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リリジャス・クライム・ラヴ

作者: 内津安
掲載日:2026/02/10

「始まりは突然でした。彼女の笑顔に魅せられました。何の前触れもなく、突然に。これがいわゆる『恋』だというものなことは分かりました。

これは、約半年前までにさかのぼります。

私は普通の大学二年生でした。ああ、ちなみに私は人文学部で文学について学んでいました。特に倫理や宗教についてですね。

それはさておき、本題に戻りましょう。

ある日、私は夕方ごろ・・・朱色の空がとても綺麗でした・・・大学の図書館にいました。私は人文学部の学生らしく、デカルトの著書を探していました。本棚の間を練り歩いていた時に、その彼女はいました。高いところに置いてある本を取り出そうとしていました。彼女は昔の雑誌をとろうとしていました。今でもその雑誌のことをよく覚えています。彼女の背は小さくて、とれないみたいなので私はなんとなく近づいてなんとなくその雑誌を取り出しました。自慢ではないですが、私の身長はそこそこ高いんですよ。見たら分かりますけど。そして彼女に手渡しました。どうぞってね。私が言うのもあれですが、あの時の自分は格好良かったと思いますね。そしたら彼女がにこって笑ってくれたんです。そのまま彼女は去っていきましたけど、心臓は跳ね上がり、頬は熱くなっているのを感じました。私はもう言葉で言い合わらせないくらいの強い何かがやってきたと思って、その場で立ち尽くしてしまったのです。私はもう本を探すのを忘れてしまっていて、そのまま家に帰ってしまいました。

それから一週間ほど、そのよく分からない強い何かを言葉で言い合わらせられるようにと、必死で考え込みました。普段使わない頭をフルに回転させていました。それでようやく気付いたのです。これはいわゆる『恋』の類。その中でも『一目惚れ』というものである、と。

彼女に一目惚れしてしまった私は当時仲良くしていた友人にそのことを話しました。彼はすごく驚いて、本当かどうか疑っていました。

実は、私このときまで恋愛というものをまるでしたことがなかったのです。人を好きになる感情は理解できますが、恋や愛という特別な感情はよく分かっていませんでした。毎年クリスマスやヴァレンタインデーになると人々は彼氏彼女で幸せに過ごそうというムーヴになったとき、私はその人々のことをもちろん、理解できていませんでした。それに、その人々を嫉妬するまた別の方のことも。

そんなことを私はその友人に語ったことがあるのです。彼はあの時の私を攻めもせず、受け入れもしませんでした。

けれど、そんな私がいきなり恋をしただなんて言ったので、彼はとても驚いたのでしょう。彼は冗談を言っていると返してきましたが、私は本気で恋をしていると一生懸命訴えたので、彼も本当なのかと認めてくれました。

それから私は彼女に振り向いてもらえるために行動を起こした・・・と言いたいところですが、私は彼女が誰なのかすら知りませんでした。まず彼女の名前を知る、私のスタートはここからでした。

あの時の私は今までにないくらい躍起になっていましたね。大学図書館にいたのだからきっとうちの大学の生徒だろうと思って、大学内の知り合い・・・恥ずかしいですがたまに教授にも、彼女の特徴・・・背が低くて肩まで伸びた茶髪。まあ残念ながらこんな普遍的な女子大生らしいことを言ってしまったので呆れられましたよ。そんな人なんてどこにでもいるってね。

なんやかんやでたぶん一か月ぐらい経ちました。次に私が思いついたのは・・・そう、図書館に通うということです。私、この時まではあまり図書館に行っていなくて・・・あの時は珍しく気分が乗って行ってみたんですよね。それで彼女に出会えた。もしかしたら彼女は図書館によく来る生徒なのかもしれないって思ってね。外れだとしても本がいっぱい読めるしいいだろうということで、図書館に通い始めました。最近も続いています。すっかり習慣になってしまいましたね。それで、結果ですが、一か月通っても残念ながら出会えませんでした。また失敗です。ここらで私はあきらめそうになりましたが、そうはいきません。彼女がどんな人なのかも知らずに終わることはできませんでした。

私がようやっと思いついたのは、その彼女が借りた雑誌を誰が借りたか調べるということでした。図書館のデータにきっと残っているだろうと思って、まず司書の方に尋ねてみました。そしたらまたまた失敗。何のために必要なんですか、しっかりとした理由がないならお伝え出来ませんってね。この時の私は何故かこの一連の出来事のわけというのを話すのを恥ずかしがってしまいました。だからわけは言えませんでした。これで三回目の失敗です。

と、いうので最後の手段に出ました。最後の手段というのは・・・司書の方がいない間にカウンターへ入り込んで借りた人物を調べるということです。これは、なんと成功しました。ささっと入ってささっと終わらせて・・・誰にも見られなかったですね。少々リスクが欲しかったような気もしますが。一旦それは置いといて、彼女のことが分かるようになりました。今何年生でどこの学部で名前はどんなかも。そして幸いなことに彼女は人文学部だったのです。私と同じだ!これを知って、もうその日は舞い踊りましたね。まあもちろん家で独りで、ですけど。

そしてここからようやっと行動を開始しました。彼女に振り向いてもらえるための行動を。私は次のような計画を立てました。①彼女と友達になる②彼女と親密になる③彼女と恋人関係を結ぶ。っていうふうにね。そんな感じのことをあのさっきの友人に話してみたのですが、面白がられてしまいました。あとこんなことも言われてしまいました。お前やっぱ阿保だろ、って。あとついでにこんなことも言われましたね。お前やっぱりどこかおかしいよって。なんで彼がこんなことを言ったのかよく分かっていませんでしたが、今は分かります。だってそのせいで私はここにいるのですから。全くいつどこで何を間違えたのやら。

まず、彼女が同じ学部だからきっと知らぬ間にすれ違っているだろうって思ったので学部内にいるときは注意深く周りを見ていましたね。数週間ずっとやって、見つけ出しました。彼女です。彼女は四、五人ほどの男女と一緒に居ました。私はあの大人数の中に特攻するのにはさすがに日和ってしまって、なんと彼女のあとをついていきました。見つからないように。そおーっとね。それで彼女が一人になったところに話しかけに行きました。私のほうの事情を知らない彼女はもう?って感じなのと警戒しているような素振りもありました。何を話せばよいのか分からなくなってしまった私は、もう思い切って今までのことを話してしまいました。そして最後に言ったのです、あなたのことは好きですけど、まだお付き合いはできません。だから、それまで友達になってくれませんか?ってね。彼女は笑いました。たくさん笑いました。そしてこう返事しました。いいよ、と。

そこから私は彼女とよく合うようになりました。だんだん会う頻度も多くなりました。けれど、肝心な所には行くことができませんでした。そう、私は彼女とくっつくことはできなかったのです。

あの初めて自分から声をかけた時から一か月ほど経った後、彼女に改めてお付き合いをお願いしました。でも、駄目でした。どこが駄目なの、と聞きました。あなたのことが怖い、と言われました。

私はそのあと、友人の所に久しぶりに会いに行きました。そして、彼女と会ってからの一連のことを話しました。友人は驚かず、こういいました。それはお前が悪い、とね。

よく理解できませんでした。ただこの時の私は特別深く考えませんでした。それよりも、こんなことを一生懸命考えていました。というより、このことしか考えていませんでした。彼女に告白したのは良いものの、ただ断られるだけでなくて、怖いと言われてしまった。これから私はどうすれば良いのか。

これでもまだまだ諦めきれなくて、彼女にまだまだ話しかけに行きました。彼女はもしかしたら嫌な顔をしていたのかもしれません。なのに、私は気づきませんでした。

そうしたら、気づいたらここにいました。

一体どうしてこうなったのでしょう。彼女はなんて言っていたんですか?」



「怖すぎて夜も眠れない、とおっしゃていましたよ。もう少し直近のことを深く思い出してください」

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