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くらし、介護、健康

いま出来ることを粛々と

作者: 池畑瑠七

マーカー数値が上がってきてるからね

選択肢 あまり残されてないんだよねえ

こともなげにドクターが言う

いつもながら直球な先生だ(笑)


数日前 処方が変わった

ホルモン抑制剤がもう効いてないから抗ガン剤的な新薬試してみますか?


はい、というよりほかない


7日分 新しいお薬を受け取り 副反応の説明を受け飲み始めたばーちゃん

乳がん骨転移 毎日朝1回4錠 ことのほかでっかい錠剤だ


腎障害、緑内障、高血圧、脊柱管狭窄、

骨粗鬆症エトセトラ

お薬あわせると1回分が片手に山盛りいっぱいになる

腎臓を守るため毎日2リットル水をのまないといけない

目薬はあれとそれとこれを5分おきでこの順番で 日に3度とか

通院は週2とか 普通

待ち時間3時間とかも 普通(笑)

腰は90度以上曲がり伸ばすことはできない

歩くのは杖を使って 少しならどうにか

左目は光を失い なんとか見えてる右目だけで暮らしている


それまでも持病の腎障害から発熱 膀胱炎を度々起こしたり

高血圧で眩暈 夜間救急に駆け込んだり よく体調崩してたけど

昨年の春 急に歩けなくなった

腰に激痛で 眠れない

やがて寝返りも打てなくなった

歯磨きすら痛みでできない

身の回りのあらゆることに 介助が必要になった


精密検査で分かったのは 乳がんからの骨転移だった

腰や背骨 3か所に転移

即日 注射による投薬治療が始まった


幸いその治療は大きく功を奏していった

痛みは減っていき、あれほど歩くのに難儀してたのが

2か月ほどで一人で歩けるまでに回復してくれた

週2回デイサービスで入浴させて貰えるようにもなった

茶飲み友達が出来て 楽し気に通うようになっていった


先日の診察で治療薬の変更を提案された

ホルモン抑制剤がもう効いてない ステージが上がってきていると

進行を止める為、抗がん剤に準ずる薬を飲むように提案されたのだった


山ほどお薬飲んでいて この上また強い薬を飲んで大丈夫なのかしら?

副反応で髪が抜けるかもって聞いて めっちゃ不安がってる

ばーちゃん 若い頃は都会の百貨店衣料品売り場で働いてたから

人一倍おしゃれだしねー(笑)

そのうえ筋金入りの心配性

体が言う事きかなくなってから 拘りと心配性も

輪に輪をかけて強くなってる


でも、やってみるよりほかない


飲み始めて4日目 いつもと違う悪寒がすると言う

病院の指示で急いで雨の中受診したけど

血液検査の結果副反応の所見は見当たらなかった

このまま服薬をつづけることになりそうだ 効果があるといい


少し遠ざかったと思っていた足音が

確実に近づいてきている 一歩ずつ

その足音に不安や怖れを抱きながら ばーちゃんはずっと気丈に闘い続けている

家族も それを支える闘いを続けている


穏やかに笑って できる限りいつも通りに笑って 過ごしていこう

なるようにしか、ならないしな


こないだ米寿祝いで 親族一同集まった

普段より沢山食べ 孫からプレゼント貰って ケーキの蝋燭吹き消した

物凄く 嬉しそうだった

ニコニコ顔の写真撮れた

例の、まつ毛自分で描き足した一枚よりも ずっといいよ(笑)


じいちゃんさあ

あとどれくらいか見当つかんけれど その時には

ばーちゃんを優しく迎えてやってよね

頼むね


こっちでも ばーちゃんと がんばるからさ





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