タイトル未定2025/12/29 21:04
高等学校を卒業し、若菜は短大の入学式を控え、流花は大学の入学式を控えていた。
四月から、違う道へ進む若菜と流花。
その前にゆっくり会おうと言うことになり、繁華街にある有名なスイーツの店に行った。
人気店だけあって、店に入るまで並び、明るい店内にやっと入ることができた。
若菜と流花は、窓側の席に案内された。
テーブル席に向き合うと、二人はすぐお目当てのスイーツをオーダーした。
若菜は、イチゴをふんだんに使った、カップに入ったイチゴのケーキ。
流花は、抹茶のショートケーキをオーダーした。
お目当てのスイーツはすぐ運ばれ、二人の目の前に置かれた。
思わずため息を漏らした若菜と流花は、早速食べだした。
スイーツの控えめな甘さに包まれながら、感想を言い合って食べた。
食後の紅茶を飲んでいる時、若菜は思い切って切り出した。
「パパの会社に勤めている、いつもちはるさんたちと一緒にいる赤井さんって、覚えてる?」
男性の中では、背はあまり高くなく、童顔でかわいらしい顔をした赤井を、流花は思い出した。
「赤井さんが、どうかしたの?」
「赤井さんと、一緒に出かけたことがあったんだ」
「赤井さんと!赤井さんスイのこと気に入っていたけど、スイ赤井さんとつきあっていたんだ!」
「ちょっと、シロちゃん大げさ」
「でも、一緒に出かけたんでしょ」
「うん」
「スイは、赤井さんのことどう想っているの?」
「一緒にいると楽しくて、優しくて、いい人だと思うよ。でも……」
「でも?」
「それだけなんだって、最近気づいちゃって」
両手でティーカップを包み込んだ流花は、若菜をじっとみつめて言った。
「スイ、まだマスターが好きなんだ」
若菜はゆっくり紅茶を飲み、うなづいた。
「それで、スイはどうしたいの?」
「なんか、このままでも良いのかなって。赤井さんと一緒にいると楽しいけど、マスターのこと好きなんだもん」
「マスターとは、衝撃的な出会いだったからね」
「シロちゃんもマスターのこと、まだ好き?」
「好き?う〜ん……スイが赤井さんと一緒にいると楽しいって言ったように、私もマスターと一緒にいると楽しいって思うだけだよ」
お手本通りの流花の言葉に、若菜は不愉快に感じ黙り込んだ。
「スイ、どうしたの?」
黙り込む若菜に、心配した流花は声をかけた。
わざと聞こえないふりをした若菜は、窓の外の景色を眺めた。
若菜と流花の間に、初めて不穏な空気が広がった。
せっかく久しぶりに、流花と楽しい時間を過ごすはずだったのに、若菜はよそよそしく流花と別れてしまった。




