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創造神たちの傭兵  作者: 仁 尚
巫女の国 大いなる野望 編
53/180

(8) ”収容所”強襲

「ふぅ~・・・・・」

 冬華とうかとの通信を終え、一息つく昊斗そらと

 その通信の中で昊斗そらとは、”昼間の件”をあえて伏せていた。

 理由は、たった一つ。

「下手に伝えたら、俺の命が終わりそうだしなぁ・・・・・」 

 命を危機を感じながら、昊斗そらとは立ち上がり部屋を出た。

 薄暗い廊下を進み二つ隣の部屋へ。

 そう大きくないノック音で、ドアを3回ノックする。


『どうぞ~』


 中からの返事を確認をし、昊斗そらとが部屋に入る。


「「「!!?」」」

「あら、もう用事はいいのかしら?」 


 中には、椅子に座っている占い師のマダム・ヴァイオレットと、昊斗そらとをつけていた巫女と二人の尼僧がベッドの上に居た。

 

「えぇ。それで、どうですか?何か話は聞けましたか?」

 昊斗そらとの問いに、マダムは軽くため息をつく。

「・・・・見ての通りよ、この子達何も話してくれないの」

「「「・・・・・・・」」」


 昊斗そらとが3人へ視線を動かすと、女僧兵の二人は警戒心を一気に高め、巫女は怖がっているのか、掛け布団で身体を庇っていた。


「お兄さん・・・・君、この子たちに何したの?」

 マダムが、何故か下世話な目つきで昊斗そらとを見ている。

「・・・・そんな目で見られるようなことは何もしてませんよ。こっちは、正当防衛のつもりなんですけど・・・・」

 何となく面倒な空気が漂ってきたな、と昊斗そらとは嘆息した。


*********


 時間は戻り、昼間。


「とりあえず、俺をつけてた理由を話してもらわないと、な」

 高周波ブレードを抜きながら、呟く昊斗そらとは、相手の戦力を見定めていた。


 人数は3人。じょうを構える尼僧2人に、巫女が1人。

 そう練度の高くない相手で、しかも女性だけという状況に、昊斗そらとは勢いで高周波ブレードを抜いたが、どうしようかと考えていた。


「悪いけど、君たちにつけられるようなことは、していないと思うんだが・・・・・何か用か?」

 ブレードを肩に担ぎ、半眼で尋ねる昊斗そらと

 だが、警戒心が高まっている女性たちは、一言も言葉を発することなく、昊斗そらとを睨みつける。


 埒が明かない、と昊斗そらとはため息をついて、高周波ブレードを鞘に戻す。


「人違いとかなら、俺は行くぞ?これでも、忙しい身なんだ」

 そう言って、背を向けた時だ。


「しっ!!」


 突然、尼僧の一人が強烈な突きの一撃を繰り出してきた。昊斗そらとの隙をついた完璧な攻撃と思った尼僧だったが、目の前に居た昊斗そらとの姿が消える。


「え?」

「悪いな、そのくらいは想定済みだよ」

 真横から聞こえた昊斗そらとの声に、尼僧は驚愕して目を見開く。

 すれ違いざまに、昊斗そらとは尼僧の横腹に軽く触れる。

「!?・・・・・」

 尼僧の身体に、今まで感じたことのない”衝撃”が走り、声を上げることなく身体を痙攣させながら倒れ込む。


「な?!」

 二人目の尼僧が、追撃しようと駆け出していたが、眼前で仲間が倒れる光景を見て、思考が固まる。

 瞬きした瞬間、昊斗そらとが目の前に現れる。

「!?・・・ひゃ!!」

 一人目と同じように、二人目の尼僧の横腹を撫でた昊斗そらと

 可愛らしい悲鳴を上げ、二人目も未知の衝撃で意識が無くなり、駆け出した勢いで前に倒れ込んだ。

「な、何をしたんですか?!」

 残された巫女は、恐怖で顔を引き攣らせ、声を荒げる。

「おいおい、先に手を出したのはそっちだろ?」

 呆れながら、頭を掻く昊斗そらと


「くっ!・・・・・・・」

 巫女は手を合わせ、意識を集中し始める。

(そういや、マーナさんが言ってたな。巫女は・・・・)

 巫女の身体の周りにオーラが引き出し、路地に置かれていた物が浮き上がる。


「超能力者、なんだっけ?」


 巫女は、古くからある規則により、精霊との契約はおろか、異世界の術を習得を禁止していた。

 その理由は、巫女となる者たちは生まれながらにして、特別な力を宿しており、そのため精霊術や異世界の術などを修めると、その力を失ってしまうのだった。


「行きなさい!!」

 木箱やごみが昊斗そらとへと殺到する。

「周りを見ろよ、たく・・・・・」

 昊斗そらとは、その場を動くことなく佇む。

 巫女によって制御された塊が、昊斗そらとの目の前で”見えない壁”に阻まれ、崩れ去る。

「・・・・・・は?」

 何が起きたのか訳が分からず、巫女は棒立ちになっている。


「感謝しろとは言わないが、俺が攻撃を避けていたら、俺の後ろでのびてる二人に当たっていたぞ。次、攻撃する時は周りをよく確認しろ」

 昊斗そらとに指摘され、少し遅れて巫女は目に見えて狼狽する。


「ま、とりあえず、話は後で聞くよ」

 突如、真後ろから声を掛けられ、振り返ろうとした巫女の首筋に、何かが触れる。


「!?ふああぁぁぁぁ!!」

 艶っぽい声を上げ、力なく倒れる巫女を抱えながら、昊斗そらとがだき抱える。


「・・・・あれぇ?おかしいな」

 巫女の反応に、昊斗そらとは頭を抱えた。


 昊斗そらとが行ったのは、人体に悪い影響の出ない麻酔薬のような形に創造神の力を変異させて彼女たちに流し、意識を一時的に混濁させるモノだった。

 創造神の力は、基本的に純粋な力の固まりで生命には無害なのだが、傭兵たちは任意に変異させることが出来る。(そのため、昊斗そらと冬華とうかは、様々な術や武器を使うために、常時様々な力へと変異させている。)

 力によって気を失うだけのはずが、彼女たちの浮かべる恍惚な顔を見て、昊斗そらとは、首をひねる。 

「しかし、どうするかな・・・・これ」

 まさか、全員が”腰砕け”になってしまうとは思っていなかった昊斗そらとは、考えあぐねた結果、先ほどの占い師に相談しようと、彼女たちを周りが認識できないようにして2人を両脇に、1人を背負って、マダムの下へ連れて行ったのだった。


********


 昼間のことを思い出しながら、昊斗そらとはもう一度巫女たちをみる。

 巫女の女性と目が合い、ものすごい勢いで目を逸らされた。

(うーん・・・・これは、完全に警戒されてるな)


 そんな中、マダムはずっと考え込んでいたが、何か観念したように立ち上がった。

「お兄さん・・・・悪いんだけど、ちょっと部屋の外へ出ててもらえるかしら?」

「はい?」

 言葉の意味が分からず、怪訝な顔をする昊斗そらと


「あらぁ?年頃の娘さんたちのあられもない姿を、傍で見たいの?見かけによらずオオカミねぇ~」

 あられもない姿と言う言葉に、巫女たちが「ひぃ!」と悲鳴を上げる。


「・・・・分かりました。出てますよ」

「あら?淡泊だこと。そんな歳で枯れるのは早いわよ~」

 あんたはどっちを望んでるんだ?と思いつつ、マダムの言葉を無視して、昊斗そらとは部屋を出て行った。


「あれ?昼間のお客さんのお兄ちゃんだ!」

 狐のお面を頭に斜めにつけた女の子が、お茶の用意をしていたらしく、部屋の前に立っていた。


「君は確か・・・・」

「ミユはミユだよ!」

 見た目はヴィルヘルミナと同い年に見えるミユだが、立ち振る舞いや言葉遣いのせいか、少々幼い印象を受ける。


「えっと、お兄ちゃんはどうして部屋から出てきたの?」

「マダムに出てろって言われてね」

「そうなんだ・・・・・・」

 なぜか、昊斗そらとの顔をじっと見つめるミユ。

「俺の顔に何かついてるのか?」

「ううん!ミユはね、男の人をほとんど見たことないの!」

「そうなのか?」

「うん!ミユは、聖都の本殿でずっと暮らしてて、外にあんまり出たことないから。それにね、周りの人が男の人は危ないからって、お話したことも無いよ!お兄ちゃんが、初めて!!」

 そんな話を聞き昊斗そらとは、目の前の少女が特別な地位に居るのではと勘繰った。


「ごめんなさい、待たせたわね・・・・あら?ミユ、何してるの?」

「あ!マダム!!ミユね、お茶入れたの!!」

「あら、そう。ありがとう、ミユ」

「えへへ・・・・」

 優雅な手つきでミユの頭を撫でるマダム。


 マダムに促され、部屋に入った昊斗そらとは、先ほどとはガラッと変わった室内の雰囲気に、唖然とした。 


「あら、あなたたち、まだ立ってたの?楽にしてなさい」

「「「ウィ、マダム!!」」」

 なぜか、直立不動の巫女と二人の尼僧。そして、言葉がおかしなことになっていた。


「・・・・・何をしたんです?」

「企業秘密(はあと)。野暮なことは聞かないのが華よ?」

 深く突っ込んで、藪蛇になるものと思い、それ以上追及をやめる昊斗そらと

 そんな中、ミユの姿を見て、巫女たちの顔がみるみる青ざめる。


「あ」

「何をなさっているのですか!?姫巫女様!!」

 ミユと目が合い、巫女の女性が素っ頓狂な声を上げた。


「え?・・・・姫巫女?」

 恐る恐るミユの方を見る昊斗そらと

「違うよ!!ミユは姫巫女様じゃないよ!!」

 だが、ミユはキッパリと否定した。

「あなたたち・・・・・・・・・ちょっと説明なさい」

 声のトーンが低くなるマダムに、巫女たちは慌てて説明を始めた。


 早朝、ミユが聖都の本殿から姿を消し、彼女たちは上司から探してくるよう命令された。

 ミユの気配を辿りながら、たどり着いたのがこのシマナミだったのだが、突然その気配が消えたので、かなり焦ったそうだ。

 そして、途方に暮れていた彼女たちは、微かにミユの気配を纏った昊斗そらとを見つけ、何か知っていると思い、後をつけていたのだった。


「あなたたちが、この子を探していた理由は分かったわ。でもね、私が聞きたいのは、この子が何で”姫巫女”なのかよ」

 マダムの質問に、巫女の女性がキョトンとする。

「え?・・・賢人様方が、そう呼ぶように、と上司から聞かされていましたから」 

 それを聞き、マダムの顔つきが一気に険しくなる。それは、殺気を帯びる程で、女性たちだけでなくミユも軽く悲鳴を上げる。


「・・・・あなたたち、この子を聖都へ連れ帰るのでしょ?だったら、あたしも連れてってくれないかしら?」

「は、はい?」

 マダムの意図が分からず、女性たちは顔を見合わせる。

「もう何年も会っていない、聖都に住んでる友人に会いに行きたかったんだけど、知らない間に関所が出来たでしょ?ここの住人でも手形が無いと通れないって、ふざけたこと言われてね。あなたたちとなら、顔パスよね?」

 有無を言わさない殺気の籠った迫力の笑顔を向けられ、命の危険を察知したのか、女性たちはコクコクとうなずく。


「話に割って入ってしまって申し訳ないが、君たちに一つ聞きたい事があるんだが?」

 これ以上何を?と言わんばかりに、巫女たちの顔は疲れ切って昊斗そらとの方へ顔を向ける。


**********


「ご苦労様です」

「はっ!」

 馬車に乗った巫女の女性が、特別な手形を関所の門番に見せる。

 何の問題もなく、馬車は関所を越えた。


「いいわね~、楽して困難を越えるのって」

 あはは、と馬車の中で年甲斐もなくはしゃぐマダム。

 ミユは聖都に帰りたくなかったらしく、抗議のためか狐のお面を付けて顔を隠している。

 巫女たちは、内心ヒヤヒヤしていたらしく、無事関所を越え、脱力している。


 馬車からシマナミが見えなくなった頃。

「マダム、それじゃ俺はこれで」

 どこからともなく、窓の外に現れた昊斗そらと

 実は、馬車の下に張り付くように隠れて、関所を越えたのだ。

「そう・・・・ごめんなさいね、君に丸投げする形になってしまって」

「構わないですよ。それで、用事がすんだら何処へ行けばいいですかね?」

「聖都に、クロエって大きな家があるからそこで待ってるわ」

 クロエ?と、昊斗そらとはそれって、とマダムに聞こうとした時だ。


「あ、あの!」

 すると、巫女の女性から声を掛けられた。

「ち、父や弟たちをお願いします」

「私も、兄を・・・・・」

「頼めた義理でないのは、承知していますが・・・・お願いします」

 尼僧2人も、悲痛な顔で頭を下げる。


「心配しなくていいよ・・・じゃ!」

 そう言って、昊斗そらとは馬車を離れ、闇夜に消えた。


 昊斗そらとが巫女たちに聞いたこと。

 それは、聖都に住む男性が何処かへ強制移住させられているという、噂の真偽だった。

 何を馬鹿な、と巫女と尼僧の1人が否定したが、もう一人の尼僧は違った。


「私、知ってます。見たんです、聖都に住む男性たちが、夜な夜などこかに連れて行かれていたのを・・・・・今まで、怖くて誰にも打ち明けられなくて・・・」

 その話を聞き、巫女と尼僧はその場に泣き崩れた。2人には、聖都に家族が住んでいるらしく、もしかしたら父親や兄弟が連れて行かれたのでは、と泣き出してしまった。


 昊斗そらとは、男性たちがどこへ連れて行かれたか、情報を提供してくれた尼僧に聞き、様子を見に行くと言い出した。


 連れて行かれたのは、関所の先から少し行った分かれ道を、未開拓地である西へ続く道にある”収容所”と呼ばれる村だと分かり、昊斗そらとは途中で、マダム達と別れたのだ。


「あそこか・・・・」

 背の高い木の上から、遠くに見える”村”を見つめる昊斗そらと


 夜の闇が深くなり、辺りに光は無かったが、なぜか村は煌々と光に照らされていた。

 昊斗そらとは、バイザーの光学ズームを使って、様子を窺う。


 そこでは、子供から年寄りまで年齢に関係なく男たちが土地を開拓させられていた。

 かなりの数、警備の尼僧が目を光らせ、労働を強制している光景が、昊斗そらとの目に飛び込んできた。


「何て酷いことを・・・・・」

 中には、犯罪を犯した者もいるのかもしれないが、どう見ても善良な市民が大半だと昊斗そらとは感じた。


 気配を消し、一気に”村”へと距離を詰める。

 

「急げ!!早くしろ!!」

「何をサボっている!!」

 女性の罵倒する声がそこかしこから聞こえる。


 昊斗そらとは、尼僧たちの目を掻い潜り、”村”の中へ潜入する。

 労働環境は劣悪としか言えないモノで、辺りには倒れたまま動けずにいる人たちもいた。

「なぁ」

 昊斗そらとは、休憩に入っていた男性たちの一団に紛れ、一人に声を掛けた。

「なんだ・・・・もう話す気力もないんだが・・・・」

「此処の責任者って、誰だっけ?」

「あぁ?・・・・あそこで俺たちを見下してる、お偉いさんだよ」

 男の視線の先には、高見台があった。

 そして、とても場違いな格好の女性が、いびつな笑みを浮かべて眼下を見下ろしている。


「何でも、元々は本殿に詰めている2人の巫女統括役の内の1人だってよ。賢人の命令で、ここの管理者になったんだとよ」

「へぇ・・・・」

 情報を聞き、昊斗そらとは目を細める。


 粗方”村”の中を見て回った昊斗そらと。 

 ついでとばかりに、ここの現状を音声付で映像まで録画してる。


「さて、そろそろ行きますか」


 そう言って、昊斗そらとは一番豪華な建物・・・巫女統括役の住む屋敷へと歩を進める。


 屋敷の扉の前に立ち、躊躇なく蹴りぬく。

 扉が、コメディーのように閉じたままの形で吹っ飛び、反対側の壁に張り付く。


「こんばんは~・・・・討ち入りでーす!」

 昊斗そらとが呑気な声を上げ、屋敷の中へと入る。

「な、何事だ!?」

 騒ぎを聞きつけ、警備の尼僧たちが駆けつける。

 それなりの数が集まったな、とバイザーのレーダーで確認した昊斗そらとは、懐から一枚のカードを取り出した。

「偽りの記憶を消せ」

 そうつぶやき、空中へ投げると、空間をまんべんなく光が包む。


「な、なんなのだ?」

 1人の尼僧が呟くと、周りの様子がおかしかった。

「あ、あれ?」

「ここ、どこ?」

「私は何を・・・・」

 ほかの尼僧たちが、不安げに周りを見渡していた。


「ば、馬鹿な!?洗脳が解けている?!」

 数人の尼僧の慌てる姿を見て、”敵”の姿を確認する昊斗そらと

「やっぱりな」

 そう言って、昊斗そらとは高周波ブレードを抜く。

「悪いが、手加減するつもりはないぞ?」

 

「何事だ!誰か、誰かおらぬのか?!」

 豪華な部屋の中で、恰幅のいい統括巫女役の女性が息を荒げていた。


 すると、ゆっくり部屋の扉が開く。

「一体、何がおきておるのだ・・・・?!」

 入ってきた人物を見て、女性は絶句する。

「あんただな?ここの責任者っていうのは?」

 現れたのは、返り血を浴び真っ赤になった昊斗そらとだった。

「だ、誰だ貴様は?!私を、誰かわかっておるのか?!」

「俺か?俺は、通りすがりのお節介焼きだよ。そして、あんたは悪人だろ?あぁ、助けを呼んでも意味はないぞ?あんたの息のかかった尼僧は全員、もう動けないよ。ほかの尼僧たちは、洗脳を解いたから、あんたを助けることはないと思うぜ?」


 それだけ伝え、懐からカードを取り出す。

「なんだと思う?これはな、俺の知り合いがある術式を封入したカードだ。術式は、完全回復術と言って・・・・」

 独り言のように呟いた昊斗そらとは、無造作に高周波ブレードを振る。

「・・・・?!ぎ、ぎぃやああああああああああ!!!!」

 突然、女性の左肩から先が消え、血が噴水のように噴き出す。痛みで、女性が椅子から転げ落ちる。

 昊斗そらとの手の中にあるカードが光り輝く。

「痛い痛い痛い痛いぃいいいいい!!!!!!!!・・・・・?!!?!」

 すると、先ほどの痛みが嘘のように消え、見ると女性の腕が綺麗につながっていた。

 何が起きたのか理解できず、女性の視線が何度も腕と昊斗そらとを往復する。


「凄いだろ?この中に込められた術式は、どれだけ身体が欠損しても、完全に治してしまえる上級回復術だ。さて、そのカードが、後3枚ある・・・・・」

 冬華とうか玉露ぎょくろが浮かべる様な笑みを顔に貼り付け、昊斗そらとは女性を見下ろす。それは、先ほど、女性が高見台から眼下の男たちを見ていたような相手を見下した目だった。

「・・・・・さて、あんたは何枚目のカードまで耐えられるだろうな?」


 死刑宣告を告げる死神のように昊斗そらとが見え、巫女統括役の女性は恐怖し、絶叫した。


 その絶叫は、数時間ものあいだ続き、のちに現場を覗いた幾人が恐怖持って「開拓地の赤き夜叉」事件と呼び、国内に広まるのだった。

 

 

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