5.火属性回復魔法のメリット
奥へと続いている3つの通路を全て見て回り、残っていた魔狼を討伐し4階へ降りていく。
4階には主にゴブリンがいるのだが、降りた部屋はゴブリンの数よりも魔狼の方が3倍ほど多かった。
異常に増えているからと言っても、ゴブリンも魔狼もお互いを攻撃する事は無い。
降りてきた討伐隊を見つけると、我先にと襲い掛かってきた。
「のっけから数が多い!誠に不本意ではあるが・・ケンゴ!全員にヒールを頼む!」
「はいはい!早速ブチかましますよおおお!・・・青き炎よ!」
なぜに先ほどの見た目最悪のエリアヒールを、戦闘の最初から使用許可を出すのか。
実はノートンは魔石回収後に全員を集め、ケンゴの火属性の回復魔法について詳しい説明を受けていた。
そしてケンゴは、
1.「火に回復効果がある事」
2.「火の熱さは極力抑えている為、全身が炎に包まれても燃えない事」
3.「燃えている限り回復効果が持続する事」
の3つを話す。
一斉にざわめく討伐隊の面々。
ケンゴの話を聞いてノートンは推理する。
(レベル20前後の回復術士が全体回復魔法を習得している事も異常だが、さらに回復効果が持続するだと・・?そんな魔法聞いたこともない・・・こいつ何者だ?)
(しかし回復効果が持続するのなら多少のケガは即回復するだろうし、常に万全の態勢で戦う事が出来るな。対多数の戦闘では絶対に欲しい魔法だ。)
(そう言えばエマとの会話では城で研究していたとか言ってたか?・・・今追及はやめておこう。)
(まぁ本来なら将来優秀な回復術士になるのであろうが・・・
見た目がアレなので全く回復魔法に見えないのがな・・・異端な存在になるのは確定だろう。)
ふっと笑いながらもこの先の階へ思考を巡らせる。
(4階や5階にも大量に魔物が沸いていた場合、一番安全に討伐できる可能性が高いのはケンゴの全体回復魔法を最初に掛けてもらう事。)
その条件が4階に降りてすぐの1部屋目にて早速当てはまった。
(頼むぞケンゴ!)
「おい!一番低い温度にしろよ!さっきの熱湯風呂みたいな熱いのは・・・」
「エリアヒイイイイイル!!」
全員「うわあああああ!! 熱っちゃあああああ!! いやぁああああああ!!」
相変わらず酷い光景である。ゴブリンも魔狼もドン引きしている。
そして散々駆け回った人型の炎達は、やがて熱さに慣れたのかピタリと動きが止まり、突然魔物に襲い掛かる。
「うわあ、ブ〇ザードがいっぱいw」
その姿は某元祖RPGの最後の洞窟に4体で出現し、死の魔法を連発してくる炎系の魔物とそっくり。
そんな魔物のような姿の冒険者たちが、本当の魔物であるゴブリンと魔狼を追いかけ回す。
笑いながら襲い掛かっている人もいる、地獄絵図の再開だ。
全身炎の討伐隊は、3階と同じパターンで4階も見事(?)に魔物を駆逐していった。




