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Emerald  作者: 藍沢 咲良
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辞令 3


「鈴木先生、結城先生との打ち合わせですが…」

教務の呉林(くればやし)先生が鈴木先生と呼ばれた、30代前半と思われる男性に声をかける。



「1・2年担任の鈴木です。よろしくお願いします」

挨拶をしつつ、鍵をいくつか手にする。

「昨年度色々ありまして…ここの学校の特別教室は施錠しているんです」

施錠は良いのですが。打ち合わせ、職員室ではしないのね?



校内の家庭科室、音楽室、学習室を案内される。

私の担当は全学年の音楽、5・6年の家庭科、1年の算数に2年の国語と聞いている。

私の専門教科は国語なんですけど。国語教師に音楽丸投げってなかなかのスリルですわね?


私は吹奏楽部出身で。ピアノは好きでそこそこやっていた。前任校でも高学年の音楽を担当していたことはある。でも市教委にそれは伝えていない。

つまり、小学校であれば音楽の授業がそこそこ成り立ってしまう国語教師、という情報は無い時点での人事。

人手不足って恐ろしい。



「今年度、1・2年生は2年生の、3・4年生は4年生の、5・6年生は6年生の学習をするという年度になっています」

「…ということは、リコーダーを初めて触る子に4年生レベルのものを求めるってことになるんでしょうか?」

「はい…」苦笑いをする鈴木先生。

「針に糸を通したことのない5年生がいきなりミシンを触るんですか?」

「はい…」これまた苦笑いの鈴木先生。


「私、鷺山市で教職初めてやるんですが…。こういうものなのでしょうか?」

困惑しかない私が尋ねる。

「いや…市内でも複式はウチを含めて2校ですね」

この先生、ずっと苦笑いの表情しか見せないけど。

苦笑いするしかないような職場なのだろうか?

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