33.料理チート
魔法を覚えてから二日目の夕方、健吾は中庭の調理スペースで料理をしていた。
(あと1日しかないのに何やってるんだろう・・・。まぁ息抜きにはいいか。)
そう思いながら昔取った杵柄でサクサク作業をこなす。
「用意するのは豚肉、小麦粉、パン粉、卵・・・。これで作れます。」
「ほほー。」
料理長をはじめ料理人たちとスティング御一行が置かれた品々を凝視する。
「やることは簡単ですよ、説明しますね。」
1.豚肉を一枚に切る
2.小麦粉を両面にまぶす
3.割ってかきまぜた卵につける
4.硬いパンを削ったパン粉をつける
5.油で揚げる
この動作を見せて試食用の見本1号を油から取り出す。
包丁でザクザクと切り分け、とんかつの完成。
「このままでも美味しいのですが、これに合うソースを付けると何倍も美味しくなります。」
「ステーキ用のソースにレモン汁やトマトなど果実や野菜を入れると少し甘めでよく合うソースになると思うのですが、何分素人なので助力お願いします。」
「おお、分かりました!腕がなりますな!はっはっは!」
料理長は恰幅のいい見た目と同じく豪快で気前の良さそうな人だった。
まず最初にとんかつ1号を「塩」をつけて食べてもらったら、絶賛されまくった。
「おおおお!」
「ナニコレオイシイ!!」
「んんんん!(熱い!)」
「あはは、喜んでもらえて何よりです。うん、うまい。」
(高級ステーキ食べまくってるエリートたちにとんかつで喜んでもらえるのはちょっと嬉しい。)
料理長は試作を食べながら色々と考えていたようで、とんかつに合うソースをすごい勢いで作り始めた。
さすが宮廷魔導士のお抱え料理長。
「出来ましたぞ!ケンゴさん、これくらいの甘さでもよろしいか?」
「うお!?これは、まさにとんかつソースですね!バッチリ合うと思いますよ。」
おおー!と料理人たちから歓声が出るなか、スティング御一行が完成したソースをかけてとんかつを食べてみる。
「ふあああ、何ですかこの美味しさは・・・!?」
「塩もおいしかったけどソースかけたら最高っ!!」
「んんんん!(おいひいい!)」
「ああ、女神様に感謝を・・・!」
4人ともに恍惚の表情。そ、そこまで・・・?と驚く健吾。
料理人たちも続いて食べると大絶賛の嵐。
「まだカツサンドではないんですが・・・、とりあえずとんかつをメイン料理として作ってみますか。」
そしてまた料理長たちに提案し、
とんかつと大盛りの千切りキャベツ
味噌汁の代用のスープ
ライスかパン
という現代世界のとんかつ屋の定食っぽいものが完成した。
料理長たちがガンガン作ってくれるので揚げたとんかつのいい匂いが中庭いっぱいに広がり、釣られた魔法使いたちがとんかつを食べて絶賛し、それを聞いて他の魔法使いがたまらず部屋から出てきて・・・ととんだお祭り状態になった。
希望者にはエールも振舞われ、とんかつと一緒にエールを飲み大いに賑わった。
「魔法使い全員出てきてるのではないですか?ケンゴさん凄いです!」
「い、いやあ、僕が考えた訳ではないですから。最初に作った料理人にお礼したいですね。」
「んんんーん!」
マナは憧れの目で、ナミはとんかつを口いっぱいに頬張りながらキラキラした目で感謝してくれた。
その後料理長たちとカツサンドを作り、部屋に戻る魔法使いたちにお土産として持たせるとまた大絶賛された。
(うーんん、ホントに料理チートってあるんだなぁ・・・。まぁ現代料理の一つをこんなに喜んでくれるならね。料理系の異世界小説に感謝で・・・ん?)
ニコニコしながら魔法使いたちがカツサンドをもらって部屋に帰るのを見ていると、ふと子供連れの母子が目に留まった。




