37.治療
スティングたちと病院へ行く約束をし、その後何回も試して安全性を確信。
(日本の安全基準は厳しいんだぞっと・・・。1万回はやりたかったけど大丈夫そうだな。・・・まぁここ日本じゃないし。)
とはいえ持ち前の単純作業を延々繰り返しても平気な精神力で3000回ほど繰り返していた。
一度もダメージを受けるような攻撃魔法にはなっていないのに安心する。
「これはもうアレンジではなく、一つの新しい魔法になったような感じだな。」
1.単体の火魔法生成
2.低温化、ダメージゼロ化、延焼抑制
3.回復魔法生成、回復威力最大
4.火に付与
この4つの動作をマクロ登録するように体に覚えさせたので高速処理が可能になり、見た目は火の魔法を発動してるだけに見えるほど速くなった。
「デュフフ、ここまでやってこそ廃人よ・・・。よし、明日の為に・・・寝る!」
しかしヒーラーとしての初めての活動を想像してしまい、昂った廃人精神がなかなか寝かせてくれず寝たのは明け方になった。
明らかな寝不足にもかかわらず、それをものともしない若い身体は嬉しいが末恐ろしい。
魔力操作レベルがMAXなおかげで魔力回復も格段に早くなっているのもあるが、あれだけ使いまくった魔力もしっかりと満タンだ。
現世の45歳ボディなら間違いなく一日中重い体と死んだ魚のような目で激務をこなしていたはずだ。
そんな経験があるからこその若い身体のありがたみ。
いつも通り女神様に感謝のお礼をしている所を呼びに来たスティングに見られ朝食へ。
朝食後スティングに連れられて城内の療養塔にやってきた。
城の端の方に建てられた塔は言うなれば隔離施設、いかに綺麗な城内であってもここは少し重苦しい雰囲気がある。
(この世界の医療はどのくらい進んでいるのだろう・・。戦時中の野戦病院のような劣悪な衛生環境でなければいいけど・・・。)
健吾のその心配をよそに、塔に入ると部屋もベッドも比較的清潔で、患者の治療状態もかなり良かった。
伝染病の心配はないようでほっと胸をなでおろしながら患者の状態を確認していく。
大きな切り傷の患者や骨折した患者、四肢欠損した重症患者もいる。
オブライトの話では聖属性魔法使いが3人居て、一人は上級の聖魔法も使える聖女様。
もう一人は医療知識もあるベテランの婦長さん。
残る一人は去年聖属性を授かった新人さん、との事。
城の患者だけでも100人近くおり、聖属性使いは3人。
負担は聖女様と婦長さんにのしかかり、魔力は常に枯渇状態。
新人さんと看護婦さんたちが生活魔法の回復スキルを使い少しづつ治しているのが日常で、聖女様と婦長さんは魔力が回復したら回復魔法を使う、を繰り返しいて二人の精神状態も限界ギリギリだった。
そこへ救世主のごとく現れた火属性魔法使いの異端児・健吾。
健吾は、
「欠損も治せる聖女様が軽症者も担当していては負担が非常に大きくなります、聖女様と婦長さんは重傷者を担当してください。まず魔力の回復を。」
「残りの軽症者は新人さんと僕が担当します。」
と、役割分担を提案した。
そうは言われたものの、はい分かりましたと即信用されるほどの健吾の実績はというと、皆無。
「提案は嬉しいのですが、あなたの授かった属性は火と聞きました。その・・火魔法では回復魔法など1つも無かったと思うのですが・・・。」
聖女様の懸念もごもっとも、なので実際に治療を見てもらう事にした。
「火魔法をアレンジし、火の回復魔法を完成させました。」
「ほ、本当に・・・?」
「ええ、ただ、見た目は患者を燃やしているように見えるのでそこだけはご注意ください。」
「・・・え?えっ!?も、燃やし・・・て?」
聖女様たちが驚く中、健吾は魔物から深い裂傷を負って治療中の患者に火魔法を発動させた。




