タイトル未定2025/12/29 21:34
若菜は、夜の繁華街に出かけた。
きらめくネオンの中、若菜は赤井を待っていた。
赤井と会うのは、一緒にスーツを買いに出かけた以来だった。
携帯を出し、赤井とのやりとりのラインを確認する。
約束の時間、五分過ぎていた。
携帯をしまいぼんやりしていると、赤井の声が聞こえ、若菜は顔を上げた。
「遅れてごめん!」
仕事帰りの赤井は、スーツ姿だった。
赤井のスーツ姿を見るのはこれが初めてではない若菜だが、いつも自分より年上な赤井を子供のような感じで見ていた若菜は、今夜の赤井は大人に見えていた。
そのギャップに、若菜は驚いていた。
赤井は、若菜の赤のティーシャツにデニムジャンパー、デニムのタイトミニのスカートのコーデに、釘付けになっていた。
若菜と赤井は、しばらくお互いをじっとみつめていた。
そのことにやっと気が付き、吹き出した。
「やっぱ、若菜ちゃん可愛いなぁ!」
「赤井さん、今夜は大人っぽい」
「ホント?それ、ホント?」
若菜は、笑顔で大きくうなづいた。
「馬場さんとちはるさんに、いつもガキ扱いされているから、嬉しいよ」
赤井の言葉に、若菜は声を出して笑った。
「あぁ、腹減った!ご飯食べに行こう」
赤井は若菜の手を取ると、繁華街の中を歩いた。
赤井が若菜を連れて行った店は、繁華街から外れた居酒屋だった。
その居酒屋は二階建で、既に客たちでいっぱいだった。
赤井と若菜は、二階の座敷に通された。
二階の座敷は広くて、落ち着いた。
しかし二階の座敷も一階の店内同様、店のスタッフの活気が溢れていた。
メニューを広げると、飲み物食べ物更にデザートまであり、どれもリーズナブルな値段だった。
さすが赤井が選んだ店だ!と、言いたくなる店だった。
「俺は、生にしようかな。若菜ちゃんは?最初の一杯くらい、お酒にしなよ」
「そうしようかな。じゃあ……カシスオレンジ」
「オッケ。えぇっと。焼き鳥好き?」
「焼き鳥好きです。好き嫌い、特にないです」
「そうなんだ!じゃあ、焼き鳥の盛り合わせと鶏の唐揚げ。揚げ物ばっかだ。大根の煮付けを頼もう」
「ワカメのサラダも、お願いします」
「了解。すみませ〜ん」
赤井がスタッフを呼ぶと、スタッフはすぐやってきた。
赤井は、飲み物と料理をオーダーした。
スタッフは、大きな声で「生とカシスオレンジ、ありがとうございます!」と大きな声で言った。
すると店内のあちこちで「ありがとうございます!」と、声が上がった。
オーダーした生とカシスオレンジとお通しの枝豆がすぐ運ばれ、若菜は驚きの声を上げた。
「早ぁい!」
「この店は、飲み物が早く出るんだよ」
「すごい店」
「楽しいだろ。さっ、乾杯しよ」
ジョッキとグラスが、涼しげに鳴った。
グラスに口をつけた若菜は、ため息交じりに「美味しい」と言った。
「甘くて飲みやすいけど、きついから気をつけてね」
やがて料理が運ばれ、赤井と若菜はシェアをしながら、料理を食べた。
料理はどれもボリュームがあって、美味しかった。
「買ったスーツ、家で着た?」
赤井は、自分が選んだスーツのことを聞いてきた。
「うん。パパもママも、喜んでた」
「そう。良かった」
赤井は嬉しそうに笑い、二杯目のジョッキと若菜の烏龍茶をオーダーした。
例によって、店員が大きな声で飲み物を復唱し、店内のあちこちで「ありがとうございました!」の声が聞こえた。
オーダーした飲み物は、すぐ運ばれた。
「入学式っていつ?」
「えっとぉ、四月だからぁ……」
若菜は、携帯を取り出した。
入学式の日付を言う若菜を、少しさみしそうな笑顔をして、赤井は聞いていた。




