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飛湍 11
何度も何度も打ちつけられ、そのリズムに合わせて私の喘ぎ声が出てしまう。
「美咲、好きだ」
私も、好きですって、言えるほどの気持ち、今の私にあるだろうか?彼から与えられる刺激が、快楽が、私の思考の邪魔をする。何か言いたいのに、甘い声しか出せなくて。彼の名前を呼ぶだけで精一杯だった。
悠さんに身体の内側も外側も攻め立てられることに、私の身体は喜んでいた。彼にもっと触れられたいと、望んだ。今の私が理解できるのは、それだけ。無意識に自らの腰を振ってしまっていた。
何度目かの絶頂とともに、私は意識を手放していた。
目を覚ました。まだ夜は明けていないようだ。
規則正しい寝息がすぐ隣から聞こえる。悠さんはまだ、眠っているようだ。
抱かれてしまった。
悠さんは私を好きだと言ってくれた。
でも私は?
端正な美しい横顔に見惚れることは何度もあった。
耳心地の良い低音も、私を抱き止める逞しい腕も、ときめいた事が無いなんて言ったら嘘になる。
「好き」というよりは「憧れ」に近いのだろうか…?
わからない。
自分がどうしたいのか、どうするべきなのか、見えない。