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Emerald  作者: 藍沢 咲良
202/237

物思い 2


「美咲。家の中には、絶対に入れるな。入ったら最後、帰らない。そのまま居座り続けるぞ」

彼が紡ぐ声はいつもよりも、かなり低い声で。今の状況の緊急性がよくわかる。

「ねえ悠さん、どうしたらいいと思う?」

目の前で私を睨み続けるお母様に不審に思われないよう、努めて明るい声で話し続ける。

「電話を切ったらすぐに母親に連絡する。必ず追い払うから、エントランスの中には絶対に入れるな」

「わかりました」

電話を終え、お母様に向き合う。

「今から悠さんがお電話されるそうです」

貼りついた営業スマイルでお母様に告げると、すぐにお母様のスマホから着信音が流れた。


「…悠?私珈琲でも紅茶でもどっちでも…え、何?…え、そうなの?隆夫さんが…?それなら、そうと言ってくれれば…」

不服そうにお母様は私を見た。通話が終わったようだ。

「また、日を改めます。私は絶対認めませんから。早く悠と別れた方が身の為よ」

冷たい目で吐き捨てて、お母様はエントランスから出て行った。


お母様がエントランスから出て行った後も、他の住人が入ってくるまで私は呆然と立ち尽くしていた。




「ただいま。美咲、大丈夫だったか?」

「お帰りなさい」

あのお母様と対峙するということは、かなりのエネルギーを要するようだ。彼の顔を見た途端安心して、その場にへたりと座り込んでしまった。

「ごめんな…。母親が急に来るだなんて…油断してた。何かされなかったか?」

「悠さんと別れろって言われました。それぐらいです…」

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