11.宴の終わりと錯乱
各部屋に沸いた魔狼を討伐した2パーティが戻り、
大部屋で交代で沸いた魔狼を討伐して2時間程、ついに悪魔の巣の「魔物無限湧き状態」が終わった。
早速聖属性魔法を持つ回復術士二人が浄化スキルを放ち、悪魔の巣は完全に消滅した。
わあっと歓声が上がる、と同時になぜかため息も漏れている。
「終わったか。ん、なぜか皆不満げな顔をしてるように見えるが?」
「ああ、いや・・・1日ほど交代で狩りまくってたので皆疲れたのでしょう。」
「そうかのう、それだけではない様にも見えるぞ。」
大体は分かっているであろうブレアがニヤリと笑いながら追及する。
「そうですね・・・、1日狩り続けて俺達レベルが5つくらい上がりました。」
「何!?たった一日でそんなに上がったのか?」
「ええ、ケンゴが提案してくれまして。何でも「無限湧きはパワーレベリングの1つだ」とかで。」
「ぱ、パワー・・・?なるほど、また彼か・・・。」
ケンゴの発案と聞いてもう納得するしかなかった、発想が普通の冒険者とはまるで違うからだ。
「ドロップした魔石もかなりの量になってますよ、経験もお金も・・・みんなのやる気が凄かったのも頷ける。帰ったらしばらくはゆっくりできそうです。」
「ほほう、それほどかね。了解した、ギルドで高く買い取らせてもらうよ。」
「ありがとうございます。では撤収作業にかかります。」
そう言って皆に撤収の準備を告げる。
それを聞いて全員が速やかに撤収作業を始める光景を満足げに眺める。
(実にいいリーダーシップだ。彼はこの先もいいリーダーになるな。)
(ダンジョンに入る前は名も知らぬ同士の即席パーティだったのが、
たった1日で統制の取れた集団になっておる。若い子たちの成長は早いのう。)
孫の成長を見守るじいじのような目で見ていたが、その中の一人を見て表情を引き締める。
(その原因を作ったのは間違いなくこいつ・・・。ケンゴ・クスモト・・・か。)
ギルドに帰ったら新魔法や悪魔の巣について、ギルド長や幹部職員に怒涛のように質問されることは間違いないだろう。
「ケンゴ、大丈夫か?そろそろだが出発できそうかのう?」
「え、ええ・・・。も、もう5分ほどあれば・・・。」
先ほども火魔法に色々な効果のある魔法を組み合わせては体調を崩し吐きまくっていた。
また倒れてしまったので青い炎を纏って現在回復中である。
ノートンも心配なのか様子を見に来た。
「色々な効果が付くのはすごい事だが無理はいかんぞ!ヒールで治るにしてもだ。」
「いやぁ、こんなの糖尿病の恐怖に比べれば可愛いもんですよ・・・。
自堕落な食生活こそが体には大敵!手足のしびれも目のかすみもヒールで治る!
いーい時代になったものだ!なぁケンジロウ・・・!」
「け、ケンゴ!?な、何を言っとるんだ・・・???」
「さ、さぁ・・・。」
悪魔の巣の湧き狩り中ずっと新魔法を試していたために精神が限界にきたようで、
朦朧とした意識で火に焼かれながら回復するなか、現代日本の記憶を適当に喋っていた。
「まだ吐いちゃいないですよ・・・。俺を吐かせたらたいしたもんですよ、即糖尿ですよ・・・糖尿コワイ・・・野菜中心の生活と適度な運動を・・・先生、ラーメン食べたいです・・・。」
「・・・・。」
よく分からないが彼のトラウマから来る言葉なのだろうと理解する。二人は顔を見合わせる。
「もう1時間ほど休ませてやるかの・・・。」
「そうですね・・・。」
追加で1時間の休憩が決定した。




