表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/42

胸騒ぎ

 中学に入ると優依は、テニス部に入部した。

 

 オレはサッカー部だ。

 

 なのでほぼ帰りが別々だ。

 

 

 …

 

 朝ももう登校班じゃないから別々。

 

 たまに朝一緒になると今まで通りじゃれあ

 いながら登校してたんだけど、なんかヒソ

 ヒソと付き合ってんじゃん?

 とか聞こえてきて気まずくなりそのうち、

 オレたちは挨拶するくらいであまり一緒に

 登校もしなくなった。

 

 

 休みの日も部活の時間がバラバラだから、

 一緒に過ごす時間がほとんどない。

 

 ただ雨の日は、お互い外の部活だから休み

 になる。

 

 なので優依は、オレの昼飯目当てにやって

 くるのだ。

 そして、部屋で勉強したり漫画を読んだり

 してくつろいでいく。

 そのくつろぎ感は今までと変わらない。

 

 

 そして本日も雨で優依は、オレの部屋でく

 つろいでいた。

 

「ねー、サッカー部に一ノ瀬(いちのせ) りょうくんってい

 るでしょ?知ってる?」

「あー、陵のことなんで優依が知ってんの?

 クラス違うのに」

「ふふっ、まあね」

 

 …なんだろ。

 なんか胸騒ぎがするぞ。

 心がモヤモヤ〜のモヤ騒ぎが起きている

 …

 

 その会話は、すぐに終わった。

 もう優依は、漫画の話に移行してたけど…

 

 でも、オレは優依がなんでそんなこと聞い

 てきたのかずっと気になっていた。

 

 …

 

 もしかして一目惚れしたのか?

 それとも気になってる人なのか?

 って聞きたかったけど怖くて聞けるわけが

 なかった。

 

 陵は、オレと同じクラスだ。

 そして一緒のサッカー部なだけあり、すぐ

 に意気投合したのだ。

 

 陵は、たしかにいいやつだしなかなかモテ

 る。

 

 すでに陵くんファンとやらがいる…

 

 なぜそんなにモテるのかというと陵は、明

 るく気さくな性格だからだ。

 

 オレとは正反対かもしれない。

 

 

 数日後

 

 オレと陵は、次の時間が理科の実験だった

 ので二人で向かっていた。

 

 すると向こうから優依とお友達が歩いてき

 た。

 

「おー、優依」

「あっ、和希ー。」

 

 ⁉︎

 

 優依は、陵をみてお辞儀をした。

 そしてその一緒にいたお友達もぺこりとお

 辞儀をしてそそくさと早歩きで行ってしま

 った。

 

 …なんだよ、あのあからさまな慌てっぷり

 

 陵は、じっと二人の姿が見えなくなるまで

 見ていた。

 

 えっ…

 陵…

 なぜそんなにずっと二人をお見送りしてい

 るの?

 久しぶりに帰省してきた子どもがまた帰っ

 てしまうかのような見送りかた…

 お母さんか‼︎

 

 …

 

 もしかして二人ってなんか接点あるのかな。

 

 でも聞けねー‼︎

 

 陵が優依を好きなんて言い出したら…

 もしかしたら両思いじゃね⁈

 

 ああああぁぁ〜‼︎

 これって時間の問題じゃね⁉︎

 

 二人がくっつくのオレは黙ってみてるしか

 ねーのかよー‼︎

 

 おいおい誰か教えてくれよーー‼︎

 

 後悔しない為の教科書とかねーかなー…

 こういう時は、こうしようとか。

 後悔しないための道しるべください…

 

 誰か教えてください。

 あの時こうしておけばこうなりませんでし

 たよってさーーー‼︎

 

 と立ちすくむオレ。

 陵は、二人をじっと見送る。

 

 

 …何してんだよ。

 オレたち。

 

「行くか」

 とオレは陵に声をかけた。

「あー、だな」

 と我に帰る陵。

 

 …陵今何考えてたんだろう。

 

 

 何考えてたんですかーーー‼︎

 と心の中で叫んだ。

 無言だけど心の中では大騒ぎだ。

 

 子供がおもちゃを買ってもらえなくて必死

 に訴えかけるくらい大騒ぎだ。

 もう大の字に転がって泣き叫ぶくらいに。

 

 何何何なんなのーーーっっ‼︎

 

 …うん。

 でも、どんなに心の中で大騒ぎしても当然

 伝わらなかったよ。

 

 続く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ