理由 10
「ね、悠さん…食器、洗えない…」
「なあ、早く言いなよ」
彼の反対側の手がスカートを捲り上げて内腿を執拗に撫でる。そこから手が上に移動することは無い。なのに、お尻に押し付けられている彼自身は硬く、下腹部の奥が疼き出す。
それでも少しずつ食器洗いを進める。通常の、何倍もの時間をかけて。その間も悠さんの攻撃が止むことは無かった。吐く息は荒くなり、段々とくらくらしてきた私は、更に作業能率を落としてしまう。
「悠さん…」
振り返ってキッと睨んだつもりが、力が入らず、ただ乞うような顔になってしまったのがわかる。
「言わないと止めないし、これ以上のこともしない。ずっと焦らされたいの?」
不敵に笑う彼は、また攻撃を始めた。下着の上から、一度だけそっと先端を撫でられた。スポンジと食器を持っているだけの私は、それだけで甘い声を漏らした。
「い、う…から…」「ん?何?」彼の手は更に速度を落とした。それが更に私の脳内を溶かしてしまう。
「言う、から…食器、洗い終わるまで、待って…」「やだ、待たない。今聞きたいんだよ」色香を含んだ声がまた耳元に落とされた。耐えきれず、声が漏れた。
「んっ…わたし、ね…、…んんっ!」
下着の上から先端を摘まれた。脳に走る快感に耐えながら言葉を続けた。
「は…るか、さん、と……はあっ…一緒に、いると」
太腿を撫で続けていたその手がショーツをなぞり出した。肝心な箇所は触れずに、また更に下腹部の奥が疼く。
「うん。どうした?続けて?」
愛しい彼の、その荒くなってきた声に、更に感度が上がってしまいそうだ。
「しあわせ、なの……は、あっ…!」
下着越しに花芽をなぞられた。たったそれだけで私の背中は弓なりにしなった。手にしていた物はスポンジだけだった。その手はまたゆっくりと太腿に沿って下がっていき、疼いているそこが私の脳内を支配し始めた。
「それだけ…?全部言わないと、触らないよ?」
もはや食器はもう洗えない。諦めた私は手についた泡を辛うじて洗い流した。