物思い 4
「俺、母親と話してみる。いつまでも、美咲に負担掛けたくない」
「負担だなんて…負担だけど」
「そこ、負担でも負担じゃないって言うところじゃね?」
悠さんがくっくっと笑うから、頭を載せている胸筋も一緒に揺れた。
「でも、我慢されるよりずっといい。美咲のしんどそうな作り笑いを見るの、俺も辛い」
「作り笑い、バレてたの?」
思わず起き上がって彼の顔を見る。
「俺を誰だと思ってんの?」
不敵に笑って言葉を紡ぐ彼はそのまま私を胸の上に閉じ込める。
「母親のことは俺が何とかする。美咲に嫌な思いなんてさせられないからな。時間は掛かると思うけど、待ってくれるか?」
「勿論。この先ずっと一緒でしょ?」
「ああ、一緒だ。ずっと」
彼が身を起こす。腕に閉じ込められていたはずの私は、体勢が逆転していることにすぐに気が付かなかった。気づいた時には、もう唇が重なっていた。甘い快楽の予感に、私は目を閉じた。
『こないだはありがとね。ねえすみれ、例の愛人さんって、やっぱり今も話通じない感じ?』
あのお母様のことは悠さんに任せるしかないのだけど。直接会いたいけど、すみれはきっと忙しいから、メッセージアプリでの相談にした。
『うん、こないだはありがとう。愛人親子?うん、息子もクセ強いけど、母親の比じゃないよ』
『お子さんの方もクセ強いの?』
『寧ろクセ強い子だらけだけどね。その息子に限らず。どした?直接対決でもしちゃった?』
『したというか、強制的にさせられたというか…。アポなしでマンションのエントランスにいて、彼が家に帰るまで家で待たせろって言われたの』