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人体改造ガチャ

作者: まい
掲載日:2022/12/13

 こんなガチャが本当に有ったら、自分なら多分1万円分位回すかも知れない。

 ここは多くの人が知らない(アングラ)ポイント。


 時折ネット掲示板で与太話(よたばなし)として話題になる事はあれど、冗談や妄想話(おつ)で終わってしまうネタ。


 証拠と呼ばれる情報もネットの中でも深い深い所にあり、大手検索サイト出検索をかけた程度ではまず辿(たど)り着く情報を得られない。


 そんな場所に、ポツンと怪しいガチャはあった。




「まさか30年近く放置されていた、古い文字だけの個人(ホーム)(ページ)にここの記載が有ったとか、分かる訳が無いって」


 この場所に訪れたのはこのアングラ情報の噂をたまたま見つけてしまって、興味から本気で探したら見つけてしまった、ファン歴40年以上とか言う生粋(きっすい)の昭和の特撮ヒーローものマニア。


 それだけ年齢を重ねており、ビジネススーツを普段着とする年齢通りの外見をした男性。


 特徴は少しだけ(ふく)らんだお腹。


 当人は「小さい頃に大流行したあの仮面チップスとかスナックとかを、カード欲しさに食べ過ぎてね。 それ以来の付き合いだよ」と、お腹を撫でながら自己紹介で言うのがお約束。


「ここに人体改造ガチャってのがあると知って、見付けてやって来たが……なんだ。

 特撮ヒーローお約束の敵組織に改造されているシーンのジオラマとかが入っているわけじゃないのか。」


 彼の目当ては、セリフの通りにガチャ。


 ガチャの設置された高さは子供だと直立したら丁度いいが、大人の身長だと、ちょうど社会で言う敬礼(30°のおじぎ)程度に体を曲げないと合わない。


 むしろしゃがんだほうが、ガチャをガッツリやるなら都合が良いかも知れない


 そんなガチャだが、彼の期待したモノとは違った。



 ガチャの筐体(きょうたい)には内容物を知らせる景品例が書かれた紙(?)が貼られていて、そこには“文字だけ”書かれていた。


 “1回500円!! 安い!!” “人体改造ガチャ” “出た景品の通りの事が起きる” “これであなたも改造人間!!” “身体能力強化” “超感覚” “理想の身体” “信じる心こそが正義(ジャスティス)っ!”


 なんとも怪しすぎるガチャであった。



 彼が望んだのは、昭和の特撮ヒーローが特別なチカラを得る過程で、よく登場する人体改造手術。


 それを模したナニカがガチャになっているのではないか。


 そんな期待を胸にはるばるやって来た訳だが、残念ながらアテが外れた様子で、とても残念そうにガチャを(なが)めながら(しぶ)い顔をしばらくしていた。



 が、流石に眺めるのに()きた様だ。 


「想像と違ったのは残念だが、せっかく来たんだ。 話のタネにガチャを回してみようか」


 ここで帰ってしまっては、来た意味がないと思ったのだろう。



 怪しすぎるガチャ筐体と景品だがガチャなら危険は無いだろうし、説明通り500円位なら、何回か回して景品を得れば、来た甲斐(かい)にもなるだろうとか。


 なにか期待ハズレで変な物を見付けてガッカリして帰るよりは、500円ガチャで大失敗して帰る方が笑い話にもなるだろうしとか。



 それで財布を取り出してお金を確認した。


「あ…………500円玉が1枚もない」


 彼は慌てて、両替してくれる場所を探しに(きびす)を返した。




〜〜〜〜〜〜




「とりあえず3,000円分、6枚の500円玉だ」


 およそ1時間後。 昭和の特撮ヒーロー好きな彼は、人体改造ガチャの目の前に再びやってきた。


 財布には6枚の500円玉を入れて。



「これで面白い景品が出て来てくれないかなぁ」


 わざわざお金を崩してきたのだ。 それだけした甲斐が欲しいのだろう。


 早速彼はガチャのコイン投入口へ、体を前へ(かたむ)けながら500円を…………?


「ああ、やっぱり100円玉じゃあ回らないんだ」


 ちょっとセコい事を考えていたらしい。


 何度か大きな回転ツマミをガチャガチャ回そうとするも、ロックがかかっているのか、ツマミは10°も回らない。


「まったく、しっかりしてるよ」


 しっかりじゃない。 お前がセコいんだ。


 誰かが見ていれば、そうツッコまれていただろう過程を()て、今度は500円玉を入れてツマミを回す。


「ガチャガチャを回していると、子供の頃を思い出すなぁ。 駄菓子屋のガチャガチャに、仮面チップスのカード数枚をカプセルに曲げてブチ込んだ、今だと真っ黒に近いグレーなヤツとかさぁ」


 なんかヤバい昔語りを独り言で語っているが、ちょっとまって欲しい。


 このガチャ筐体は“30年近く前の情報そのまま”なのだ。


 その間に500円玉が何度代替わりしただろうか?


 なのに現行の硬貨が使えている。


 この異常さに彼は気付いていないのだ。


 恐らく久しぶりのガチャで浮かれていて、それに思い至らないのだろうが。



 ――ガコン!――



「おお、中身が見えない真っ黒なカプセル! 怪しさ満点で良いじゃないか」


 出てきたカプセルは彼の言った通り、中身が分からない様になっていた。


 それを取り出し、難なく開封。


「中身は……紙?」


 そう。


 コピー用紙とか上質紙とかと言われる紙きれが、1枚だけである。


 500円で紙きれ1枚なんて、馬鹿げてると思うだろう。


 だが、その思いを今は飲み込み、彼の様子を()て欲しい。


「紙には……“理想の体型になりやすく健康で丈夫な体” なんだこれ?」


 紙に書いてある通りだ。


 それを見て首を傾げる男性だが、紙の通りとしか言えないので、首を傾げられても困る。


「まあいいや、次」


 考えることを放棄したのだろう。


 再び硬貨を財布から(つま)み出して、ガチャへ投入する。



「次は…………“人一倍(ひといちばい)の身体能力”? あー、昔は人一倍って何か分からなかったけど、2倍って意味だと知って混乱したなぁ」


 何かの数字に1を()けても何の変化も無いはずだが、この言葉は掛け算じゃなく()()()()()()()と言う足し算らしく、意味としては2倍らしい。


 初めて知ったときは本当に意味がわからず混乱した。


「まあいいや、次」


 宣言して体を前に倒す男性の動きが、もし誰かが近くにいて見ていれば、速くなっていると分かっただろう。


 だが悲しいかな彼はひとりであり、見物人もいない。


「…………“(おとろ)えの無い若々しい肉体”。

 凄いな、こんなの誰でも欲しいだろ……………お、注意書きに“見た目や筋力が衰えないだけで、寿命は延びません”だって。

 ははっ、そこら辺は都合よく行かないんだな」


 この紙を見て暢気(のんき)に笑っている男性だが、来たときより明らかに若い見た目に()()()()()()


 “身体能力2倍”の時は速くなっただけだが、今度は動きのキレが良くなっている。


 ついでに自己紹介のエピソードはウソだったのか、腹回りがキレイに引っ込んで、ベルトがゆるくなってビジネスパンツが危険な感じにダレている。


 が、ガチャに夢中になってる彼は気付かない。


 ついでに若い体になったはずなので五感も若くなり改善されているはず。


 だが彼は全力でガチャに向き合っていて、五感の変化にだって気付いていない。


「さあ、次は…………“豊かな胸(大きなバストサイズ)”か。 女性なら嬉しい人もいるだろうけど、男じゃあ嬉しくないなぁ」


 紙を見て男性は苦笑するが、苦笑している場合では無い。


 なにせ男性の胸が()()()()丸く膨らみ、スーツのジャケットを押し上げたのだから。


 胸筋が膨らんで(パンプアップして)()()()()になるなら男として嬉しく思うかもしれないが、膨らみ方がそれと違う。


 ゴツゴツした膨らみではなく、ぽよぽよした膨らみなのだから。


「さあ次だ次だ」


 なんて再び身を(かが)める男性は先程と体のバランスが変わっていることに気付いているはずなのだが、強化された身体能力のせいか、些細(ささい)な違いだと受け止めてスルーしている。


「“子孫繁栄”…………いや、意味が分からないわ。 しかもヒーロー好きが(たた)ってか、今も理解者が現れず独身だからな」


 呆れ気味に言う男性だが、確実に変化している。


 子供を()()()()()()()()になっているのだ。


 具体的に言えば顔が自然な感じで整形されて整い中性的に見えるし、彼の相手が()()()()()()()()対応できる肉体へと変化している。


 心なしか肩がなで肩に変わっている。


 腰回りも丸みを()びて、出産に向いた女性らしい骨盤だとレントゲンで見た医者に言われる事だろう。


 喉仏(のどぼとけ)は消え、声だって男性にしては高く、女性にしては低く聞こえる声の高さになり、声から性別を判断するのが難しくなった。


 ぶっちゃければ()()()()化していると言っていい。


 こんなに大きな変化が有るのに、ガチャにも“出た景品の通りの事が起きる”と書かれていたのに、彼はマルっと全くもって全然信じていなかった。


 だから気付けない。


 気付こうとしない。


 このガチャが本物であると。


「お? ベルトが(ゆる)んでズボンが落ちかけてる。 いや、()め直さないと恥ずかしいなぁもう」


 ほら。


 気付いたと思われたビジネスパンツの事も、この程度だ。


 締め直すのに腕を動かす訳だが、肩を(せば)めて……つまり両腕を内側に寄せる動きもする。 すると豊かになった胸の1部に当たっているはず。


 なのに、それにもなぜか気付かない。



「さてさて、最後は何が出るかな〜? …………“魔法や超能力と呼ばれる、強いオカルトパワーに目覚める”か。

 残念。 仮面のヒーローに変身できるとか、呼べば走ってくるバイクを手に入れるとか、そんなのは出なかったかぁ……」


 最後に出たのは大当たり。


 ファンタジー感(あふ)れる超常のチカラ。


 男性は調子に乗って、紙を持っていない方の手をガチャへ向け、(にら)みつけ、なんとなくリキんでみる。


念動力(サイコキネシス)で……このガチャガチャよ、浮けぇ!」


 と、超能力を使っている気分に(ひた)ったつもりなのだろう。


 だがつもりで済まないのだ。


「…………ぇあっ!? 本当に浮いた!!」


 彼に目覚めた強いオカルトパワーで、念じた通りに20㌢は浮き上がったガチャの筐体。


 だが彼が驚いた途端に超能力は途切れて、大きな音を立ててガチャは落ちた。


 まっすぐ浮き上がったので、落ちたと言っても倒れる様な事はなかったのは、幸いだろう。



「浮いた?」


 この現象に彼は心底驚いたようだが、少し悩んで彼なりの答えを導き出した。


「いや、どうせキーワード検知で極細のワイヤーとかを使って、少しだけガチャガチャを持ち上げる、ドッキリ装置でも仕組んでいたんだな」


 やっぱり気付かない!!!


 ガチャはただのオモチャであると言う先入観・固定概念を取り払えず、ガチャから特別な影響を受けたとどうしても気付けない!!!




「最後にあんな仕掛けで驚かせてくれるなんて、このガチャガチャは案外面白かったな。 これは面白い話のネタに出来るぞ」


 そう言い残し、ガチャで当てた紙を大事そうに財布へ仕舞いこみ、この場を去る彼であった。






 彼は彼自身の変化に、いつ気付くのだろうか?






 帰宅した夜にお風呂へ入ろうとして、鏡を見て変化に気付きました。





〜〜〜〜〜〜




 大分前に1000円ガチャをネタにしたのと、出来るだけ違うように書いてはみましたが、結局ガチャはガチャなので変わってないかも……。




蛇足




男性


 男性ではなくなったため、途中から“彼”としか自分が書いてない事に気付いただろうか……。


 んで彼はガチャで得た能力で何をしたか?

 特に何も。

 ただ昭和の特撮ヒーロー好きを余計に(こじ)らせて、超能力や魔法も使って自作の特撮作品を撮ろうとするのが趣味になったとかならなかったとか。




人体改造ガチャ


 ガチャがあったはずの場所に再び今回主人公の彼が訪れても、発見できなかった。

 ガチャをして帰った者には、2度と姿を表さない物だとかなんとか。




ガチャガチャ


 昔はこう呼んだ。 会社が決めた正式名称は別に有るのだが、そんなのを知ったこっちゃない子供には、この呼称が一番しっくりくるのだ。




チップス&スナック


 同じ物だと思ってましたorz

 実際は別物。


 ポテチ型の平べったいのがチップス。

 粉?にして形成したのがスナック。



パンツとズボン


 ほとんど世代の違いによる呼び方の差でしょうね。


 自分はズボンと呼ぶ世代。 パンツといえば下着の認識だった。

 イントネーションが違うから、それで理解しろと言われても困惑してばかり。

 今でもズボンやスラックスをパンツと呼ぶのに抵抗があったりする。




500円硬貨


 現行の硬貨も使えるのは、ご都合主義から。

 書いてて気付いた。

 30年前と硬貨の違いがあるはずジャンと。

 ジュースの自販機だと、未対応なら使えないんだよなと。

 だから使える理由は、ガチャの筐体を現行硬貨に対応出来るよう改造した。

 改造したのは筐体自身なのか、管理してる誰かなのかは未設定。




子孫繁栄での変化


 子孫繁栄をしやすいよう、相手が見つかりやすくなるよう、見た目の改善も行われた為に中性的な顔立ちになった。


 どっちかの性別にモテる系のガチャ景品が出ていれば、そっち特化に身体的な変化が起きていたと思われる。




強いオカルトパワーの目覚め


 ご都合主義的不思議パワー全開。


 アニメ化までした某ギャグ漫画サイキッカーに少し劣る位の超能力を使えるし、魔法の方も相当に好き放題使える。


 好き放題やりすぎれば、同じく人体改造ガチャでトンデモパワーを得た人から制裁を受ける可能性もあるので、悪用はするべきではない。




昔あったヤバいガチャ


 ノーコメント。

 言えるのは、昔見た。 とだけ。






ガチャの他の景品


 主人公は、正直運が良かった。 ハズレも当然あるので。



片手だけカニの爪化


 シオマネキの大きな爪みたいになる。 扱いは部分変身であり、人間の手に戻せる。



全身タイツ変身


 いわゆる戦闘員化。 身体能力は常人の数倍から数十倍とムラが大きいが、正直これだけでも大当たりの部類。

 ただし怪人などの上位存在が出てくると、命令に逆らえなくなる特大リスク有り。



怪人化


 戦闘員より高い身体能力を得る。

 が、その分思考が凶暴になりやすい。

 相当強い心を持っていない限り、社会の敵になる超特大リスク持ち。



特別なバイク召喚


 仮面のヒーローの代名詞。

 かなり頑丈で、スタントプレイなんて余裕でこなす。

 速度も恐ろしいほど出る。

 叫べば現れて、どこでメンテされているのか知らないが、メンテ不要。



特殊な胃腸化


 芋類を食べると必ず、黄色く着色された無害だが臭いガスを生産し、尻から放出する。



微妙な言語能力


 「らあいだ」など、伸ばし棒を使う部分が微妙にズレる、独特な言語能力になる。



再生能力


 命を失っても、一度だけ生き返れる。

 しかも身体能力も増強されて強い体になったはずなのに、命を失う前よりどうしてか弱くなってしまう。



不思議な事を起こす奇跡


 絶体絶命な危機が訪れた時、不思議な事が起きて生還する。 特殊な石を持っている者ならば、超パワーアップをする可能性まである。



強いガールズ


 この能力の獲得者の周りの女性数名が、無改造であるにも関わらず、戦闘員化したモノを軽く蹴散らせるほどの身体能力を得る。

 獲得者が女性だった場合は、獲得者にも適用される。



少年団結成


 変なヘルメットをかぶった半ズボンの少年団が、この能力の獲得者の周辺に現れるようになる。

 時折ピンチに(おちい)って、獲得者に助けを求める声が響き渡る。



修行


 通常のトレーニングではない、効果が未知数な無茶な修行を行うと、身体能力が跳ね上がる。



直感


 不思議な事象が起きた際に|《稀》まれにだが、あらゆる推論や証拠が出てくる前に、直感だけで正解を感じ掴み取れる。




      他多数。

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[一言] TS部分で他の作品を思いだしました、ブロック崩しのゲームをして夢中になり、女体化。悪魔と契約して性的煩悩を持つと少しずつ女体化など
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