47.騎士団
「んん~、このとんかつ!本当においしいですわ~!」
ダンジョンの中でも見た光景、相変わらずハイテンションの聖女様・・・。
健吾は聖女様と序列3位さんを伴って魔法研究施設の中庭で昼食を食べていた。
護衛してくれた聖騎士様たちは健吾の宣言に感銘を受け、早速神殿長や騎士団長に会うべく飛ぶように去って行った。
さらに馬車を護衛していた兵士たちも挨拶の後四方に去っていく。
もしこの健吾の提案が通り、城を挙げてレベル上げをするとなれば「絶対に他の騎士団には負けられぬ!」なんて展開もあるのだろうか、と想像する。
ちなみに神殿には聖騎士団があり、お城には騎士団が第一から第三まである。
宮廷魔導士団は1つだが、おおまかに研究派と実践派に分かれている。
ダッシュで報告に行った副騎士団長さん達と違い、悠々と昼食を摂っている序列3位の魔法使いさん。
「あ、あの~、序列3位さんはゆっくりしててもいいんですか・・?」
「・・・キョウコよ。」
聖女様とは対照的に、落ち着いた雰囲気で紅茶を飲むキョウコさん。
しかしその前にはとんかつを食べた皿が7枚ほど乗っている。
(こ、この人いつの間にこんなに食べたんだ・・。聖女様だって2枚目なのに・・。)
いかにも魔女って感じの黒一色の服装に黒髪ロング、誰がどう見ても魔法使いと分かる。
「あなた、いい加減名前ちゃんと覚えなさいよ・・・。」
「す、すいません!会社でも名前覚えるのが苦手で営業から外されたんで・・。」
「は?・・えいぎょ・・?」
「あ、いえ・・・現世の話です・・・。」
「そ、そう・・・。」
健吾は入社してすぐ営業をしていたがブラックすぎて心を病んでしまい、自己防衛なのか相手の名前が覚えられなくなり営業を外されてしまっていた。
「わたくしはリリィですわ!リリィ・ノーブレットです!」
「へ?・・・ああ、ありがとうございます聖女様。」
「もおおお、違いますぅ!名前で呼んでください!リ・リ・イ!!」
「あっ、ハイ・・・。リリィ様。」
「うふふ・・・はい。」
早朝の自己紹介の時に聖女様以外は名前を教えて貰っていたが相変わらず愛称でしか覚えられず。
なぜか今になって名乗り、名前を呼んでもらい嬉しそうな聖女様。
(よ、良く分からん・・、認めてもらえたって事なのかな・・・?)
療養塔で魔力不足の時は分からなかったが、魔力が戻ってレベルも上がると明るくて元気いっぱいのお嬢様、しかもロリ巨乳というある意味最強属性持ちな聖女様にも話し掛けてみる。
「聖女様もいいんですか?聖騎士様たちみたいに連絡する事とかあるのでは?」
「ふふ、心配なさらなくても大丈夫ですわ、今日はゆっくり休憩して、レベル30で覚える新魔法を会得すれば後は自由ですの!」
「い、いや、そういう事では無くて・・・まぁいいか。」
朝から昼までは討伐で忙しかったとはいえ、塔でのブラック勤務から解放されていると思えば同情もできる。
まぁ、聖騎士様たちがお偉いさんに報告してくれているだろう。
「宮廷魔導士団も同じようなモノよ。研究派にしろ実践派にしろレベルを上げたいと思っている人しかいないわ。」
「だけどくじ引きでも何でもして順番さえ決めればみんな従うわ。騎士団みたいに仲悪くないからね。」
「聖騎士団も聖女見習いの方たちも一緒ですわ。仲が悪いのは騎士団・・・ですわねぇ。」
「おおう・・・。」
(悪魔の巣の討伐の為に国家間で団結していかなければ人類滅亡も有り得るって時に騎士団同士で争ってるのか・・。)
そう、閉鎖的な魔導士団のキョウコや療養塔で多忙なリリィから見ても仲が悪いのが分かるくらい騎士団同士は揉めていた。
ああーどこの世界の騎士団も貴族が関わると仲悪くなるよねぇ、と思いながら詳しく聞いてみると、
高位貴族出身が多く、名誉を重んじる第一騎士団(近衛師団 城防衛)
中位貴族がまとめる実力ナンバーワンの第二騎士団(魔物・盗賊の討伐等)
下位貴族出身が多く、粗野だが実力主義の第三騎士団(城下町の治安維持等)
で分かれていた。
もちろんの事だが、問題は第一騎士団。
第二と第三は比較的仲がいいらしい。
「要するに、この期に及んでまでも騎士の名誉優先で実力が伴わない騎士団が足を引っ張っている、と言う事ですね?」
「ぶふぉっ!あ、あなたこんな所で・・・、いくら異世界人だからって聞かれたら不敬で訴えられるわよ。」
「そうですよ、第一騎士団は弱いくせに面倒くさいバカが沢山いますからねぇ。」
「「んん?」」
聞いた事が無い声に振り向くと、スティングをムキムキにしたような金髪イケメンマッチョが立ったままカツサンドを頬張っていた。
(え?・・・誰このマッチョ?)
健吾 (楠本健吾) レベル19 火魔法使い
聖女様 (リリィ・ノーブレット) レベル31 聖魔法使い
序列三位さん (キョウコ) レベル50+ 風魔法使い
金髪イケメンマッチョ ??? レベル??? ???




