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草萌え 4
やはり頭を抱えるしか無い。
「あの…大変、申し訳…」
「悪いと思ってるなら、俺に朝ごはん作ってよ」
うなだれる私に思いもかけない言葉を告げる。
…朝ごはん?顔を上げると悠さんは冷蔵庫を指差す。
「昨日、君が持ってた食材、冷蔵庫に入れといた」
忘れてた。桜汰にご飯を作るつもりで買ったけど使わなかった食材。置いていくのも癪で持ち帰ったのだった。
「重ね重ね…ありがとうございます…」
頭を下げ過ぎて首がもげそう…。赤べこにでもなるんじゃないか、私。
「食材持参で元彼の家行ってたなら、ある程度は作れるんだろ?」
「はい、ある程度は…」
「じゃあ決まり。誰かが作ってくれる朝ごはん、久しぶり」
にっと笑った悠さんは立ち上がってベランダに煙草を吸いに行った。
ベッドから出て改めて鏡で自分の姿を見る。
…スカートが皺だらけだ。
どうやら、脱がされるということは無かったみたいだ。悠さんに失礼だとは思いつつ、自分の置かれた状況を改めて確認した。