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転生魔王NOT悪役令嬢  作者: 豆狸


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45/54

45・風、気づく。

 ニュイ魔王国風の四天王、烏魔人のコルボーは気づいてしまった。

 自分が魔王ソワレに恋していることに。

 いや、彼女のような女性を妻にしたいと考えた時点で明白だったのだ。


 とはいえ少々おっとりしたコルボーが自覚するのには時間がかかった。

 代々四天王候補に選ばれるような名家の出身でもない自分が魔王に懸想するなんて、と思っていたのもある。

 手作りの武器を下賜されたのも、魔王になんらかの考えがあって部下を強化したいからだと考えていた。もちろんその恩義には応えるつもりであった。


 自分の気持ちが忠誠だけではないことに気づいたのは、実家へ戻ったときだ。

 実家の家族が、偶然空で出会った魔王にロック鳥の肉を分けてもらったことを聞いたのだ。

 嬉しいと思った。感謝の気持ちが心の底から迸った。


 だけどちょっとだけモヤッとした。

 まったくバカげた話なのだが、コルボーは家族に嫉妬したのだ。

 魔王に気遣われて大切に扱われるのは、自分だけが良いと願っていることに気づいてしまったのである。


(ワガママなのはわかってるけど、両親と弟達はオラが大事にするから、魔王様にはオラだけを見ていて欲しいだべ)


 恋心に気づいてしまうと、無理して心の中でまで訛りを排除する気もなくなった。

 いつかは田舎育ちの口調も魔王に受け止めてほしいと思っている。

 実は『綺羅星のエクラ』のゲーム中でも、コルボーは親しくなると口調が変わる方言男子だった。


 もっとも魔鍛冶に関係のないセリフは早送りするのが常だったソワレは、そんなこと覚えていない。

 魔鍛冶アイテム継承目当てでコルボーを攻略したときは、最初にプレゼントした魔鍛冶アイテムで一気に好感度が上がって苦労しなかったので記憶が薄い。

 たまに早送りを弾くボイスはあったものの、コルボーのそれは戦闘時の技名シャウトくらいだった。技名は単語なので親しくなっても方言にはならない。


 魔王への恋心に気づいたコルボーは、ほかのことにも気づいてしまっていた。

 彼はおっとりしているからこそ思慮深い。

 制空権を得られる代わりに危険も多い飛翔能力を持っているからこそ、臆病で周囲に気を配るところがある。その性格で魔王城を俯瞰して気づいたのだ。


(四天王はみんな、魔王様のことを好きだべ)


 水の四天王ヴィペールの好意はだれでも気づく。

 魔王がほかの魔人と会話しているだけで赤い瞳を光らせて睨みつけているのだから、気づかないほうがおかしい。

 自分が魔王に双剣をプレゼントされたときも、どこかで覗き見していたのではないかとコルボーは睨んでいる。


 炎の四天王バルの好意は少しわかりにくい。

 隠しているというよりも、好意の表し方がおかしいのだ。

 敵に塩を送る気持ちはないので伝える気はないが、幼いころから従兄妹として一緒にいたのだから、コルボーが弟達にするように思いやりを持って優しくしていたらもっと仲良くできているだろうにと思う。


 大地の四天王リオンの好意ははっきりしているけれど、コルボーのような恋愛感情とは違って見える。

 家族愛に近いのではないかと認識しているものの、コルボーは油断するつもりはない。

 魔王との関係は彼が一番良好なのだから。良好でありながら彼だけが魔王からのプレゼントをもらっていないのは、一番素晴らしいものを贈ろうとしているのではないかとコルボーは気にしている。


(恋はするもんじゃなくて落ちるもんだ。なにかのきっかけでリオンさんが魔王様に恋してしまったら、会ったばっかのオラは不利だべ)


 リオン以外のふたりには、さほど危機感を覚えていない。魔力属性の相性もあるけれど、ふたりとも対応を間違ってると思うのだ。


(魔王様に内緒で後をつけるなんて良くねぇだ。まあオラもリオンさんも尾行してるんだけんど)


 今、ニュイ魔王国の四天王は全員、竜に変化して聖女達の乗った籠を抱えて飛んでいる魔王の後を尾行していた。

 魔王国のほうはヴィペールが魔力を与えてモンスター化した蛇や魔王の伯母にあたるバルの母、リオン配下の魔人達、そしてコルボーの弟達が守っている。

 魔王が旅に出た理由はちゃんと聞かされていた。以前目撃されたアンデッドについて聖女に情報をもらったので、協力して原因を追究するためだと。それでもコルボーは不安だった。


(魔王様はマタン山脈に向かってる。なにか珍しい魔法金属とか仕入れてリオンさんにプレゼントなさるんじゃないべか)


 自分にくれた双剣がリオンのための練習作だったら悲しい。

 そんなことを思いながら、コルボーは魔王に気づかれないよう魔力を潜めて彼女の後を追っていた。

 好きなら好きで告白するなりアプローチするなりしなければ関係は進展しない、ということにはまだ気づいていない。

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