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雷声 9
「美咲…大丈夫か?」
悠さんが心配そうに私の顔を覗き込む。
「悠さん…迷惑ばっかり掛けて…ごめんなさい…」
「迷惑なんかじゃない。寧ろ俺の方こそ…。守るって言ってたのに、守り切れてなかった。ごめんな」
「悠さんが謝る事じゃないです…」
彼の身体にしがみつき、腕に包まれる。涙が止まらない。
「悠さん、私の身体、触ってください…」
「えっ…?」
「桜汰に触られたところ、悠さんで上書きしたいんです。このままだと、自分の身体なのに、気持ち悪くて…」
「いいのか?触っても」
「触って欲しいんです。悠さんじゃないと、気持ち悪いの、収まりそうにないんです」
そっと唇が重なる。
壊れ物を扱うように、そっと。いつもよりゆっくり。
「口の、中も…」
触られた箇所を彼に伝えるだけで涙が零れる。でも、伝えないと正しく上書きして貰えない。
咥内に彼の舌が侵入する。
いつもだったら貪るように口の中を暴れる彼の舌は、優しく撫でるように私の歯列をなぞり、私の舌と絡める。
優しく撫でるような彼の動きは、傷付いた私の身体を徐々に昂らせていった。