表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

2.ダンジョンにて (2)

左右の手のひらの20センチほど上に、バスケットボール位にまで大きくなった赤い火の玉が浮かぶ。

その玉の一つを野球選手の投手のような美しいモーションで投げた。


回復術士「盾さん!ヒール行きました!」

盾職  「おお、ありがたい!頼む!・・って、何だその火の玉はああああ!?」


この世界での回復魔法は視認でき、モヤっとした霧のようなものがキラキラと光って見えるのが普通だ。

そのキラキラが来るのだなと思って振り返ると、剛速球で迫り来る真っ赤な火の玉。彼は戦慄した。


回復術士「それヒールです!」

盾職  「う、嘘を付くなあああ!(ドゴッ!)ぬおっ!あ、熱っちゃああああああ!!!」


火の玉は無事盾職の腰付近に命中。頑強な鎧を装備した彼の身体は一瞬で赤い炎に包まれた。


短剣職「な、何だ!? 同士討ちかっ!?」


炎上する盾職を見て驚くが、回復術士の方へ振り向くと今度は残りの火の玉をこちらに飛ばそうとしていたのを見つけ驚愕する。


回復術士「短剣さんにも行きますよおおお!ダッシャ!!」

短剣職 「ちょっ!おまっ!!やめろやめてぎゃああああああ!!」


投球動作が面倒だったので今度は普通に飛ばした。当然のようにHITし盛大に炎上する短剣の人。

回復術士の隣にいる魔法使いはへなへなと地面にへたり込み、涙目になりながら燃え続ける二人を呆然と見ている。


魔法使い「な、なんて事を・・・。」


魔法使い(回復術士と偽り、パーティメンバーである二人に火属性魔法を放ち仲間を殺そうとする裏切り者だったとは!)


ゲームではプレイヤーがプレイヤーを殺す事をPK、(プレイヤーキル)と呼ぶ。この光景を誰が見てもそう判断されるだろう。


魔法使い(あの炎がヒールな訳がない、この裏切り者を無力化して早く二人を助けないと!)


と、杖に魔力を込め詠唱を始めようとした瞬間、回復術士は叫んだ。


回復術士「魔狼がひるんでいる!今です!」

魔法使い「はぁ!? 何言ってん・・・ええっ!?」


せっかく込めた魔力が霧散していく、それほどに彼女は驚いた。全身炎に包まれた二人が動き出したのだ。


盾職 「うおおおおお!!(ズバッ!)」

短剣職「テメエコノヤロー熱いだろうがあああ!!(バシュバシュッ!)」

魔狼 「ぎゃおおおお!」


二人は燃えながらも魔狼をズバズバと討伐していく。

それもそのはず、魔狼にしてみればもう少しで食えそうなニンゲンが突如火だるまになったのだ。

驚いてしまって二人を襲うのを止め、ぽかんと立ち尽くしていた。


あっという間に形勢が逆転し、このパーティが担当する通路は危機を脱した。


短剣職「待てやコラァア!タココラ!!」

盾職 「確かに熱いが本物の火の熱さではない!それに傷も回復している!ほ、本当にヒールなのか!?・・・熱っ!!」


短剣職に攻撃を任せた盾職はこの不可思議な現象をなんとか理解しようと話しだす。しかし立ち止まっているとクソ熱い。


魔法使い「えええ~!?ま、マジなの!?」

回復術士「もちろんです!僕はヒーラーですから!」


魔法使い(ほ、本当に回復してる・・・みたいね。で、でも絵面が・・最悪なんですけど・・・)


再度盾職も討伐に加わり、完全に戦意喪失した魔狼を全身燃えまくりの二人が追いかけ回す。

この地獄のような光景のなかで魔狼はみるみる数を減らしていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ