覚悟 11
「今は?上手くやってる?」
「今の学校は変な人いないから大丈夫。多分。お互い本性出してないだけかもしれないけど」
「本性なんて、出す必要なければ出さなくてもいいでしょ。仕事が回ればそれで良し」
ここはデザートは3つまで食べられる。といっても、もうとっくにお腹はいっぱいなのだけど。甘いものは別腹で、つい皿に取ってしまう。
「その、彼氏のご家族とも、全て分かり合えるとか思わない方がいいかもね。反対されたり、嫌がらせを受けてるなら問題あるけど。挨拶行ったときはどうだったの?」
もうケーキがお皿から消えている。すみれは食べるのが早く、食べる量も多い。なのにどうしてこんなに細いのか。仲良くなってからの永遠の謎だ。
「ひとまず受け入れて貰えたと思う。でも、もう一人のお母さんはどこかのご令嬢と結婚させたいみたい。私じゃなくて」
「うわ…。でも、本妻の方のお母さんは受け入れてくれたんでしょ?」
「うん。もう一人のお母さんの息がかかってなければそれでいいって言われちゃった」
「闇だね。…でも、本妻の方が立場は上でしょ?そっちに認めて貰えてるんなら、あとは彼に任せておいたら?愛人はね、ほんと、取扱注意よ。もう、最重要案件ってぐらい」
「最重要案件…」
「そう。私達の思う常識は通じないって思った方がいいよ。違う星に生まれた人なんだって思わないとやってられない」
すみれ、本当にその親子に苦労してるんだな。でも、あのお母さんについては悠さんに任せた方が良いっていうのは間違い無いかもしれない。