表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Emerald  作者: 藍沢 咲良
19/237

東風 11


「取材とかって…断れないんですか?」


「柿山が注目されるのは滅多に無いことだからって、基本的には断らないようお達しが出てるんだ」

あっという間にランチを平らげてフルーツサンドに手を伸ばした彼は難しい表情で答えた。


「まあでも、嫌な客ばかりでも無いしな、かっちゃん」

「そうだな」

店主はコーヒーとフルーツサンドを自分の横に置いていた。コーヒーに口をつけると小さくため息をついた。


「…あの、かっちゃん、って呼ばれてるんですか?」

「ああ、俺の名前、勝雄(かつお)っていうの。だからかっちゃん」

「そのまんまだな」

悠さんも口角を上げてコーヒーに口をつけた。


私のコーヒーは、もう既に空になってしまった。


「私、そろそろ…」

「うん、またおいでね」

店主の笑顔に少し安心した。これからこの地区で働くとはいえ、私にとってはまだアウェイだった。何となく、やっていけそうな気がした。


立ち上がる脚に痺れを感じた。ずっと正座をしたままだったのだ。少しよろけてしまったが、歩けないことはない。


「お会計、お願いします」

店主が慌ててレジに向かう。

段を降りようとしたあたりで体が傾いた。脚が言うことを聞かない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ