雷声 3
叔母が桜汰との距離を保ったままスマホを取り出し、スピーカー機能で聞こえるようにする。
「警察ですか?姪が襲われていて、まだ目の前にその人が居ます。今すぐ来て下さい。本町の虎屋さんの前のマンション、4階です」
警察がすぐに駆けつける旨をスピーカーから流れる声で伝える。
「ふざけんな。犯罪者扱いしやがって。美咲、お前は俺のものだ。誰にも邪魔させない」
言い捨てて、叔母の目の前の階段を駆け降りて行った。
「…逃して、良かった?捕まえたとしても腕力では勝てそうにないんだけど」
「連絡先も勤務先もわかってるから…とりあえずは」
桜汰が去り、部屋の中で一旦落ち着く。
「警察呼んだから…美咲、もうちょっと頑張れる?」
「うん、ありがとう、美香子叔母さん」
叔母のスマホが震える。警察から到着の旨が告げられた。
「では、その人は…恋人だった人なんですね?」
駆けつけた警察官は男性と女性がそれぞれ一人ずつだった。4人掛けのテーブルに着席し、事情聴取は主に男性の警察官が進めた。
「はい。でも最近彼の浮気が発覚して、すぐに別れたんです」
「彼の浮気が原因で別れたのに、付き纏われている、そういうことで間違い無いですか?」
「はい…」