68.着眼点
「とはいえパワーレベリング問題は何も解決しておりません・・・。」
「そうなんですのー?えいっ!またトップですわあ!」
射的ゲームで騎士さんたちよりも高得点を出して喜ぶリリィ。
「いやいや聖女様あなた魔力操作レベルかなり上がってますよね?」
「いえいえ、まだまだ修行中の身ですからー。」
「ぐ、ぐぬぬ・・・。」
射的で無双するリリィはとりあえず置いといて、レベリングに改めて目を向ける。
「圧倒的に人気のない国立墓地ダンジョンに比べて他のレベル20台ダンジョン2つは冒険者にも人気がある。さすがに国の威光であっても封鎖は不可能・・・。さてどうしよう。」
「ふむ・・・ダンジョンは大体日没の時間になると皆帰還してくるので夜を立ち入り禁止にする事はできそうだが・・・。」
と、リックがナイスな提案をしてくる。
「えっ、それいいですねぇ!地獄の夜勤にはなってしまいますが騎士さんのレベル上げの場所が増えるのは大歓迎ですよ。」
「でもなぜ日没時間に帰還するんです?一日中籠って狩りまくるとかしないんですか?」
「ええ?さ、さすがに一日中はやらないな。冒険者たちは日銭を稼ぐ感じでダンジョンに通う者がほとんどだ。」
「そ、そうなんですか。定時退社みたいでホワイトなんですねぇ。」
「ほ、ホワイト・・・?」
健吾の動かす火の射的ゲームを見ながらリックが答える。
限界社畜の健吾にとって定時退社は悪しき風習、定時は甘え。
鬼神のような上司に退社直前に大量の仕事を押し付けられ、終電ギリギリまで働く攻防を日々繰り返していたので、きつい職業と言われる冒険者稼業でさえホワイトな職場に見えてしまう。
もちろんだが残業代は付かない、定時でタイムカードを押す。
限界社畜お決まりの地獄のサービス残業である。
「では他の2つのダンジョンの夜間を貸し切ってレベル上げのローテーションを組んでみましょう、国立墓地のような弱点がない分少し苦労するかもですが。」
「了解した。早速魔道鳩で殿下に連絡をしてみよう。」
「よろしくお願いします。」
リックは紙にすらすらと連絡事項を書き、魔道鳩に変形させると城に向けて放った。
「うーん、しかしこれでもまだ足りないな・・。」
今後の予定
国立墓地ダンジョン Lv20 アンデッド系 最大効率で貸し切り中。
南の森ダンジョン Lv20 ゴブリン・狼系 日没から夜明けまで貸し切り
川沿いのダンジョン Lv20 スライム・動物系 日没から夜明けまで貸し切り
安全面に関しても高レベル者さんが護衛してくれるパーティーシステムであれば問題はないだろう。
「それでも!・・・まだパワーレベリングとは言えないっ!」
そう、パワーレベリングとは本来経験値が超絶美味しい高レベル狩場での死を覚悟した短時間での爆速レベル上げの事。
死んだら終わりのこの世界では無理は出来ないとはいえ、やはり廃人を極めた健吾にはどうしても物足りない。
「安全に、かつ激ウマ・・・!この条件はもう20台のダンジョンではなく、30台、40台のダンジョンに目を向けるべきか・・・!」
レベル20台の騎士さんたちが危なげなく爆速でレベルを上がられる場所・・・。
「それは・・・、モンスターハウス!!」
「な、なんだそれは・・・?」
聞きなれない言葉に思わず反応するリック。
「魔物が鬼湧きしているエリアの事です。高レベルダンジョンにそういう場所ありません?」
「例えば・・・こっちの道を行けばすごいショートカットになるけど、魔物がめちゃ沸いてるから遠回りの道を選ぶ、なんて場所です。・・・ありませんか!?」
「んんー?何か40台のダンジョンでそんな場所があったような・・・。」
「お?おおおお!それは僥倖・・・っ!是非教えてください!」
「い、いやいや待て待て!かなり昔の話なので詳しくは覚えておらん。殿下とスティング殿にも魔道鳩を改めて送るので条件を詳しく教えてくれ。」
「はっ!了解です!」
健吾はレベル20台のダンジョンをフル活用しながらも、さらに高レベルダンジョンの激ウマポイントを発掘すべく、ダンジョンに詳しいスティングに魔道鳩で連絡してもらう事にした。
・・人物紹介・・
楠本健吾 レベル24 火魔法使い 元社畜廃人ゲーマーおじさん
リリィ・ノーブレット レベル31 聖魔法使い 筆頭聖女 勇者PTの聖女の妹
婦長さん レベル23 聖魔法使い 療養塔の婦長
新人さん レベル21 聖魔法使い 聖女見習い 療養塔で修行中
騎士さん レベル20台 第二騎士団員
スティング レベル90 風魔法使い 筆頭宮廷魔導士 王太子派
ケビン・エーリック レベル??? 第一王子 王太子 第一騎士団長
リック レベル60台 第一騎士団副団長 ケビンの側近




