表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Emerald  作者: 藍沢 咲良
222/237

ずっと


晴れて良かったと思う。


生まれて初めて降り立った富士山の5合目。山頂に向かう登山者はここから出発するらしい。山に挑む登山者達はもっと物々しい装備で挑むと思っていた。しかし、実際に目にした登山者の服装は、特に女性は予想に反して可愛かった。この格好ができるなら、登山に挑戦するのも悪くない。


何度も抱かれて、力尽きるかと思った。露天風呂と浴衣の威力は半端無いということがよく分かった。しょっちゅうは辛いものがあるけど、たまにだったら温泉旅館で何度も抱かれるのは悪くない。ほんの数日前まで、暗い空気を纏っていた私達とは大違いだ。これこそリフレッシュと言うにふさわしい気分転換だと思う。


見晴らしは最高だ。雲が自分より下にあるって不思議な感覚。朝方、私を朝風呂に誘った悠さんは、やはり湯船の中で仕掛けてきた。湯当たりしなかったのは奇跡だと思う。


「なあ美咲。富士山の空気売ってるよ?」

富士山5合目にある売店にふらっと入っていた。お土産をちらちら見ていた私に、笑いを堪えてその缶詰を見せた。『富士山の新鮮な空気を詰めた世界で初めての逸品です』『あけるとさわやかな登山気分!』との宣伝文句が更に笑いを誘う。

「俺、これ買ってくるよ」

「え、買うの?悠さん」

「面白過ぎるだろ。いいじゃん、思い出の一品ってことで」

未だ笑いを堪えたまま、彼はレジへと向かった。富士山の空気の缶詰は山積みされている。今到着したと思われる外国人女性が私の顔を見て「Fuji air?」とやはり堪えきれない笑いを漏らした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ