薄日 5
5分後に3時間目が始まる事を告げる予鈴が鳴る。
「あ、もどんなきゃ」
子ども達がバタバタと戻って行く。
「私も行かないと。苗、運んでくださってありがとうございました」
無事に並べ終わって2人とも小屋を出る。
「そっか、授業だもんな」
目を細めて私を見る彼は、学校内にいても美しい。
見惚れてる場合じゃない。私、今仕事中!
「はい。私、音楽室の鍵開けなきゃいけないんで、これで失礼します」
軽く頭を下げて職員室へと急ぐ。
彼を見送りたかったけど、時計はあと2分で3時間目が始まることを示している。
6年生用の音楽の用意と音楽室の鍵を手にして音楽室へと急いだ。
音楽室前では5年生と6年生が待っていた。
「ごめんねぇ!お待たせしました!」
慌てて鍵を開けて音楽室内に入る。
5年生4人、6年生が3人。全員女子だ。
今年度は5・6年生が6年生のカリキュラムを学ぶことになっている。来年度はその逆で、6年生であっても5年生の内容を学ぶらしい。
音楽室内の児童用の席は7人分しか用意されていない。1・2年は合わせて7人、3・4年は合わせて6人、5・6年の7人という、2学年それぞれ合わせても最大7人にしかならないという事情があるからだ。
僻地特有の事情だろう。
「先生、さっきの人、誰?」
6年生の璃子さんがわくわくした目で私を見る。