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タイトル未定2025/12/29 21:18

 昼の一時をまわり、マスターが務める実家の開業医が落ち着き、一旦業務を閉めた。

 開業医で働くスタッフたちは、休憩室でお昼にしたり、外に出かけたりしていた。

 マスターは、開業医に隣接している実家で休憩をする。

 台所のテーブル席で、父親が既にお昼を取っていた。

 マスターは家政婦のまちこが作ったお昼をお盆に載せリビングに行き、テレビを付けてリビングでご飯を食べた。

 ご飯を食べ終えたマスターはソファーにくつろぎ、のんびりテレビを見ていた。

 不意にテレビのモニターが消え、驚いたマスターは顔を上げた。

 そこには、リモコンを手にしたマスターの父親が立っていた。

 ため息をついたマスターは、反論する気もなくソファーから立ち上がろうとした。

 ソファーから立ち上がろうとするマスターを父親は止めた。

「話がある。そのままでいい」

「片付けてからで、いいだろ」

 マスターは空になった食器のお盆を手にして、リビングから台所に行き、流し台に立った。

 父親はマスターの後について行って、台所のテーブル席に座った。

 台所の流し台には、父親が食べ終えた食器が置いてあり、マスターは自分が食べ終えた食器と一緒に洗いだした。

 テーブル席に座っていた父親が、マスターの背中に向けて突然切り出した。

「お前、身寄りのない子供と一緒に暮らしているのか?」

 身寄りのない子供……大門のことか。

 そう思いながら、マスターは黙ったまま食器を洗い続けていた。

「おまちさんから聞いた。本当なのか?」

「そうだけど」

「何故、もっと早く言わない」

「早く言って、何になるんだよ?」

「相変わらず、反抗的な態度だな」

「大門は戸籍上既に、麻生家の養子になった」

「そんな勝手なことを!」

「黙ったまま、施設に送る方が勝手だろ」

「お前が、そこまでする必要があるのか?」

「あるからに、決まっているだろ!」

 投げやりに言ったマスターは洗い物を終え、二階にある自分の部屋に行った。

 学生の頃から使っていた机の椅子に座り、マスターはタバコを吸った。

 机の上には、乳飲み子を抱いた女性の写真が写真立てに飾られていた。

 写真は、マスターの母親と乳飲み子のマスター。

 母親は、透き通るような青い瞳の外人で、マスターがまだ乳飲み子の時、強盗に命を奪われてしまった。

 マスターは幼すぎて、母親の記憶が一切ない。

 タバコを吸い終えたマスターは、イスから降りると、ベッドに横になった。

 携帯を手にすると、そこには高校時代に付き合った彼女の瞳とその息子の大門と一緒に三人で撮った写真があった。

 その写真を眺めながら、少しずつマスターは眠りに落ちていった。


 設定していた携帯のアラームの音で、マスターは目を覚ました。

 部屋を出て、二階の廊下にある洗面台で顔を洗った。

 部屋に戻り、今まで着ていた白衣を羽織りながら階段を下りる。

 階段を降りきったところで、外出先から帰って来た家政婦のまちこと鉢合わせをした。

「お帰りなさい」

「ただいま。今から、午後の診察ですか?」

「はい」

 まちこは、マスターの横を通り抜け、リビングに行こうとした。

「おまちさん」

 マスターに静かに名前を呼ばれ、まちこはビックっとしたように立ち止まった。

 マスターから何を言われるか、まちこは既に察していた。

「おやじに、大門のことを言いましたね」

「すみません!坊っちゃんに、黙って言いました」

「ひとこと、言ってくれたら良いのに」

 まちこは振り向き、マスターをみつめた。

「旦那様に、何か言われました?」

「最悪です」

 いつもの笑顔で、マスターは言った。

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