31.料理の約束
昼食を終えて部屋に帰って来た健吾たち。
今日の食事もとても美味しかったとお礼を言い、火魔法の練習準備をしながらしていた雑談で盛り上がった。
「ケンゴさんの世界での食事と比べてどちらが美味しいですか?」
双子の姉であるマナが珍しく話しかけてきた。元の世界の食事に興味があるのだろうか。
妹のナミは黒髪ショート、マナがナミより少しロングで、髪の長さ以外全く見分けがつかない美人姉妹だ。
「僕の世界と比べてもこちらの料理はかなり美味しいですよ、ただレパートリーが足りてないかなと。」
「レパートリー・・・?」
妹のナミも会話に参加してくる。言葉の意味が分からず首をかしげている、カワイイ。
「あー、えっと、料理の種類が少ないと言う意味です。お城のどの料理も美味しいのですが、もっと多くの種類が僕の世界にはありましたから。」
「お城の料理以外の種類がいっぱい?・・・他の料理も美味しいの?」
「そりゃもう!例えばサンドウィッチですが、僕の世界にはカツサンドって言うのがありまして、肉を油で揚げてソースを付け、キャベツと一緒に挟んだものなんですがすごい美味しいんですよお。これがもうたまらな・・・あ、想像したらめっちゃ食べたくなってきた・・・。」
オタク特有の早口で語っている途中でカツサンドを思い出し会話を止めると、双子どころかスティングやオブライトまで目を輝かせていた。
「け、ケンゴさん!その・・、カツサンドというものを食べてみたいのですが・・・!」
「「わ、わたしたちも!」」
(おおすごい、双子がハモっている・・。)
「え?・・ええ、いいですよ。多分お城の調理場にあるもので出来ると思いますし。」
「おおおお!!」
以外にもすごく喜んでくれたので夕食はカツサンドを作る事になってしまった。
ちなみに豚肉もこの世界にあるらしい。豚いるんだ・・・。
(豚肉を揚げて切ってパンに挟むだけなんだけどな・・・。あ、とんかつの調理方法を知らないのか。中世ヨーロッパ並みの時代にとんかつはさすがに無いのかな。日本発祥だったっけ・・・?)
(んー、とんかつソースはどうしよう、この世界のステーキソースにアレンジすればいけるか?)
色々考えながらも火をいくつも発現し、部屋を高速で移動させたり消したりと鍛錬を始める。
その様子に改めて驚かされるスティング御一行。
「や、やはりとんでもない才能ですね。同じ火属性の魔導士で、無詠唱でこの量の火を生成して動かせる人物はいません。しかも習い始めて1日でこれとは・・・天才と言われた私でも3年かかったのですが・・・。」
「お、お師匠様、ケンゴ様はこれでレベル1なんですか・・・?」
「そうですね、レベルを上げるには経験値を得なければいけません。基本は魔物を倒す事などの戦闘経験の蓄積によってレベルを上げられます。しかしケンゴさんは火の発現と魔力操作の練習のみですからレベルは1のままですね。」
「早いうちに低ランクのダンジョンでレベル上げをしてもらうのが良さそうです。」
スティングとマナ、ナミたちの会話をよそに、健吾はブラック企業入社当初自炊してたのを思い出し懐かしみながら鍛錬を続けた。




