覚悟 2
頭の中を整理なんて、全く出来ていない。
身体を洗い終え、湯船に浸かっても、何も考えられない。もう何も考えたくない。こっちが本音だ。
今日思い知らされた、悠さんを取り巻く環境。受け入れられないわけではない、多分。でも情報が多過ぎて。私の許容量を優に超えていた。
彼の支えに、救いになりたいと言ったのは、思ったのは本当だ。ただ、今はちょっとしんどい。それだけだ。
お風呂を出たら、悠さんに何て言おう?どんな顔して悠さんの顔を見たらいいの…?
さっきから、同じことをぐるぐるとずっと考えている。答えは出ない。でもこのままではのぼせてしまう。ひとまず、風呂からは出ないと。
立ちあがろうとした、その時。目の前が暗くなる。風景が反転する。だめだ、倒れる。目の前の物を掴んだ。上手く掴めず床に音を立てて落ちた。壁の手すりに手を伸ばす。何とか掴めた、その時。
目の前は完全に真っ黒になった。
「美咲、入るよ…?すごい音がしたけど……!」
「美咲!美咲⁉︎」
遠くで私を呼ぶ悠さんの声が聞こえる。瞼が重くて開けない。
「美咲…!目を開けてくれよ!美咲!…美咲!」
悠さんの泣きそうな声、初めて聞いた。…だめだ、眠過ぎて…。目を、開けられ、ない…。
目を覚ますと、ホテルの部屋の天井が見えた。視線を左に向けると、心配そうな顔をした悠さんと目が合った。
「は、るか、さん…?」
「美咲…!良かった!」
ベッドに横たわったままの私を抱き締める彼は、震えていた。