の心境は複雑だった。

 儀式場の真ん中に、先ほどまで無かった物体が鎮座している。

 それは、冬華とうかが用意した宝具で、特殊な加工が施された水晶の中に、空間を作り指定した人間を中に取り込むと言うものだ。


 大規模な戦闘になると考えた冬華とうかが、一番迷惑にならない場所と選んだのがこの宝具の中だった。


 とある創造神のお手製で、昊斗そらとたちが全力を出さない限り壊れない、と言うのが触れ込みだ。


「殿下、お気になさらないで下さいませ。我が孫たちには、あの程度の仕打ちでも生ぬるいのです。国家を危機に晒す愚か者に対し、それ相応の罰が必要ですが、残念なことに我が国に相応しい罰則はありません・・・・・」

 賢人の一人カーナが、情けないと言った面持ちで頭を下げる。


「しかし、仮にもあなた方の孫なのでしょ?庇うという考えはないのですね?」

 聞きにくいことを、あっさり質問する玉露ぎょくろ

「そう思われるのは仕方ありません。ですが、我々は一人の人間である前に巫女であり、この国の舵取りを担う責任のある立場にいます。こう言っては冷たいと思われるかもしれませんが、我々には家族以上に国が大切なのです」

 賢人のシーズの説明を聞き、フェリシアたちは困惑したような表情をし、玉露ぎょくろは「ほう」と声を漏らした。


「相も変わらず、固い考え方ね~」

 儀式場の入り口から声が聞こえ、全員が振り返る。


「まぁ、だからこそ、あたしは貴方達を賢人に押したんだけど」

 入って来たのは、マダムヴァイオレットに昊斗そらと、そしてミユの3人だった。


「ソラトさん!?」

 昊斗そらとの姿を見つけ、フェリシアたちが駆け寄る。

「どうしてここに?!」

「ん?まぁ、色々なコネをつかって、ね」

 そう言って、昊斗そらとはマダムを見る。


「それにしても、玉露ぎょくろから話は聞いたが、冬華とうかがキレて暴れてるんだって?」

 宝具を見ながら、真剣な顔をする昊斗そらと

「!!そうなんです!お願いですソラトさん、トーカさんを止めてください!!」

 例え、自分の為に冬華とうかが怒ってくれていると分かっていても、あんな怖い顔は見たくないと思うフェリシア。

 その必死な声に、昊斗そらとはワシャワシャとフェリシアの頭を撫でる。

「心配しなくていい。それに、俺も怒ってる顔より、笑ってる冬華とうかの顔が好きだしな」

 何気に惚気る昊斗そらと

玉露ぎょくろ、行こうか」

「はい、マスター」

 玉露ぎょくろの姿が消え、昊斗そらとの背後に現れる。

『それより、何気に惚気るのはやめてくれませんか?聞いててこちらが恥ずかしいですよ、マスター』

「お前、そういうのはサラッと流しておけよ・・・・と、そうだった。フレミー!さっきのフェリシアを護った時の反応よかったぞ!」

「え?・・・えぇ?!!」

 宝具へと消える瞬間、昊斗そらとに褒められたフレミーは、どうして知っているのか?という慰問と昊斗そらとに褒められたと言う気持ちで慌てるのだった。


**************


「ほら!どうしたの!?逃げないと、またズタボロになるよ!!」

 空を飛びながら、冬華とうかの雨のような攻撃が3人へと降り注ぐ。


「はーー・・・はー・・・・」

 運動不足の身体が、酸素不足になりフラフラとする。

 どうしてこうなったのだろう、と回らない頭で考える3人。

「あんな・・・女が・・いなければ、こん・・なこと・・には、ならなかったのに!!」

「私たち・・は、わ、悪くない!!」

「もう少しだっ・・・たの、に!!」

 精神状態を回復されているとはいえ、このような状況になっても、3人は自分たちの非を認めなかった。


 そんな彼女らの身体が、天上から降り注ぐ光の筋に包まれる。


「「「ぎぃやあああああああああああああああ!!」」」

 身体が一瞬にして消し炭になり、その傍から超速再生が行われ、そして再び身体が焼かれる。

 気が触れれば、精神回復で元の状態に戻される。完全に生殺しだった。

「あ、熱かった?なら冷まさないとね」

 次の術を準備していた時だ。


冬華とうか、もういいだろ?」

 掲げた右手を掴まれ、冬華とうかが振り返ると、そこには昊斗そらとが険しい顔つきでいた。


「・・・・邪魔しないでくれる?彼女たち、まだ反省してないみたいだから」

「ダメだ。それに彼女たちを裁ける人が来ている。後は、任せればいいだろ?」

「嫌」

 駄々っ子のように、昊斗そらとの手を振り払う冬華とうか

(こりゃ、面倒になったな・・・・あいつら、何やらかしたんだ?此処までキレてる冬華とうか久々だぞ)


「邪魔するなら、昊斗そらと君でも許さないから」

「・・・仕方ない、やるか」

 昊斗そらとは、とある世界で聖剣、魔剣と呼ばれている二振りの剣を取り出し、構える。


 お互い、手の内を知り尽くす仲間。

 先には動けない、と構える冬華とうか

 しかし、昊斗そらとの行動は彼女の予想とは違った。

「先手を取るとか、後手に回るとか、何時からそんな後ろ向きな考えになったんだ?」 

 そう言って、一気に距離を詰めてきたのだ。

「!!・・な!?金糸雀カナリア!!」

 相棒である金糸雀カナリアが、冬華とうかの動きを封じる。

 彼女も、冬華とうかの気持ちを酌んで行動を共にしたが、さすがにやりすぎだと、感じていた。

 現れた昊斗そらとなら、どうにかしてくれると思い、タイミングを見計らっていたのだ。

『いい判断です、金糸雀カナリア

昊斗そらとさん!お願いします!!』

 二人の後押しを受け、昊斗そらとはある一手を繰り出した。

 それは、玉露ぎょくろ金糸雀カナリアの予想の斜め上を行っていた。

 なんせ、昊斗そらとが絶対に取らないと思っていた行動だったからだ。


 突っ込んだ勢いのまま、昊斗そらとは両手の名剣たちを手放し、冬華とうかの唇を奪う形で、口を塞いだのだ。


『な・・・』『そ、昊斗そらとさん!!』

 驚愕の声を上げる二人を気にすることなく、昊斗そらと冬華とうかの腰に手を回し、力を強める。

「!!・・・!?・・・・」

 突然のことに、冬華とうか昊斗そらとの腕の中で暴れるが、徐々にその勢いは失われていく。


「・・・・・落ち着いたか?」

「・・・うん」

 顔を離し、問いかける昊斗そらと

 冬華とうかは顔を真っ赤にし、昊斗そらとの顔が見れないのか恥ずかしそうに俯く。

 そこには、先ほどまでの狂気は微塵もなかった。

「で、でも!・・・止めるなら、もっと別の方法があったんじゃ・・・・あんなの反則だよ」

「前に力ずくで冬華とうか金糸雀カナリアを止めた時、世界の半分を焦土にしてしまって、創造神やノートさんたちに怒られただろ?この中で同じ手は使えなかったしな。それで、ついこの間妹から借りたラノベにあった手を使ってみようと思って試したが、効果は抜群だったな」

 そんなことを言いつつ笑顔を向ける昊斗そらとに、蒸気が噴き出しそうなほど、恥ずかしそうにする冬華とうか

『なるほど、今度から暴れれば、ああやってマスターは止めてくれる訳ですか・・・・』

『そっか・・・・そうすれば昊斗そらとさんに、キスしてもらえるんだ・・・・』

 何か不穏当なことを呟く玉露ぎょくろ金糸雀カナリアだったが、昊斗そらとは敢えて聞かなかったことにする。


「とりあえず、外に出よう。フェリシアたちが待ってるしな」


***********


 光と共に、昊斗そらとたち傭兵と、拘束された孫たち3人が現れる。


「お兄さん、見かけによらず情熱的ね~!見ているこっちが、恥ずかしかったわ」

 ケタケタと笑うマダムに、賢人たちとマーナは微笑ましい光景だと、どこか達観した顔をしている。

 免疫の少ないフェリシアとフレミーには刺激が強かったらしく、昊斗そらとたちと視線が交わると顔を真っ赤にして目線を逸らしていた。

 ルールーはよく分からなかったらしく、様子のおかしい周りを見渡している。


「すみません・・・・とりあえず、彼女たちの身柄をそちらに渡します」

 昊斗そらとは、拘束した3人を、騒ぎを聞きつけ駆けつけた尼僧たちに引き渡す。


「ありがとう。それから、そちらのお姉さんにもお礼を言うわ。あんな風に馬鹿者どものボコボコにしてくれる人っていうのが、この国にはいなくてねぇ~・・・・なかなか痛快だったわよ」

 妖艶な表情をしながら、まるで子供のように笑うマダム。

「は、はぁ・・・ええっと、失礼ですがどちら様でしょうか?」

 なぜか場を仕切っているマダムに、首を傾げる冬華とうか


「あら?お兄さんに聞いてなかったかしら?」

 キョトンとした顔をするマダムの横に、マーナが立つ。 

「皆様、こちらが我がアルターレ護国の代表である、姫巫女のシオン様ですよ」

 紹介されたマダムは居住まいを正す。

「フェリシア殿下、そして神の御使いの方々。お初に目にかかります、私がこの国の代表を務める姫巫女でございます。以後、お見知りおきを」

 

 先ほどの妖艶さはなりを潜め、神々しさを湛えた笑みを浮かべ、マダムヴァイオレットこと姫巫女のシオンは深々と頭を垂れるのだった。


 

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