タイトル未定2025/12/29 21:21
大手菓子メーカー水田の営業部の職場に、営業から馬場と赤井が戻ってきた。
この日朝から、赤井は浮かない顔をしていた。
職場の机の椅子に座っていたちはるが、二人に声をかけた。
「お疲れ〜」
馬場は、ちはるの隣の席に座り、赤井は、ちはるの向の机の席に座った。
ちはるは、隣の席に座っていた馬場に聞いた。
「赤井、朝から元気ないね」
「だろ。赤井が選んだスーツ、マスターに見せたいって、スイちゃんが言ったのが気に入らないらしい」
「あぁ、そうだった。それくらい、いいのに」
「まぁ、赤井にとっては、それくらいじゃないんだよ」
「でもさ、スイは元々マスターが好きなんだよ。それを承知で、つきあうようになったんじゃ」
「そうだけど、マスターに見せたいって、言われたらショックだよ」
馬場がそう言うと、ちはるは思い出し笑いをした。
「なんだよ?気持ち悪いな」
「赤井がスイとスーツを買いに行った時、店員にきょうだいに見られたんだって!」
「きょうだい!まぁ、見えないこともないな」
馬場とちはるは、笑い出した。
ちはるの向の机の席に座っていた赤井が、二人を睨んでいることに、馬場とちはるは気が付き笑うのをやめた。
「落ち込んでもしょうがないでしょ!」
ちはるが言うと、馬場も赤井に言った。
「そうだぞ。週末、マスターの店に行こうぜ。おごってやる」
馬場は気を利かせて言ったつもりだったが、馬場の一言で赤井は凍りついた。
「なんで、マスターの店なんですか」
赤井の一言で、馬場はハッとなり、ちはるは馬場に足蹴りをした。
赤井は黙ったまま立ち上がり、職場を出た。
赤井がいなくなると、ちはるはため息をついて言った。
「マスターが原因で赤井は落ち込んでいるのに、ここでマスターのことを言うかなぁ」
「おごるって言えば、明るくなると思って」
「馬鹿馬場」
「うるせぇ!わかってるよ」
「週末、アタシは行くよ!」
「へっ?」
「馬場のおごりなんでしょ」
にっこり笑うちはるに対して、固まってしまった馬場だった。




