タイトル未定2025/12/29 21:09
大手デパートの洋品店を出た若菜と赤井は、外に出て繁華街の中を歩いた。
繁華街を抜け、人通りがあまりない路地裏に入った。
赤井が若菜を連れて行った店は、店とは分かりづらく、うっかりしたら店の前を通り過ぎそうな中華屋だった。
店の中に入ると、テーブル席とカウンター席があり、カウンター席に二名の客。
テーブル席に三名の客、いずれも全員男性だった。
女性客は、若菜だけだった。
若菜と赤井は、テーブル席にすわった。
赤井はテーブルにあったメニュー表を若菜に渡し、イスから立ち上がりながら言った。
「どの料理も美味しいよ。好きなの選んで。遠慮をしなくて良いから」
赤井は、カウンター席の近くにあった、セルフの飲み水とおしぼりを取りに行った。
若菜は、メニュー表を眺めた。
メニュー表には中華料理とうたっていながら、いろんな料理名が書いてあった。
オムライスやカレーライス、丼物の他に定食があった。
しかも、どの料理もリーズナブルな値段だった。
飲み水とおしぼりを持った赤井が、戻ってきた。
「決まった?」
「ラーメン」
「ラーメンね。俺もラーメンにしようかな。あっ、チャーシューメンにしよう。チャーハン大盛りにしてシェアしようよ。餃子も食べたいな。そうそう、ここのプリンは絶品だよ!食後のデザートにおすすめ。プリン食べるよね?」
若菜の意見を聞かず、赤井はオーダーをした。
テーブルの上には、オーダーした料理がずらりと並んだ。
ラーメンは細麺で醤油味のスープと麺がよく絡んでいた。
チャーハンは、パラパラの米粒に卵の王道のチャーハン。
餃子は、皮がパリパリで、皮の中の餡は肉々しくてそれでいて、肉汁がじゅわっと溢れ出た。
美味しさのあまり、若菜は夢中で食べた。
食後のプリンも、期待を裏切らなかった。
少し硬めのプリンで、ほろ苦いカラメルが良いアクセントになっていた。
店を出た若菜と赤井は、さすがにお腹がいっぱいになり、少し遠くにある広い公園まで歩くことにした。
「美味しかったでしょ」
お腹がいっぱいで口を利くのが辛かった若菜は、黙ったままうなづいた。
長いこと歩いた若菜と赤井は、広い公園のベンチに座った。
「ずっと歩いていたから、暑くなったね」
そう言った赤井の膝の上には、購入した若菜のスーツが入ったケースが乗っていた。
「ずっと持たせて、ごめんなさい」
「気にするなって。俺が選んだスーツなんだから」
赤井は、ケースを胸元に引き寄せ抱きしめた。
ケースをじっとみつめていた若菜
は声を上げた。
「今から、マスターのお店に行かない?」
「えっ?」
「スーツをマスターとシロちゃんに見せたい!」
「マスターと白田さんに?」
「うん!」
若菜はするりとベンチから降りると、元気よく歩き出した。
ポカンとしていた赤井は、慌てて若菜を追いかけた。




