邂逅 6
「ちょっと、そこから先は入れません!すみません」
鈴木先生が3人が入るのをギリギリ阻止した。
「いえ…元気ですね」
「はい…すみません、お邪魔になってて」
悠さんと鈴木先生が直接話しているのを見てヒヤヒヤしているのは、私だけだろう。
「そうたくん、かんたくん、あきらちゃん。向こうにみんなが探してた花があったよ」
3人に声を掛け、その場から離れさせた。悠さんと鈴木先生と、私。鈴木先生は悠さんと私の関係を知らない。
沈黙を破ったのは悠さんだった。
「いつも美咲が、お世話になっております」
すっと背筋を伸ばした彼はよそ行き用の笑顔で鈴木先生に告げた。
「え⁉︎…ゆ、結城先生…?」
目を見開いて慌てた鈴木先生が私を見る。
「彼氏で…婚約者なんです」
「ええっ!…そ、それは…。ええと、いつも結城先生にはお世話になっておりまして…」
深々と頭を下げる鈴木先生に、私は少し笑ってしまった。
「先生、時間まだ大丈夫ですか?」
「おおっと…、柿小の1・2年生の子たち、あと3分ね!」
鈴木先生は腕時計を見て慌てて子どもたちに声を掛けた。
「ありがとうございました。では、結城先生」
「はい。じゃあ悠さん、私、行きますね」
ああ、と微笑む彼の目は笑っていない。特にまずい場面は無かったはずなんだけど。悠さんの機嫌を気にしつつ、子どもたちと鈴木先生のいる温室の入り口へと足を向けた。
花屋の店長さんにお礼を告げ、ゴッホの池の近くで記念写真を取る。タブレットがあると気軽に写真が撮れて助かる。