疼き 1
夜中に、ふと目が覚めた。
彼のTシャツを身に付け、キッチンで水を飲んで寝室に戻る途中、悠さんのスマホの不在着信の表示が見えた。
見るつもりは無かったのだけど。視界に入ってしまった。
着信の名前は、『和佳子』だった。女性の名前…?
こんな夜中に連絡してくるって、どんな人なんだろうか…?
妙な胸騒ぎに不安を覚えて寝室に慌てて戻る。
悠さんは布団以外の何も身に付けていないまま眠っている。Tシャツを脱いで布団に潜り込む。
くっついて眠ればきっと不安も消える。
そう信じてベッドに潜り込み、彼の身体に身を寄せた。
「美咲…?」
「ごめんなさい、起こしちゃった?」
気怠げに私の身体を腕に閉じ込める彼に脚も絡められ、密着してない箇所を探す方が難しい。
「悠さん…さっき、スマホに着信がありましたよ」
「ん?スマホ?」
「さっき水、飲みに行ったら視界に入っちゃって…。見るつもりは無かったんですけど」
「夜中に着信…誰だろ」
「和佳子…って、表示、出てました」
「あ…放っといていいや、それ」
面倒臭そうに目を閉じて、数時間前まで繋がっていたそこを私に押し付ける。
「ん…悠さん」
「もう一回、する?」
「そうじゃなくて。和佳子、さんって…」
「母親」
「え?」
意識を半分そこに持っていかれていた私は、目を丸くしてしまった。