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暴炎の回復術士 ~火属性ヒーラーが敵も味方も焼きまくる~  作者:
第一章 社畜廃人ゲーマーおじさん召喚される

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34/46

34.きっかけ

カツサンドの入ったカゴをもらって嬉しそうに駆け出した少女が転んでしまい、半泣きになっていた。


あらあら~、とやってきた母親は少女の擦りむいてしまったヒザを優しくさすり、何かを唱える。

指が少しだけ明るく光り、傷口に触れてしばらくすると綺麗に治っていった。


「うええええっ?そ、それっ!?回復魔法(ヒール)ですかああっ!??」

「ひゃっ!?」


奇声を発しながらすごい勢いで駆け出してきた健吾に驚くお母さん。

警戒され少女には蹴りを入れられた。


「痛てっ!・・あ、あのっ、あなたは聖属性魔法使いなのですかっ!?」

「い、いえ、違います・・・、私は土属性魔法使いです。」


「「「ん???」」」


健吾、母子3人とも同じ方向に首をかしげる。


「え・・・、あ!土属性魔法には回復魔法もあるのですか?」

「いえ、ありませんけど・・・?」


「「「んんん???」」」


また3人同時に首をかしげる。話がかみ合わない。


「えええ、でも今、お子さんに回復魔法使いましたよね・・・?」

「それは生活魔法ですよ。」


テーブルでとんかつとエールをがぶ飲みしていたスティングが話に割って入って来た。


「せ、生活魔法・・・?」


「はい、この世界の人なら誰でも使えます。10歳になると女神様から授かるという形で神殿の神官が生活魔法をいくつか教えてくれるのです。」


「な、なるほど、その生活魔法の一つに回復魔法がある、と?」


「そうですね、しかし正確には回復魔法ではありませんし、威力は聖属性の回復魔法の10分の1すらもありません、小さな怪我を治す程度です。」


「他の魔法も火を灯す程度、少量の水を出す程度、そよ風を出す程度、とかですね。」


「ええええ・・・・。」

「け、ケンゴさん!?どっ、どうしました!?」


スティングの説明を聞いて膝から崩れ落ちる健吾。


「あ、あるじゃないですか・・・回復魔法・・・、言ってくださいよおお、聖属性授からないと無理って言ってたのに・・・。」


「え?回復魔法ではないですよ?そもそも生活魔法自体が女神様からの贈り物という認識なので魔法扱いされてないんです。」


「えええ・・・意味が分からない・・・・。」


続いて話を聞いてみると、生活魔法は生きていく役に立つようにと女神様が、


「本格的な属性魔法を使えない人にも使えるようにしたスキル」


というものであり、魔力消費が1なので魔力量が少ない人でも安心して使えるらしい。


ちなみに聖属性魔法のヒールと生活魔法のヒールの違いは、


聖属性ヒール: 回復効果のある魔法を生成し、体内に取り込ませることで回復する

生活魔法ヒール: 傷口にスキルを使う事で患者自身の治癒効果を高め、回復する


という「聖属性の力で回復」と、「自力回復を促す回復スキル」、だった。

他力と自力、確かに回復魔法と言うには少し違うかもしれない。


それに、「10歳で誰でも使える簡単スキル」と浸透しているので、この世界では誰もこれが魔法だと思っておらず、認識が違うのでスティングすら説明してくれなかった、というオチだった。


(えええ、「生活魔法」・・・。魔法って言ってるのに別扱いなんかーい!・・・魔法とスキルの違いが曖昧過ぎてもう分からん・・・。)


さらに脱力して地面にパタリと倒れ、心配してあわあわするスティングたち。


「ふ、うふふふ・・・ふぉーふぉっふぉっふぉ・・ぶっふぉ!」

「「??」」


少しの沈黙の後、突然笑いだしてむせる。


「ふっ、誰が聖属性の回復魔法を使わせろって言ったよジョ〇ノぉ!聖属性でなくとも・・・これでいいんだよぉ!生活魔法の回復スキルでいいんだよおおおお!」


「じょ、じょる・・?、わ、私はスティングですが・・・?」


某アニメ5部のギャングの言ってみたかったセリフを堪能しつつ素早く起き上がる。

その速さに全員ビクっと驚く。


「スティングさん!僕に生活魔法を教えてください!!」


満面の笑みで正月の初セリでマグロを競り落とす寿司チェーンの社長のポーズを取る。


(過程は違えど回復魔法!上手くやれれば実戦レベルで使えるようになるかもしれない!)


きっかけが大きく回復術士への扉を開いた・・・ような気がした。

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