草萌え 7
「なあ、その格好で帰るの?」
朝ごはんを食べ終えて悠さんは出勤準備をしていた。
食器を洗い終えて帰り支度を整える私を見て眉をしかめた。
昨日と同じ服…その服を着たまま悠さんのベッドで寝てしまったのでスカートだけでなくトップスも皺くちゃだ。
「これを着て帰るしか選択肢が…」
「ジャージぐらい、貸してやるよ」
ほら、と手渡される。
「これ以上ご迷惑掛けるわけには…」
「朝ごはんがうまかったからチャラにしてやるよ。俺が煙草吸ってる間に着替えといて」
言うなりベランダに向かう悠さんに、これ以上食い下がれなかった。
受け取ったジャージに腕を通す。ぶかぶかだ。
袖口から手は出ないし、足元は裾をだいぶ捲らないといけない。
「悠さん、あの、これ…」
ガラス戸を開けると悠さんが振り返る。背後に広がる景色は、この部屋がまあまあ高層階だということを示していた。
「ん?…ああ、大き過ぎたか」
携帯灰皿に煙草を押し付け、しょうがねぇな、と目を細めて私の頭をポンと触って部屋に入る。
クローゼットからTシャツと短パンを手渡された。
「これなら大丈夫だろ?」
私が呆気に取られている間に、またベランダに行ってしまった。
今…。頭、ポンってされた…?