36.新魔法2
「ボンッ!!」
まばゆい光を放って1つになった火が爆散した。吹っ飛ぶ健吾。
「び、びっくりした・・・。け、怪我は・・・無し?」
身体の数か所に火が付いて燃えているが温度を下げているので問題は無かった。
「失敗・・・か・・・。まぁ最初から成功とか甘すぎるよな・・・。」
「ありゃ、飛ばされた時にちょっと擦りむいたのか。」
しばらくぼーっと負傷した左手甲のを眺め、なにげなく太もものあたりで燃えている火に当ててみた。
左手甲に移された火は綺麗に燃えながら、すーっとすり傷を治していった。
「おおお・・!?・・・おおおお!!!」
「で、出来てる!!・・・回復する火魔法できてるうううう!!!」
火魔法に回復効果を合わせる事に成功し、渾身のガッツポーズ。
VoVoの課金ガチャで出現率0.1%の激レアアイテムをゲットした時以来の廃ボルテージだった。
ゲットするまでの課金額は・・・内緒だ。
「ん?・・・じゃあなぜ反発して爆発したんだ・・・?」
反発した原因を調べる為に試作を繰り返す。
すると先に火を発現し、後に回復効果を合わせたほうが反発も爆発も無いことが分かった。
「そりゃそうか、まず基本の火を発現させてからアレンジしないとだめだよね。先に回復魔法出して合わせたら反発するわ。」
「例えるなら味噌汁かな、鍋の中の味噌汁に具材を入れなきゃいけない所を、まな板の上の具材に味噌汁をかけたような・・・うん、よく分からんな・・・。」
「ケンゴさんあれからどうでs・・・また燃えてる!?」
床にあぐらをかきながらいい例え話がないか悩んでいるとまたノックなしでスティングたち登場。
仕事を終えて寝る前に見に来てくれたらしい。実験で健吾が全身燃えているのはもはやご愛嬌だ。
どうもドアを開けた先にあるこの研究用の大部屋はプライベートルーム扱いされておらず、誰でも入れて進捗を伺える部屋らしい。
奥のベッドルームがある部屋で寝てる時にはちゃんとノックをしてくれていた。
(ノックなしがこの世界のルール化と思ってたよ・・。)
「ああ、もう寝る時間になってましたか・・・。」
ハマりだしたら時間を忘れて熱中する廃ゲーマーの鑑、今回も3~4時間は経過していたらしい。
「出来ましたよ、・・・火の回復魔法!」
「おおお!まさかこんなに早くやってしまうとは・・・、やはりあなたは女神様が選んでくれた使徒様なのかもしれません。」
「い、いやいや、交通事故で死にかけのところを救ってくれたのはスティングさんですよ。あなたが選んでくれたから女神様から奇跡のような好待遇を頂けたのです。」
「ホントに早くお役に立ちたかったので、回復魔法が出来てよかったです。」
お互いにいやいやと謙遜しあった後、御一行のスティング、オブライト、マナ、ナミに怪我が無いか確認し、小さな怪我のあったマナとナミに火のヒールを披露した。
「あ、熱いけど・・・な、なんかほわっとします・・・。」
「な、治っていく・・!で、でも見た目がすごく怖い!」
二人らしい感想をもらう。やはり体を火で燃やしてるように見えるので絵面は悪い。
「先ほど少し大きな傷を作って試してみたのですが、ゆっくりではありますが完治しましたね。」
「え、自分で傷を?む、無理をしてはいけませんよ。」
「いえ、見た目が悪すぎる回復魔法ですからこういうのは自らが実験台にならないと皆を納得させられませんしね。」
「回復効果はバッチリあります、しかも火が燃え続けている限り効果は継続しています。完治すれば任意で消せますし。」
「お、おおお・・・。」
もう呆れ気味に驚くスティング。
「一度火の回復魔法をかければ時間はかかりますが完治します。生活魔法と初期の火の単体魔法なので魔力消費も僅かです。つまり・・・。」
「つ、つまり・・・?」
これ以上何かあるのか、と息をのむスティングたち。
「魔力操作を極めた今ならこの回復する火を最大20個くらい出す事が出来ます!つまり!20人の怪我人を同時に治す事が可能っ!!」
「っ!!!」
ハッとするスティングとオブライト。
「今ヒーラーさんが足りないんですよね?今日はもう寝る時間みたいなので残念ですが、朝に病院に連れて行ってくれませんか。」
「一般人、冒険者、騎士・・・。魔物の被害で傷を負った人たちは多いと思います。今の僕なら救える人は少なくないはずです。」
「ケンゴさん・・・!」
「おお、神よ!!」
「は、はわわ・・。」
「か、かっこいい・・・。」
マナとナミが惚れそうな勢いで見つめてくる。
「かっこいい」・・・健吾がゲーム以外で初めて言われた言葉だった。




