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小濁り 7
「私は無理。離してくれる?っていうか、気安く触らないでくださる?さっきの人、今も部屋で全裸なんでしょ?お楽しみの続きでもしてこれば?」
私は今、人生で一番冷たい表情をしている自信がある。
「待てよ、美咲」
汚らわしい手でまだ肩を掴まれている。渾身の力を込めて桜汰の手を方から剥がす。
「これ以上付き纏ったら大声を出しますが。それとも警察呼びましょうか?」
それだけ告げて身を翻した。
通常の速度で歩いても、桜汰はもう追って来なかった。
終わったのだ。
桜汰とはもう、終わった。
これでもう、おしまい。
どうやって帰ったのか、覚えていない。
朝の日差しを感じて目が覚めた。
窓の方を見ると、見慣れないカーテン。
え…?
反対側を見てみようと、恐る恐る視線を動かす。
何故?
何故私は、悠さんと一緒に寝てるんだろう…?